半田滋の一覧
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ユーザーレビュー
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「戦争が憎い」と訴え続けた元零戦パイロット原田要さんのラストインタビュー。自ら海軍に志願し優秀な成績で零戦パイロットとなった原田さんは、数々の戦闘で多くの敵機を撃ち落としてきたが、三度も命を失いかけた。
真珠湾攻撃とミッドウェー海戦では、軍艦「蒼龍」から零戦を発着させていた。しかし、ミッドウェーで
...続きを読む蒼龍が沈めらた時、帰る空母がないので「飛龍」に着艦したそうだ。原田さんが操縦していた零戦は使い物にならなくなっており、整備兵が海に落として、一機だけ残っていた零戦に再び搭乗して飛び立った瞬間に飛龍も着弾して火を吹いた。(もしかしたらこの時の整備兵は瀧本邦慶さんだった可能性はないだろうか。今度お会いした時に聞いてみよう。)
原田さんはその後、鹿児島の鹿屋で軟禁される。ミッドウェー海戦に大敗した事実が広まらないようにである。(そのあたりは呉の病院に軟禁された瀧本さんとまったく同じである。)そして原田さんは軍艦「飛鷹」に乗ってガダルカナルに行くが重傷を負って呉の海軍病院に運ばれる。(ここでも瀧本さんとニアミスしている。)
鳥肌がたったエピソードのひとつを書く。原田さんが敵機を追い込み100mほど接近した時に、相手は振り向いて、もう追いかけるな、助けてくれというような素振りをしたそうだ。敵機はやがて田んぼに突っ込んだが、原田さんはとどめをさすのを諦めて帰還したのだが…2001年にその人とイギリスで再会を果たしている。「戦争で生き残ったものがいるなら互いに許し合うべきだ」という二人の思いが通じ合ったそうだ。
原田さんが零戦パイロットになった当初は、自分が敵機を撃ち落としたり、地上に爆弾を落とすことについてはなんのためらいもなかったそうだ。その先を想像していなかったからだ。敵機に乗っている人にも家族や友人や愛する人がいることや、落とされた爆弾の下にいるそんな人たちがもがき苦しむことを。ひとりでも多くの敵を殺すことが自分の使命だと思っていた。ところが、仲間の命を見捨ててでも作戦を遂行しようとする軍のやり方に次第に疑問を持つようになり、自分自身も何度も死線をさまようになって、その愚かさに気がついていった。
原田さんは、瀧本さんとまるっきり同じことを言っている。兵士が死んで行く時に「天皇陛下、万歳」などという台詞は聞いたことがないと。みんな「おっかさん」と言って死んでいくそうだ。知り合いの子どもに戦闘機に乗りたくて自衛隊に入隊した人がいる。そんな人たちに読ませたい本だ。この本は小中学生でも読めるように活字が大きくルビもふられているので、多くの子どもたちに読まれることを願う。原田さんは昨年の憲法記念日の日に99歳で鬼籍に入られている。
Posted by ブクログ
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いろいろはっとさせられる指摘や分析が多く、久々に良著に出会えたと思った。もちろん、細かい論理で詰めて考えたらどうなのって点もあるかも知れないけど。
一章不安定要因になった安倍首相で、靖国参拝を通して米国すらも刺激して安全保障環境を悪化させていること。また首相になる前に主張していた退役予定のゆき型の海
...続きを読む保編入に関わる勘違い。閣議決定だけで憲法を読み替え国家を無視する手法。日本の安全保障環境は厳しさを増してるってのが2007年から使い回されてる表現でありながら、尖閣を巡る日中の対立以外はあるものの緊迫した危機はないこと。
二章法治国家から人治国家へで、選挙での勝利をたてに「おれが法律だ」と言わんばかりの立憲主義を理解しない発言。北朝鮮のミサイル発射で米軍は日本防衛ではなく自国防衛のため活動していること。憲法九条を空文化させる国家安全保障基本法。
三章安保法制懇のトリックで、法律の専門家のいない安保法制懇。例の四類型で、公海での米艦艇の防護では考えうる範囲で集団的自衛権行使の必要性なない、米国を狙ったミサイルの迎撃では技術面安全保障面でもありえない設問、駆けつけ警護は、自衛隊の任務が治安維持ではない。自衛隊が後方活動のみに従事してきたのは先進国として当然で、要員を多数出してるのは外貨獲得手段にしている途上国であること。
四章積極的平和主義の罠で、日本版NSCで南スーダンでの韓国への弾薬支援が決められたが、それは非公開で議事録もなく、国民の見えないところで重要政策が転換されるおそれがあること。NSCの発足に合わせて成立した特定秘密保護法の原点が、2007年に締結された軍事情報包括保護協定GSOMIAで、その締結のきっかけが2003年のミサイル防衛システムの導入であること。わかりやすかった国防の基本方針を廃止し、量が多くかえって基本方針がぼやける国家安全保障戦略が閣議決定されたこと。グレーゾーンとシームレスが意味が不明瞭で、有事か平時しかなく、平時から有事には防衛出動が下令されるということ。
五章の集団的自衛権の危険性で、海外派遣が始まった頃から危険を実際に負う制服組の発言力が高まりだしていること。米国の退役軍人省の予算が日本の防衛費の倍近い九兆円もすること。93年北朝鮮のNPT脱退をきっかけに作られたK半島事態対処計画。1999年に周辺事態に備えた図演が海自で初めて行われたこと。
六章逆シビリアンコントロールで、南スーダンで試みているオールジャパンの取り組みを考え出したのが幹部自衛官や官僚であること。同時多発テロ直後に政治家に談判して米空母の護衛やインド洋派遣へと動かした海幕の幹部自衛官。
などなどと、書かれてる事実だけでも大変勉強になりました。安倍シンパにただの首相批判と思って欲しくない。
Posted by ブクログ
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集団的自衛権以前に考えなければならない安全保障のための問題は、山程あるようだ。差し迫った脅威について煽られることは多いけれど、それに対するために今検討するべきことは、集団的自衛権ではないのではないかと考えてしまった。一度外してしまった箍を戻すことは容易ではないだろうし。
中には疑問を抱く言説があった
...続きを読むり、偏っているように感じるところもあったけれど、これから考えていく手掛かりになった。
Posted by ブクログ
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長年新聞記者として活躍してきた著者が自衛隊やそれに関わる政策や法案などについてQ&Aスタイルで述べてます。児童生徒向けに書かれているので、わかりやすい本です。
著者の立場は完全に安倍とは反対で、憲法改正や集団的自衛権の問題点がよくわかります。また、本の中に自衛官の言葉が時折引用されていて自衛官の気持
...続きを読むちもわかりました。
戦争が確実に近づいている現在、保護者や教員に読んでもらいたい本です。
Posted by ブクログ
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我々が為政者に質したいプリミティブな問いそのものがタイトルとして掲げられている。論議の的となっている集団的自衛権の本質と問題点を様々な観点から論ずるだけでなく、自衛隊という武装集団の特異さを改めて考えさせる。
Posted by ブクログ
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