青い十字架
実は最初に読んだのは小学生の頃だ。この話だつまたかどうかは忘れたが、実は僕はブラウン神父と15年も前に出会っている。その時どう思ったのかは忘れたから、実質的には今回が初めてと言えよう。ブラウン神父の話でありながら名刑事ヴァランタン目線で話が始まり、おかしな2人の神父の謎を追うことになる。ブラウン神父が主人公とわかっていながらも、神父の活躍と奇怪なイタズラの数々とがどう繋がるのかわからないのがこの話の面白さ。格言めいてこの話をまとめるなら「後ろぐらい奴は事を荒立てない」といったところか。
あの台詞はここに出てくるのか!しかも言ったのはヴァランタンかい!しかもあれは刑事から見た愚痴なようなものだったか。意外や意外。実物を読んでみないとわからへんもんやなぁ。
秘密の庭
そんなことある!?準レギュラーかと思ってた奴を犯人にする!?トリックは確かにああなるほどという感じ。でもこれでチェスタトンの性格がよくわかった。
奇妙な足音
確かにこれは名作!青山先生イチオシの作品なことだけはある。足音を聞くだけで犯罪を防ぐブラウン神父の推理力は見事だし、給仕と貴族の2役をやってのけるフランボウも見事。作品が作品ならルパンやその孫ですらやったであろう手口だ。これは面白い!
飛ぶ星
急いで読んだから上手いこと話が入ってこなかった。残念。明示されたわけではないがブラントがフランボウだったのか。如何にして盗んだか、が主眼なわけだが大胆不敵さという点ではさすがは名怪盗といったところか。
見えない男
今ではど定番とも言えるクイズの大元はここにあったのか。読んでるうちにもしやと思ったがやはりほうだった。盲点に突けこんだ答えがチェスタトンは得意なのかもしれない。当たり前のように思っているからこそ思いつかないことを当たり前だよって教えてくれるような。
イズレイル・ガウの誉れ
ミッシングリンク的なエピソード。事件の大筋を追うのは難しいが頭蓋骨を奪った理由くらいならわかった。「歯医者」のワードでそれに行き着くのはちょっと自分の成長を感じる。ふへへ。
狂った形
いつになく読みづらかった。なんでやろ。謎としては密室トリックになるのかな?
サラディン公の罪
お手軽な入れ替えトリックって感じ。ブラウン神父の話はどうにも頭に入っててきづらい。洋物は大体そうやけどそれにしても少ししんどい。冷静なブラウン神父目線で進むから感情が上手いこと入ってこないんだろうか。読者と同じようにびっくりしてくれる存在の大事さがわかる。
神の鉄槌
時代を感じる。人の力で到底不可能な殺し方にちゃんと着目するのがブラウン神父だけってところに物理学が未発達な時代性を感じる。重力を使うことは情景さえしっかり頭に思い浮かべられていれば簡単に思い付くだろう。
アポロの眼
かなり読みやすかった。やっぱり人が死ぬ話は読みやすい。犯人ははっきりしてるが何かトラブル発生。その顛末は?というお話。謎を解くというよりもその成り行きを楽しむタイプのミステリー。
折れた剣
ミステリーを読んだことない人でも一度は聞いたことがあるであろうあの台詞が満を持して遂に登場。だいぶ序盤からあの台詞は出てくるがその台詞が恐るべき結末へと繋がっていく。名将が起こす最期の乱心。果たしてその真意は?結末はあまりにもおぞましい。
三つの兇器
さっさと殺人事件が起こるからかなり読みやすい。死体は1つなのに兇器がぽろぽろ。容疑者もぽろぽろ。さて真相は?ホームズにでも出てきそうな慈悲のエピソード。でもさすが神父。裁くのは法ではなく神。すべての現象が逆転して見えてしまうところは面白い。
10数年振りに再会したブラウン神父。あのときは知らなかった人柄を漸く知ることができた。作風は想像以上に読みにくかった。僕がもっと成長したらそのときは楽しく読めるのかな。話の中にはあのあまりにも有名な台詞や、盲点の話でよく使われるエピソードなんかが入っている。ホームズ然り、ミステリー関係ないところでその話題が出てくるってことがどれだけブラウン神父が後世に影響を与えているかの証明だと思う。