2019年のいじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となった。
そして、自殺した原因が、いじめと認定された小中高生の数は317人いる。
これは、驚くべき数字だろう。
ただ、この数字は、多分過少されているだろう。教育委員会は、「基本方針として」いじめと自殺を
...続きを読む結び付けたくないからだ。
日本は、今も、昔も、いじめに対して、自浄作用などない。
大人たちが、本当に解決しなければいけない問題だと思っていないからだろう。
また、これは、学校だけの責任だけではなく、日本人全体の問題として、
捉えられていないからだろう。
日本では、毎日1人以上の中高生が、自ら命を絶っている、
その何倍もの子が、自殺未遂をし、その数百倍の子が、現在進行形でイジメに苦しんでいる。
この事実は、あまりに重すぎて言葉にならない。
この著者は、ネットに関わる若者の問題をメインに調査してきたジャーナリストという印象がある。
当事者に会い、現場を見て、実際、足を使って緻密に取材をしているので、非常に信頼している。
日本では、いじめられていたとカミングアウトする人はたくさんいるが、
自分は、いじめていましたという人は、ほとんどいない。
日本の小中高の8割でイジメが確認されているのだから、多くの人がイジメを経験している。
私は中学校の時、クラスの同級生をいじめていた。ずっと後悔していた。
大学の時に、たまたま英検の試験会場で偶然出会って、声を掛けた。
その時、彼は、私を見て、怯えていた。その表情が今でも忘れられない。
イジメはどこまでも続く。
会社に入れば、その内部で、凄惨なイジメを何度もみた。
それはそうだろう、みんな経験者なわけだから、
オトナになっても、イジメがなくなるわけはない。
会社同士のイジメも、なくならない。
それで、自殺する人は、ごまんといる。
この本に出てくるイジメのエピソードは、どれも強烈だが、知っておくべきことだと思う。
イジメる側だったからよくわかるが、自分に自信がないから、他人をイジメる。そうしないと不安だからだ。
大人になっても、イジメがなくならないのも、全く同じだと思う。
自分の立場に固執して、それを脅かすものがいたらイジメたり、
これも自信のなさや不安からきている。弱い立場になったている人を、
イジメて、カタルシスを覚えるサディスティックな人もいる。
今の日本社会は、ココロの戦争が毎日繰り広げられているようだ。自殺者は、毎年2万人を超える。その数倍の自殺未遂者、そして、数百倍もの自殺志願者がいる。中高生に、貴方には自信がありますか、日本の将来は明るいと思いますか、とアンケート調査した結果、7割が「ない」と答えている。
ほんとの戦場よりも、ひどいココロの状態になっている。
毎日、外に出るということは、戦場にいくようなことだと思ってほしい。
それは、物理的な争いではなく、精神的な殺し合いが、日々、日本で起こっていると思っていい。毎日、70人近くが自殺する。私の居住地域の人口が2万5千人、毎年、この数が自ら死を選んでいると想像するだけで、頭がおかしくなりそうだ。
もし、イジメられていて、学校や会社に行きたくないのなら、行くべきじゃない。できれば、イジメられた事実を証拠として残しておくといい。
誰が、いつ、何をしたか。両親が信用できなかったら、塾や習い事の先生でもいい。
ほんとに苦しんでいるんだと、伝えてれば、きっと誰かが助けてくれる。
少なくとも10人ぐらいに当たれば、1人はひっかかる。
そういう現実を知って、自分や愛する人を守ってほしいと思う。
相当ヘビーな世の中だが、より良く生きる上で、
日本は、まだ捨てたものじゃないと思わせるモノがたくさんある。そういうモノを知り、また出会い、身に着けて、何としても、今、厳しい状況にいる人は、生き抜いてもらいたい。