黒川みどりの作品一覧
「黒川みどり」の「近代部落史」「増補 近代部落史」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「黒川みどり」の「近代部落史」「増補 近代部落史」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
20年以上前に出版された学術本が近年になって文庫化されたもの。被差別部落をめぐる各種運動・政策を俯瞰しつつ、部落史を日本史の中に位置付けようとの試みである。ややもすればエキセントリックな感情論が混入しがちなテーマだが、各時代の社会を見つめる著者の冷徹な視線のおかげで、二者択一を迫るような息苦しい議論に足を取られることなく読み進めることができる。
内容はかなり硬く、読み進めるのは結構骨が折れる。被差別部落内外の運動における各種発言、当時の報道、国会答弁などを丁寧に拾い上げつつ、それら主張の微細な変化を時系列的に捉えていくため、いきおい記述量が多くなる。しかもあまり他方面で見かけない人物や団体が数多く登場するため、それらを記憶に留めつつ読むのが難しく、またそれぞれの個人や団体の主張の違いが極めてわかりづらい。是非とも索引はつけて頂きたかったと思う。
冒頭や終章にあるように、部落差別問題は、差別する側が合理的根拠を欠いているが故に、合理的な反論に直面しても「家」や「血筋」などの何ら実体を伴わない概念が持ち出されてしまい、前者が建前に、後者が本音に置き換えられて差別的意識が容易に維持されてしまうという厄介な構造をもつ。このことを指摘しつつなおも「民衆にとって、現存する被差別部落を差別することは、(…)ある種の合理的な選択にもとづく行動なのである」とする著者の指摘は大変に重い。社会の病理や矛盾に直接目を向けないままに「人権」「SDG’s」などの美辞が免罪符代わりに使われがちな昨今、なんの引っかかりも無い「無色透明の人権」に安住する現代人に対する警告の書であると受け止めた。
Posted by ブクログ
出身者ではあるものの、書物では部落史や政策史を学んだことはなかったので読んでみた。
大筋の流れは同和教育で知っていたし、「なぜ私たちは差別されるのか」「この先、差別されることはあるのか」「同和教育は必要か」は実家にいた頃、母とよく話していた。
貧困や職業差別がなくなっても、今だに部落差別がなくなっていない理由の変遷が追いかけられている。
そう。行政が貧困や地名を消しても、私が部落を誇りに思っても、誰かへの偏見をあからさまにしその人たちの尊厳を傷つける行為をやめない人がいる限り、部落差別もなくならない。
その認識でよいのだという確認ができた。