渋井哲也のレビュー一覧
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ネタバレ多くのケースが紹介されていて、自殺の実態の一端を知れる。また自殺を防ぐ難しさもよく伝わってくる。
印象的だったのは、ネット心中で複数人で集まったものの色々な理由で場所を変えていったケース。葛藤の現れだったのかも知れない。
「おわりに」で「遺族は家族だけじゃない」としているが、その通りと思う。著書の取材対象で既遂となった方は40名に上るとある。著者ご自身の精神的負担も相当なものであろうに、これからも取材は続けると宣言されており、頭が下がる思いだ。大変重要な仕事をしておられるが、くれぐれもご自身の心身の健康も大切になさって頂きたい。
最後に、個人的に強く共感した箇所を引用する。
「当初、私は、言語化できる相手がいれば自殺しないのではないか、という仮説を立てていたが、正しくなかった。今となっては当たり前のことだ(中略)具体的なソーシャルワークにつなげても、メンタルヘルスのケアやサポートがなければ、自殺のリスクは低減しない(p.17)」 -
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渋井哲也『ルポ 座間9人殺害事件 被害者はなぜ引き寄せられたのか』光文社新書。
座間9人殺害事件を再検証するルポルタージュ。
普段は文庫を中心に読んでいるのだが、たまたま書店で目にした新書のタイトルが気になり、手を伸ばした。
2017年に発覚した僅か2ヶ月の間に9人もの若い男女を殺害し、遺体を損壊した上で自宅アパートに遺体をクーラーボックスに保管していたという類い稀なる猟奇的な犯行。犯人がSNSで被害者を選定していたという恐ろしい事件の詳細が犯人との面会を含めた綿密な取材により浮かび上がる。
誰もが匿名で自身の心中を吐露できるSNSは悩める者にとっては精神安定剤のような役割を果たす反面、使い方次第では犯罪を誘発する劇薬ともなり得る。こうした劇薬としてのSNSを利用したのが、座間9人殺害事件の犯人である。
自殺願望を持つ精神的に不安定な若い女性は与し易いとSNSで若い女性を物色した上で巧みに誘い出し、金銭と性的な快楽を求めた挙げ句の凶行。一度箍が外れると感覚が麻痺したかのように短期間で同様の凶行を繰り返すという悪魔のような所業。死刑判決は妥当であるが、失われた9人の尊い命は還らない。
本体価格820円
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2019年のいじめの認知件数は、前年度より6万8,563件増え、過去最多の61万2,496件となった。
そして、自殺した原因が、いじめと認定された小中高生の数は317人いる。
これは、驚くべき数字だろう。
ただ、この数字は、多分過少されているだろう。教育委員会は、「基本方針として」いじめと自殺を結び付けたくないからだ。
日本は、今も、昔も、いじめに対して、自浄作用などない。
大人たちが、本当に解決しなければいけない問題だと思っていないからだろう。
また、これは、学校だけの責任だけではなく、日本人全体の問題として、
捉えられていないからだろう。
日本では、毎日1人以上の中高生が、自ら命を絶っている、
その何倍もの子が、自殺未遂をし、その数百倍の子が、現在進行形でイジメに苦しんでいる。
この事実は、あまりに重すぎて言葉にならない。
この著者は、ネットに関わる若者の問題をメインに調査してきたジャーナリストという印象がある。
当事者に会い、現場を見て、実際、足を使って緻密に取材をしているので、非常に信頼している。
日本では、いじめられていたとカミングアウトする人はたくさんいるが、
自分は、いじめていましたという人は、ほとんどいない。
日本の小中高の8割でイジメが確認されているのだから、多くの人がイジメを経験している。
私は中学校の時、クラスの同級生をいじめていた。ずっと後悔していた。
大学の時に、たまたま英検の試験会場で偶然出会って、声を掛けた。
その時、彼は、私を見て、怯えていた。その表情が今でも忘れられない。
イジメはどこまでも続く。
会社に入れば、その内部で、凄惨なイジメを何度もみた。
それはそうだろう、みんな経験者なわけだから、
オトナになっても、イジメがなくなるわけはない。
会社同士のイジメも、なくならない。
それで、自殺する人は、ごまんといる。
この本に出てくるイジメのエピソードは、どれも強烈だが、知っておくべきことだと思う。
イジメる側だったからよくわかるが、自分に自信がないから、他人をイジメる。そうしないと不安だからだ。
大人になっても、イジメがなくならないのも、全く同じだと思う。
自分の立場に固執して、それを脅かすものがいたらイジメたり、
これも自信のなさや不安からきている。弱い立場になったている人を、
イジメて、カタルシスを覚えるサディスティックな人もいる。
今の日本社会は、ココロの戦争が毎日繰り広げられているようだ。自殺者は、毎年2万人を超える。その数倍の自殺未遂者、そして、数百倍もの自殺志願者がいる。中高生に、貴方には自信がありますか、日本の将来は明るいと思いますか、とアンケート調査した結果、7割が「ない」と答えている。
ほんとの戦場よりも、ひどいココロの状態になっている。
毎日、外に出るということは、戦場にいくようなことだと思ってほしい。
それは、物理的な争いではなく、精神的な殺し合いが、日々、日本で起こっていると思っていい。毎日、70人近くが自殺する。私の居住地域の人口が2万5千人、毎年、この数が自ら死を選んでいると想像するだけで、頭がおかしくなりそうだ。
もし、イジメられていて、学校や会社に行きたくないのなら、行くべきじゃない。できれば、イジメられた事実を証拠として残しておくといい。
誰が、いつ、何をしたか。両親が信用できなかったら、塾や習い事の先生でもいい。
ほんとに苦しんでいるんだと、伝えてれば、きっと誰かが助けてくれる。
少なくとも10人ぐらいに当たれば、1人はひっかかる。
そういう現実を知って、自分や愛する人を守ってほしいと思う。
相当ヘビーな世の中だが、より良く生きる上で、
日本は、まだ捨てたものじゃないと思わせるモノがたくさんある。そういうモノを知り、また出会い、身に着けて、何としても、今、厳しい状況にいる人は、生き抜いてもらいたい。 -
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【目次】
序章:子どもの自殺者数はなぜ過去最多を記録したのか
少子化にもかかわらず増え続ける子どもの自殺/10代自殺の象徴「トー横」のリアル/子どもの自殺はどんどん増加している/子ども・若者の自殺にはどんな特徴があるのか/自殺とは何か/「生きづらさ」と自殺
第1章:こども家庭庁と自殺対策室
こども家庭庁の誕生と子どもの自殺対策室設置/「こどもの自殺対策緊急強化プラン」は本当に有用なのか/こども庁設置の動きはどこから始まったのか/「子どもの権利」は与党には浸透していなかった?/地方議員の会も自殺問題に声をあげる/こども大綱での「子どもの自殺」の扱われ方
第2章:虐待と自殺
虐待と自殺の関係とは/小学生のころから父親に殴られ続けた結果……/虐待の後遺症で命を絶つ/行政が暴いた虐待による自殺/虐待の防止が自殺の防止につながると初めて周知された/心理的虐待が引き起こした希死念慮/面前DVから恋愛依存になり,そして……/年々深刻化する虐待問題/自ら児相に電話し保護された高校1年生/虐待に耐えられず,小1で自殺未遂/家庭内で起きるきょうだい間の性的虐待/援助交際やリストカットに救いを求める日々/父親による悲惨な性的虐待の末に自殺した弟/唯一安心できる存在だった兄からの性的虐待/ネット掲示板で自殺予告し,飛び降りた少女/虐待要因の自殺はコロナ禍で増加した?
第3章:市販薬依存と自殺
子ども・若者に蔓延する市販薬の過剰摂取/自殺したトー横キッズは市販薬に依存していた/Twitterでも市販薬についてツイートしていた/歌舞伎町では路上で倒れていても誰も助けてくれない/トー横界隈で何人もの知り合いが自殺/自殺配信をした松戸の女子高生2人/悩みは家族関係や将来のこと,学校のこと……/市販薬をODしながらの自殺配信はこれまでも/なぜ市販薬の依存が増加しているのか/子どもたちはなぜ自傷行為をするのか/厚生労働省が市販薬の販売を規制/トー横で市販薬ODが蔓延する理由/単なる規制だけでなく,本質的なサポートが必要
第4章:社会問題化したいじめ自殺
いじめによる自殺の実態/加害者の親から受けた二次被害がきっかけで命を絶つ/自殺未遂をしても,中学校はいじめを否定/加害者の親が言った信じられない一言/いじめが動機の自殺に見られる実行前のサインとは/なぜいじめの認知件数が増加しているのか/1970~80年代に見られたいじめ自殺,群発自殺/「葬式ごっこ」鹿川くん事件では自殺の予見性が認められなかった/いじめによって自殺起きる予見性を認めた津久井事件/詳細ないじめについての遺書を書いた大河内くん事件/なぜいじめの定義は何度も変更されているのか/「いじめ防止対策推進法」施行のきっかけになった悲惨ないじめ自殺事件/出しても届かないSOS/大人の対応に不信感を抱いた結果……/スマホによって見えなくなるネットいじめ/LINEへの投稿がきっかけで線路に飛び込んだ男子生徒/いじめが自殺のリスクになると社会が認めるべき
第5章:不適切な指導による自殺
「生徒指導」の転換点となった2022年/不適切な指導をきっかけにした自殺を意味する「指導死」/担任からかかってきた電話の40分後に飛び降りた/指導死に見られる特徴的なパターンとは/文科省から通知が出された池田町指導死事件/担任と副担任の厳しい指導叱責に晒され続けた/副担任が放った「お前らがホームレスになろうとどうなろうと関係ねえ」/「周囲が身震いするくらい怒っていた」という目撃証言/「安全な生活指導を考える会」が変えた「生徒指導提要」/文科省へ意見を手渡すまでの険しい道のり/遺族の声が国を動かした/東広島市中学指導死事件――「提要」の影響で和解/自殺した生徒は「生徒指導規定」によって厳しく指導されていた/生徒を追い詰めた2年次の指導内容/自殺を決定づけた教師からの屈辱的な指導とは/弁明も許されない異常な状況/高専でも起きた指導死/遺書とスマホのメモで明かされた学校からのいやがらせ/ハラスメント被害を訴えると,学校は態度を変えた/アカハラ疑惑の講師が突然,監査を命じた/不適切な指導に関する大臣発言・国会答弁/不適切指導への取り組みは自治体によってバラつきがある/仙台市では「不適切な指導」は条例で禁止
第6章 子どもの自殺政策史
転換点となった2023年/1970年代から始まった,子どもの自殺政策/特徴を捉えた『子どもの自殺防止のための手引書』/文科省の唯一の自殺統計・問題行動調査/自殺に追い込まれることのない社会を目指す自殺対策基本法/続く協力者会議での検討/緊急対応と背景調査/実態調査で自殺を把握する/こども庁の分析でわかった自殺と出席状況の関係/JSCによる死亡見舞金の問題点/法施行令の改正で高校生にも支給されるようになったが……/自殺予防教育への環境整備/SOSの出し方教育と「9月1日問題」/座間事件で浮き彫りになった若者自殺とSNSの関係/座間事件がきっかけで始まったSNS相談
終章:子どもの自殺を止めるために何ができるのか
子どもの自殺のみが衝動的か?/子どもの自殺の実態をどのように把握するのか/インターネット相談は子どもの自殺防止に役立つのか/国連は子どもの自殺の多さについて,日本にどう勧告したのか/子どもたちのために何ができるのか/生きた証を綴る意味とは -
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とても後味が悪い本。
筆者はネットや自殺に詳しい人だし、取材も尽くされているはずなのに、この筆者をもってしても事件の背景が掴みきれない、得体の知れない気持ち悪さが残る。事件の残虐さに結びつくような、加害者の生育歴だとか認知の歪みとかが出てこない。一方で死にたい人の孤独感が簡単につけ込まれてしまうのはよくわかる。
支援職として自殺予防にも取り組む上で、自殺を防ぎたいし、関わった相談者が危うい人間関係に取り込まれて傷つくことも防ぎたい。支援者の手の届かないところで、白石のような人間の動きがあるのが現実の社会だし、怖いけど、支援者としてはできることを精一杯やるしかないのだな、と思う。 -
Posted by ブクログ
死にたくて死にたくて死にたくてどうしようもない時、白石のように漬け込まれたら、自分だったら絶対助からない。
相手の都合なんか知らない、自分の「死にたい」を早く片付けたいと思うだろう。
その気持ちが一時的なものだったなんて、その時にはわからない。
自分が白石のような人間に出会わなかったのは、ただの偶然に過ぎないと思う。幸運と言うべきかも迷う。
犯人の白石については、殺意と性欲ががっちり結びついたケースだと思うけど、まともにやれば女にも金にも困らなそうなのに、なんでこんな手法に辿り着いてしまったのだろう。
普通に働くより9人やるほうが大変だと思うけど、そっちの方が楽なことなんてあるのか。
理解が及ばない。 -
Posted by ブクログ
この事件の怖さは、犯人の過去を遡ってもどこに猟奇的な事件を犯す背景(犯行に至るまでの真の動機)が見つかっていない事だと思う。
SNSの普及によって、より簡単に自分と同じような感覚や考えをもつ人を見つけて交流できるようになった。
日常会話ではしないような希死念慮(タブーとされる死の悩みなども)知らない誰かが共感し、弱みにつけ込んで巧みに相手をコントロールしていく。
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■2ヶ月間に9人殺害。
事件の流れ、裁判の様子が詳しく書かれていたが、被害者との出会い方から殺害までが流れ作業のように全て一貫している。
『自分がヒモになれる人探し』ゲームをしているように簡単に相手を引き付け、強姦し殺害する。
犯行初期の段階で自身が捕まった時の刑罰を検索し、捕まった時点で死刑を覚悟していた様子。
(裁判でも弁護人質問だけ無視している)
被害者がどんどん増える一方、犯行が全然バレず捕まらなかったら永遠と続けるつもりだったのだろうか…?
被害者となった人たちは、人間関係など何かしら原因があり精神的に追い詰められていた。
⇒読んでいて、環境が違えば誰にでもありそうだし、まじめで優しすぎる人ほど自殺願望が強いのかなと思えた。
■この事件がもとでSNSへの書き込み(死にたいなど)の監視が厳しくなった。
若年層の自殺者数は増える一方で、SNSをはけ口にしていた人が実際に相談窓口に相談できるかは私自身が当事者だとしたら難しいんじゃないかなと思った。自殺者、希死念慮をなくす社会つくりは難しい事だと思う。
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Posted by ブクログ
事象の羅列、文章の前後関係がわからなかったり事象がどこから切り替わったのかわからなかったりするが、得てして自殺するものの心理を考察している。
死にたいというより消えたいという感覚になるということだが、消えたいと思うことは誰しもあるのではないだろうか。そこでしばしの死んだあとの妄想で粛々と現実を生きる人と、決行してしまう人との差は何なのか。そこにはあまり差がなかったりするのだろうか。原因追及については現在も進んでいない状態とのこと。
いずれ死ぬのだから、死ぬまでこの世を楽しめばいいと思う。それは私が恵まれた環境で健全な心の持ち主だからそう思えるのであって、家族や環境に恵まれなかったりすると違う考えになるのだろうか。うつ症状を煩う人は真面目さから来るとか甘えなどというが、私は視野狭窄という免疫不足からくる病だと考える。日常=世界になってしまっている。
本の世界でも、空想の世界でも現実逃避はすぐに可能だし、死ぬくらいならすべての人間関係を絶って自由に暮らせばいい。こういう考えもかすらないくらいの精神状態になっているとしたら、それは明らかに病の一種ではなかろうか。