佐藤史生の作品一覧
「佐藤史生」の「夢みる惑星【愛蔵版】」「死せる王女のための孔雀舞(パヴァーヌ)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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少女・女性マンガ
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Posted by ブクログ
佐藤史生さんの作品も二作目になりまして、本書は、前回読んだ『死せる王女のための孔雀舞』よりも、以前に書かれた短篇集なのですが(1977~1979年)、読めば読むほど、もっと早く出会いたかったと思ってしまい、作品から立ち上る、作者の人柄や雰囲気は、私が思わず寄り添いたくなるような、信頼性を感じさせられ、とても好きです。
猫丸さん、本書もお勧め下さり、ありがとうございます(^_^)
デビュー作も入っているが、意外性のある、しっかりとした物語に、活き活きと描かれたキャラクターは変わらず、コメディもシリアスも、自由で柔軟な発想を感じさせられ、しかも、ホロリと考えさせられる、時代に縛られないテーマ性もあり、最早、私のイメージしていた少女漫画の枠を軽々と飛び越えている感じです(素敵な美男美女はたくさん登場するのですがね)。
以下、収録作について、ちょっと書いていきます。
『ミッドナイトフィーバー』
ディスコブームの時代において、彼等は彼等なりの楽園を創造した、夢一夜の出来事。
ちょうど、インベーダーゲームブームでもあり、新参者の「インベーダー」の初々しさが、微笑ましい。
そして、デ○○ッド・ボ○イとミ○ター・○ポックも夢の共演で盛り上がり(!?)、SF好きには、たまらない設定。
『透明くらぶ─ミッドナイトフィーバー パートⅡ─』
『ミッドナイトフィーバー』の続きもの。
前回の夢の夜から一転し、昼間のSF研の部室から始まる物語は、SF研のキャプテン「小尾倭(おび やまと)」の人間性に、インベーダーの「まじめくん」が果敢にも挑み、その遣り取りには、名前通りの真摯さが清々しい分、胸を打つものがあり、それに応えるような、倭の台詞にも胸を打たれた。
『恋は味なもの!?』
登場人物のきらきらした雰囲気に、多彩な擬音のフォントも楽しいコメディ。
最後の意外性のあるオチ(しかも、溜めに溜めてオトす)には、デビュー作とは思えない、しっかりとした物語の素晴らしさを感じ、予想外で完全にやられました。
『スフィンクスより愛をこめて』
ピーター・オトゥールの、あの映画にインスパイアされた、スフィンクス像と、お家再興を巡り、誘拐された(!?)お嬢様、「タヴィア」と、二人のイケメン「テネシー」と「ベン」が織り成す、懐かしさ漂う上品なコメディで、これまたオチが絶品。
『春を夢見し』
ある出来事により、二度と咲かないと思われてきた、樹齢500~600年の桜を巡る、親から子への思いの物語で、「白髪(しらかみ)」を信じ続ける「千花」の意地にも似た思いと、「雄作」が名付けた、息子の「春」に込めた思いの深さは、その真相を知るにつけ、とても哀しくやるせないものを感じさせられ、そんな中で予感させる春の未来には、大きな輝きと希望を思わせてくれて、更にそれに応える白髪の麗しき舞いには、ようやく出逢えた友への際限なき歓びを感じさせてくれた。
『ふりかえるケンタウロス』
病弱な少女の、かつての憧れから現実へと向き合うまでの姿を描いた成長物語として捉えたが、『ウーマン・リブ』的意図で作ったという事を知った後に再度読んでみたら、一見、我が儘に見えた部分も、心の中で必死に耐えていたんだということが分かり、弱さをしっかりと認めながらも、他人の手を借りず、無我夢中で求めるものを得ようとする、その姿は、まさに自分の足でしっかりと大地を踏みしめて立っている、自立した存在であり、『私は人形じゃないのよ』の台詞には、思わず涙が。
次は、『ワン・ゼロ』を読もうと思います。
Posted by ブクログ
穂村弘さんが、年に一度は彼女の全作品を読むことを、彼のエッセイで知り、興味を持って買いました。
まず、猫丸さんに勧められた、「夢喰い」を読んだ。
外国の神様のことはよく分からなかったけれど、家族の絆の素晴らしさと、血縁の凄まじさに、物理的な作用は全く影響しないことを、教えてくれたような気がしました。幻想的でいて、現実的な感覚も持てるような、不思議な名作。
次に、「七生子」シリーズ。
私としては、こちらの方が好きかも。
まず、主人公の高校生「加賀見七生子」の初登場時の、メランコリックな影を感じさせつつ、強気っぽくも凛とした、その佇まいに惹かれるものを感じ、印象的でした。
それから、物語の設定には、その時代特有の厳格さと不自由さがあり、描きようによっては、メロドラマになりかねないが、そんな時代においても、それに必死で足搔こうとする姿に、愛の偉大さと人間のやるせなさを感じさせるとともに、七生子と、その父と母を取り巻く、家族の絆を問いかけており、そのひとつひとつの真実が明らかになるにつれて、七生子が改めて思う、父とは母とはなんだろう? と、そんな家族愛を考えさせてくれる内容には、人間の、理性と本能の間に立つ苦しみもあることから、表題作の、両親の内なる想いに気付いたときには、思わず、感動の涙が零れました(亡き王女とマドンナも同様に切なかった)。
物語の中にある、
『飛べない奇型の翼があんなに美しいのは 神様の好意だと思う? それとも悪意だと思う…?』
と疑問を唱えた人物の心境は、私の望むものは、それでは無かったと言っているようにも思われるし、生きるにあたって、望むものはひとつしか叶わないのかといった、慟哭にも思われました。
親は子を選べないし、子は親を選べないと言うけれど、生まれてきた後ならば・・ということも考えさせられた、七生子シリーズにあたって最後の話は、七生子自身の、愛の行方とは裏腹に展開される救いの物語で、まさかこんな結末だとは思わなかったが、長く生きてきて救われた者と、これから長い人生が待つ、七生子の少女の素顔を垣間見せるような、繊細な痛みとの、見事な対比が素晴らしく、ストーリーテリングと、その表現力に優れた方だなと感じました。
シリアスな中にも、ユーモアに溢れた描写もある、人間を描いた物語に、凜々しくも影のある美しい絵と、私がこれまでイメージしていた少女漫画とは、なんだか違うようだし、オーバーかもしれませんが、凄い人に出会えたなという思いでいっぱいです。
それから本書には、商業誌未発表作品の、「マは魔法のマ」と、「一角獣にほほえみを」が初収録されていまして、前者は、コメディタッチの舞台劇を観ているかのような、キラキラした絵柄とエンディングがまた素敵な作品で、後者は、人間とは異なる生命体の、宇宙の一部分でいたいと思わせる、その想いに胸を打たれる、切ない作品でした。
こうなると、もう佐藤史生コレクション、全部買いたくなるなあ。どうしよう。
Posted by ブクログ
ミノタウルスの伝説を底辺にした、家族の愛憎の物語。
優秀で性格もよくその上美形という完全無欠な兄は、失踪することで、家族の中での自分自身の存在理由を問う。
多分、そういう物語なのだと思う。
雑誌掲載されていた時にも読んでいたけど、その時はむしろ失踪に戸惑い続ける弟や、振り回される男にシンクロして、兄への憧憬の物語だととらえていたように思う。
が、兄は自分をミノタウルスに投影する。
その意味が、ようやくわかった気がする。
それは萩尾望都の「城」で語られたテーマに通じるのかもしれない。
いわば、兄は真っ白の石で表面だけを作った城で、人は白黒のバランスがあってこと、であるというそのこと自体が醜悪であると拒絶していたんじゃないかなと。
そして、拒絶こそがミノタウルスなのではないだろうか。
魔物は、異形は、人の心にこそ巣くう。
だれもがそれに折り合いをつけて生きて行く。が、それが出来なかった兄は、自身をミノタウルスという化け物にして、ようやく<人>として生きて行く理由を見つけたのだろう。
にしても、昔は気づかなかったけど、全体的にエロいです。
うむ。
年食って、エロの意味がわかってきたからなんでしょうかね?ww
Posted by ブクログ
七生子シリーズ。
と、「夢喰い」がはいってます。
七生子シリーズが読みたかったので手に入れたんだけど、「夢喰い」もあって、もうめちゃくちゃ得した気分になったよ。
「ワンゼロ」へと続く、というかその前哨戦みたいな作品だけど、実は「ワンゼロ」より好きだったりするのだ。っても「ワンゼロ」の最後の、全てが終わってどっかにいってしまった都祈雄の何もかもを超越したような笑顔の絵は、今も網膜にやきついてる。
とはいえ、読み返してなんでこれがここまで琴線に触れるのか、やっぱりよくわからん。
が、やっぱりなんか胸にしみるというか、震えるんだよね。
不思議。
そして七生子シリーズ。
これのおかげで、ラヴェルにはまったのは遠い思い出ww
繊細な、本当にガラス細工、いやそれよりもっと細やかな心情を描きつつ、七生子の生命力が作を追うごとに輝いていく。
ああ、命はこのように育まれて、育んでいくものなのだなと思うのである。
…もっと、もっと描いていたかっただろうな。
萩尾望都の「アメリカンパイ」のように、私は決して佐藤史生という存在を作品を、彼女の思いを、忘れない。
きっと、生きるっていうことはそういうことなのだろう。