江夏幾多郎の作品一覧
「江夏幾多郎」の「人事評価の「曖昧」と「納得」」「デジタル・ワークシフト マーケティングを変えるキーワード30」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「江夏幾多郎」の「人事評価の「曖昧」と「納得」」「デジタル・ワークシフト マーケティングを変えるキーワード30」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
私は会社員だった頃、長く人事の仕事に携わっていた。その時に、人事評価制度というのは、けっこう頭の痛い問題であった。自分に対しての個別の評価に納得しない人は多いし、その会社の「制度」そのものについて意見のある人も多い。そして、人事屋にとって頭が痛かったのは、その不満なりが、一定の納得性を持っていることだった。人事として、社員個々人の評価そのもの、あるいは、評価制度に対しての意見・不満を聞いていると、確かにその内容には一理あることが多いのである。
一方で、書店にいけば、そのような曖昧な制度や運用を正すためには、このようにすれば良いですよ、と教えてくれる人事評価に関しての教科書的な書籍が数多く並んでいる。ただ、私自身は、そのような教科書的な書籍を読んで、本当に納得したことは一度もなかった。
本書は、そのあたりのスタンスが初手から異なる。人事評価制度や評価そのものは、曖昧さを含んでいるものである、という前提から議論を出発しているのである。
例えば、下記のような説明が本書の中ではなされる。
『運命的に曖昧なものにならざるをえない。かと言って、透明性や客観性を演出するトリッキーな結果説明にもあまり頼れない。では、人事評価を取り巻くこうした状況において、幅広い従業員に評価に納得してもらうことは、まったく不可能なことなのでしょうか』
『人事評価の曖昧さに納得してもらうための「支え」の多くは、じつは働く人たち(従業員)の日常の中に散らばっています。また、人事評価を実行する側がその「支え」を見出すためのサポートを日常的に行うことで、「支え」ははじめて「支え」となります。これは納得の源泉を、評価そのものから日常の経験に見出すことに「逃げる」ということではありません。生活の安定を支える報酬、居心地のいい職場、仕事のなかで充実感や挑戦機会などを確保する。そして、その確保に貢献してくれた人々が人事評価にも関わっている。この二つがあってはじめて、曖昧な評価に対する否定的な印象が中和するのです』
人事評価制度や、評価をすることに、曖昧さはつきまとうものなのであるが、従来の「人事評価の教科書」的な書籍は、より厳密に、より論理的に評価結果を導き出すには、どのような制度設計とし、どのような運用をするべきかを強調する。それには、多くの人事屋は違和感しか感じないはずだ。
本書にように、評価される側と評価する側の間に、ある種の信頼感があって初めて評価制度というのは成立するものなのだという説明には、納得感がある。もちろん、では、その「信頼感」はどうやって醸成できるのかということは宿題として残ってはいるのだが。
筆者は学者である。
上記のような、「評価にはあいまいさがついてまわる」ということを、学者らしく厳密に追及しているところに、本書の面白さはある。
Posted by ブクログ
デジタル時代における競争環境の変化を前提として、それに対応すべく、組織や人材のあり方など、日本企業にとっての総合的な経営課題についての論文が30本掲載されている。今回のコロナが今後の経済や社会のありかたをどう変えていくかというヒントになるかと思い手にとってみた。
2018年の出版ですでに2年が経過しているが、出版時点でも既に過去のものと認識されていたはずの伊藤ハムのハム係長の事例など、すでに古さを感じる内容も含まれている。書中、デジタル時代の環境変化の速さとそれに対する組織や意思決定のスピード感がなんども強調されているだけに残念である。
全ての章において一貫してるのは、時代の変化に対応して変わるべき日本企業の大多数が過去の制度やオペレーションを維持しつづけ、そのために競争力を失ってきている事への危惧がある。特に人材や組織の運用、変化に適応できる企業文化の醸造などにおいては、先進的なIT企業やベンチャー企業での事例が多く紹介されているが、おそらく大手を中心とした旧来型の日本企業では、そうした問題やニーズは寺社には存在していないという認識なのであろう。
また、企業サイドだけではなく、いわゆるメンバーシップ型の雇用慣行に慣れきっている労働者サイドにも危機意識は向けられている。安定をどう定義するかという問題において、働いている企業が業績や財務において安定しているという「安定的なものの中にいる安定」な安定と、自分自身のスキルが高くどこにいっても通用するという「変化する環境に自分が適応できる安定」分けられるというが、当然、多くのサラリーマンは前者を当たり前と思いそれを選好する。しかし、それは安定を他人に委ねるという、主体性がなく危険性を孕んだモデルでもあるといえる。すでに、終身雇用は崩壊しグローバル競争と変化のスピードアップによって企業もその余裕はなくなっている。すでに内的な安定が重要であるという世界に向かっているのは明白であるが、あいかわらず会社に安定を求める傾向は、新卒の就活生においても同様であるという。