和田靜香の作品一覧
「和田靜香」の「おでんの汁にウツを沈めて 44歳恐る恐るコンビニ店員デビュー」「中高年シングル女性 ひとりで暮らすわたしたちのこと」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
第9章 そこまでどうやってきたのか?
でも、腹をくくるだけでは乗り越えられないことはたくさんある。うめこさんの言うとおり、「どうやってきたのか?」私も知りたい。
それで、社会福祉士として働く清川さん(仮名)という女性を友人に紹介してもらい、教えてもらうことにした。ファミレスで向かい合って座り、中高年シングル女性は老後をどう迎えたらいいだろう?って不安なんですよーと言うと、「ぜんぜん心配には及ばなくて、無理して社会とつながる必要はなく、ただ手を差しのべられたらそれは受け入れる心のゆとりを持っていれば、なんとかなると思いますよー」と、運ばれてきたハンバーグをもぐもぐしながら言ってた。えっ、そうなんですか? すごい心配してるんですけど、と私もプリンを食べながら重ねて聞けば、「民生委員さんもいますし、小学校区ごとに地域包括支援センターがあって、ひとり暮らしの人を見回ったりしてくれますから。認知症でひとり暮らしの人もけっこういますよ」という。認知症でひとり? 賃貸がそもそもありますか?
「私の母もひとり暮らしなんで、入居するときの条件が配食弁当をとるか、ヤクルトや牛乳をとるか、でした。安否確認をそれでするんですね。最近はそういう条件を付けて高齢者を受け入れる物件もあります。緊急通報システムは和田さんの住む中野区でもあります。所得に応じて利用料は変わりますが、月六〇〇円ぐらいで何かあったらボタンを押すシステムです」
世の中少しずつでも、高齢のひとり暮らしを守る方向に変わり始めている。そういうことを知るためにも早めに地域包括支援センターに通った方がいいでしょうか?と聞くと、ちょっと首をひねられ、「一度相談に行けば台帳が作られるので十分。仲良くなろうとしても、職員は異動が激しいので意味ないですよ」と言われる。残念そうな顔をすると、「たしかに六五歳までは間があって、何もしてもらえない不安はありますね。そこまではひとりでやるしかない。二〇一一年から全国に広がった「暮らしの保健室」というのが中野区にもあるので、介護や健康に関する相談はできます」と聞いて、「そこ、行きます!」と手をあげて宣言してしまった。
そして「六五歳を過ぎたら地域包括支援センターでは「ひとり暮らしの食事会」が開かれていたり、体操教室もあります。そうやって外に出て行くとみんなが見てくれ、あの人どうしるかね?と気にしてもらえます」と言う。外へ、外へ、だ。
「大事なのは寿命が来るまで楽しんで、ひとりで死ぬことを覚悟し、ちょっと社会とつながる。そうすれば大丈夫ですよ」なるほど。楽しみ、覚悟し、ちょっとつながる。
Posted by ブクログ
当事者でもある著者が中高年シングル女性が被っている実情を当事者たちの証言をもって詳らかにする。労働、性差別、住宅、家庭などの各種章立てテーマそれぞれで困難にぶち当たっている。全編通じてつながること、個人の尊厳が守られることの重要性を繰り返し説く。
私は30代男性、本書で語られるテーマとは結構な対極にあるという自覚がある。何か自分の意見を表明するのも二の足を踏む心境である。
しかし、人が当たり前に享受すべきことができないという状況はそのままでよいという考えにはなれない。私は確かに既得権益者なのだろう、他人ごとと突き放す非常さに葛藤する自分がいる。が、自分ごととして受け取り日常の範囲で思考と行動を変容させること。そこから始めていきたい。差し迫っている未来を見据えながら。
尊大なことを申しておりますが、つまりはとってもおすすめです。本書は日本におけるフェミニズムの変遷まで話題が及んでおります。大局的な時代背景を学ぶと同時に、今まさに直面している具体的な課題を当事者たちが生の声を届けてくれる貴重な内容となっている。男性にこそ、手に取ってもらいたい一冊である。