【感想・ネタバレ】ブラウン神父の童心のレビュー

あらすじ

奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモア、独特の逆説と警句で、ミステリ史上に燦然と輝くシリーズの第一集。小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔。とても頭が切れるとは思われない風貌のブラウン神父が事件の真相を口にするとき、世界の風景は一変する。レストランの塩と砂糖を入れ替えるなど、奇妙な痕跡を残していく二人連れの神父を追う名刑事ヴァランタン。その背景には何が? ブラウン神父初登場の「青い十字架」のほか、大胆なトリックが炸裂する「見えない男」、あまりに有名な警句で知られる「折れた剣」など12編を収める。【収録作】「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」「アポロの眼」「折れた剣」「三つの兇器」/解説=戸川安宣

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Posted by ブクログ

ネタバレ

青い十字架
 実は最初に読んだのは小学生の頃だ。この話だつまたかどうかは忘れたが、実は僕はブラウン神父と15年も前に出会っている。その時どう思ったのかは忘れたから、実質的には今回が初めてと言えよう。ブラウン神父の話でありながら名刑事ヴァランタン目線で話が始まり、おかしな2人の神父の謎を追うことになる。ブラウン神父が主人公とわかっていながらも、神父の活躍と奇怪なイタズラの数々とがどう繋がるのかわからないのがこの話の面白さ。格言めいてこの話をまとめるなら「後ろぐらい奴は事を荒立てない」といったところか。
 あの台詞はここに出てくるのか!しかも言ったのはヴァランタンかい!しかもあれは刑事から見た愚痴なようなものだったか。意外や意外。実物を読んでみないとわからへんもんやなぁ。

秘密の庭
 そんなことある!?準レギュラーかと思ってた奴を犯人にする!?トリックは確かにああなるほどという感じ。でもこれでチェスタトンの性格がよくわかった。

奇妙な足音
 確かにこれは名作!青山先生イチオシの作品なことだけはある。足音を聞くだけで犯罪を防ぐブラウン神父の推理力は見事だし、給仕と貴族の2役をやってのけるフランボウも見事。作品が作品ならルパンやその孫ですらやったであろう手口だ。これは面白い!

飛ぶ星
 急いで読んだから上手いこと話が入ってこなかった。残念。明示されたわけではないがブラントがフランボウだったのか。如何にして盗んだか、が主眼なわけだが大胆不敵さという点ではさすがは名怪盗といったところか。

見えない男
 今ではど定番とも言えるクイズの大元はここにあったのか。読んでるうちにもしやと思ったがやはりほうだった。盲点に突けこんだ答えがチェスタトンは得意なのかもしれない。当たり前のように思っているからこそ思いつかないことを当たり前だよって教えてくれるような。

イズレイル・ガウの誉れ
 ミッシングリンク的なエピソード。事件の大筋を追うのは難しいが頭蓋骨を奪った理由くらいならわかった。「歯医者」のワードでそれに行き着くのはちょっと自分の成長を感じる。ふへへ。

狂った形
 いつになく読みづらかった。なんでやろ。謎としては密室トリックになるのかな?

サラディン公の罪
 お手軽な入れ替えトリックって感じ。ブラウン神父の話はどうにも頭に入っててきづらい。洋物は大体そうやけどそれにしても少ししんどい。冷静なブラウン神父目線で進むから感情が上手いこと入ってこないんだろうか。読者と同じようにびっくりしてくれる存在の大事さがわかる。

神の鉄槌
 時代を感じる。人の力で到底不可能な殺し方にちゃんと着目するのがブラウン神父だけってところに物理学が未発達な時代性を感じる。重力を使うことは情景さえしっかり頭に思い浮かべられていれば簡単に思い付くだろう。

アポロの眼
 かなり読みやすかった。やっぱり人が死ぬ話は読みやすい。犯人ははっきりしてるが何かトラブル発生。その顛末は?というお話。謎を解くというよりもその成り行きを楽しむタイプのミステリー。

折れた剣
 ミステリーを読んだことない人でも一度は聞いたことがあるであろうあの台詞が満を持して遂に登場。だいぶ序盤からあの台詞は出てくるがその台詞が恐るべき結末へと繋がっていく。名将が起こす最期の乱心。果たしてその真意は?結末はあまりにもおぞましい。

三つの兇器
 さっさと殺人事件が起こるからかなり読みやすい。死体は1つなのに兇器がぽろぽろ。容疑者もぽろぽろ。さて真相は?ホームズにでも出てきそうな慈悲のエピソード。でもさすが神父。裁くのは法ではなく神。すべての現象が逆転して見えてしまうところは面白い。

 10数年振りに再会したブラウン神父。あのときは知らなかった人柄を漸く知ることができた。作風は想像以上に読みにくかった。僕がもっと成長したらそのときは楽しく読めるのかな。話の中にはあのあまりにも有名な台詞や、盲点の話でよく使われるエピソードなんかが入っている。ホームズ然り、ミステリー関係ないところでその話題が出てくるってことがどれだけブラウン神父が後世に影響を与えているかの証明だと思う。

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2023年11月21日

Posted by ブクログ

1911年発表、100年以上前の作品。それを考えると多少の読みにくさはあっても現代に通じる推理、トリックが素晴らしいと思う。こういう作品たちが今のミステリの骨組みとなっているんだな、と別の感慨に耽てしまう(笑)。短編集ですが短い話の謎たちはスッキリ綺麗に解決し読後感も良い。一つ言うならば相棒フランボウの活躍がもっと見たかった…!穏やかと見せかけてシビアなブラウン神父と良いコンビだと思います。

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2024年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 見た目は冴えないが、悪や犯罪に対して鋭い観察力・深い洞察力を持ったブラウン神父が事件を解決していく連作12篇。収録作は以下のとおり。

  青い十字架
  秘密の庭
  奇妙な足音
  飛ぶ星
  見えない男
  イズレイル・ガウの誉れ
  狂った形
  サラディン公の罪
  神の鉄槌
  アポロの眼
  折れた剣
  三つの兇器

 思い込みや“心理的に見えない人”が解決の鍵となる「奇妙な足音」と「見えない男」がおもしろかった。名探偵が真相をなかなか明かさない点は古今東西共通らしい。まだ色々と定まっていなかった為か、ブラウン神父の容姿以外の設定がブレブレだった。

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2023年11月09日

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修飾が多いが物語の骨格はシンプルでわかりやすいし謎に魅力がある。完成度が高い。トリックがシンプルなのもわかりやすくていい。
探偵のブラウン神父に魅力はない。フランボウの方がいい。

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2023年08月18日

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G.Kチェスタートン(1911年M44年)
ブラウン神父シリーズ初読み。世界三大探偵はホームズ、ポアロとブラウン神父らしいとも。
小柄で団子鼻でパッとしない神父さんと天下の盗賊から足を洗った長身イケメン探偵の凸凹コンビが深い洞察で難解な事件を解決してゆきます。ゆるーい設定BBCドラマシーズンは大好きでよく観てます。

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2021年04月30日

Posted by ブクログ

作家名も題名も既知のものだったので蔵書リストをチェックしたが見当たらないので購入。
読んだ覚えあったけど、ふつーにおもしろい!
隙間時間に手に取りやすくて良いんだよなー。

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2017年08月03日

Posted by ブクログ

この手のクラシックミステリーは高校・大学時代に好きでずいぶん読んだのだが、ブラウン神父ものだけはなぜか読んでおらず、50歳を超えてからようやく初読。若い頃に読んでいればもう少し楽しめたかなという気もするが、それでも神父という奇抜な探偵像はなかなかユニーク。チェスタトン自体あまり読んだことがなかったので、ブラウン神父もの以外でもう一冊くらい読むか。

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2024年11月28日

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ドラマがとても面白かったので、原作を読んでみることにした。ドラマの脚本が時代設定や登場人物も含めて、いい感じに変えられていることがよく分かった。正直、ドラマほどの面白みは感じなかった。

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2023年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古典、往年の名作を知ると読みの視野が広がる。
純文学系の古典、名作にも手を伸ばしたいところだが、主なテリトリーであるミステリで手一杯である事情はさておき。

ということで、ブラウン神父シリーズ第一作目、『ブラウン神父の童心』。
ぼんやりとした丸顔で小男のブラウン神父と、犯罪界に名を馳せていたがブラウン神父との幾度かの邂逅を経て改心し相棒となったフランボウのコンビが各地で巡り合う事件を解決していく。

チェスタトンは初読。なるほどこういう作風ね。
う~ん、何か入り込めない。
あくまでも個人的な感覚だが、文化的地理的違いによりあまり思い浮かべられない細かな情景描写が多いなと思うのと、3人称語りということもあるのだろうが、一話一話の入りが毎回違う雰囲気がして一話毎につんのめる感じ。
連作感が薄いというか、ぶつ切りにされているというか。

それでも、一冊読み終える頃にはブラウン神父の全てを見透かす目、罪人の心に宿る微かな光に情を寄せるはからいがしっかり印象付きました。
フランボウはもっと活きてもいいと思うのだけどな。

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2022年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

円顔の小柄な老神父、ブラウン神父。
亡くなった人に寄り添うため、教会関係者に呼ばれて、事件現場の端に居ると思ったら、あっという間に事実を暴く13篇。
なんて書くと、殺伐とした印象だけれど、ブラウン神父はどこまでも穏やかに真実を指摘する。
稀代の怪盗、フランボウをいつの間にか改心させて相棒にしてるし。
何事も力押しなフランボウとそれを諌めつつ淡々と謎を解くブラウン神父のコンビも楽しい。
それにブラウン神父が赴く館、屋敷が素敵だった。
精美を誇る古庭を見晴らすベランダ、怪奇とさえいえる美しさの熱帯植物がところせましと繁茂しているガラスの温室、竹か強い熱帯産の籐で出来た河面の細長い家、陽ざしをいっぱいに受けた田園の上に豪雨を降らす暗雲となって腰を据えているかに見える教会。
ドラマなら映像でみられるのかな。

青い十字架 奇行を繰り返す男の謎
秘密の庭 警視総監の自宅に現れた首を切断された死体
奇妙な足音 会員制レストランに響く奇妙な足音の秘密
飛ぶ星 クリスマスの晩に消えたダイヤモンド
見えない男 3人が見張る部屋から消えた犯人
イズレイル・ガウの誉れ 失踪した古城の主と首無し死体
狂った形 東洋通の芸術家の不審な死
サラディン公の罪 僻地で隠遁生活を送る公爵の結末
神の鉄槌 小さなハンマーで撲殺された男
アポロの眼 新興宗教の祈りの最中に起きた転落事故
折れた剣 英雄の将軍の真実
三つの兇器 死を感じさせない朗らかな男の死の真相

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2022年09月28日

Posted by ブクログ

みんな大好きブラウン神父、と評判なので試しに読んでみた。
ブラウン神父というキャラクターは非常に好感が持てる。ポワロやホームズと違って穏やかで腰が低く、推理をもったいぶり方も哲学的でおもしろい。
自分の時代背景に対する知識が浅いのもあってか、自分が謎解きをするというよりはブラウン神父の語りをなぞるという楽しみ方しかできなかった。
有名な「折れた剣」はさすがにおもしろかった。

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2022年02月05日

Posted by ブクログ

中々面白かった!
有名だそうだけど、今まで知らなかったので読んでみました。
文章が思っていたよりも独特で風景描写とか綺麗だなと感じました。
トリックも中々思いつかないようなものも多く面白かったです。

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2020年04月21日

Posted by ブクログ

The Innocence of Father Brown

ブラウン神父もの第一作
シャーロックホームズのライヴァルとのことだが、物語のわかりやすさや冒険感などはコナンドイルの方が強い。

ブラウン神父ものは、謎が出てきてそれが解決されるという意味ではきちんとした探偵小説だが、それ以外の部分で他の探偵小説との違いを強く感じた。読んでいると、どことなく幻想的で不思議な雰囲気になった。また、「神の鉄槌」はブラウンものでも比較的わかりやすい推理もので最後の結末もかっこよくて印象的だった。

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2019年10月22日

Posted by ブクログ

傑作と謳われる短編集だが、
ミステリとしては古くささが否めない。
驚かされる様な話は一編も無かった。
批判と皮肉に満ちた独特の文章が、
段々と味わい深いものになってくる。
そこに面白さを見出せれば、
それなりに楽しめる作品。
古典作品はどれもそうだが、
現代の作品を数多く読む前に、
特に学生の内に読んでおくと良いのだろう。

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2017年05月29日

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