あらすじ
アイツの評価はなぜあんなに高いのか?
それでも納得してしまうのはなぜか?
多くのサラリーマンが会社からの評価に不満を溜めているが、その原因は、そもそも人事評価が必然的に「曖昧」にならざるを得ない点。実際、多くの人は「公平・公正な評価など理想論」と言い放つ。こうした「曖昧」な評価をサラリーマンたちは、どう「納得」して受け入れているのか。日本のサラリーマンの心理と行動の分析から、人事考課が抱える問題を明らかにする!
■目次
第一章 人事評価の成り立ち
第二章 曖昧化する人事評価
第三章 曖昧さの中での納得
第四章 職場や従業員に寄り添う人事評価
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私は会社員だった頃、長く人事の仕事に携わっていた。その時に、人事評価制度というのは、けっこう頭の痛い問題であった。自分に対しての個別の評価に納得しない人は多いし、その会社の「制度」そのものについて意見のある人も多い。そして、人事屋にとって頭が痛かったのは、その不満なりが、一定の納得性を持っていることだった。人事として、社員個々人の評価そのもの、あるいは、評価制度に対しての意見・不満を聞いていると、確かにその内容には一理あることが多いのである。
一方で、書店にいけば、そのような曖昧な制度や運用を正すためには、このようにすれば良いですよ、と教えてくれる人事評価に関しての教科書的な書籍が数多く並んでいる。ただ、私自身は、そのような教科書的な書籍を読んで、本当に納得したことは一度もなかった。
本書は、そのあたりのスタンスが初手から異なる。人事評価制度や評価そのものは、曖昧さを含んでいるものである、という前提から議論を出発しているのである。
例えば、下記のような説明が本書の中ではなされる。
『運命的に曖昧なものにならざるをえない。かと言って、透明性や客観性を演出するトリッキーな結果説明にもあまり頼れない。では、人事評価を取り巻くこうした状況において、幅広い従業員に評価に納得してもらうことは、まったく不可能なことなのでしょうか』
『人事評価の曖昧さに納得してもらうための「支え」の多くは、じつは働く人たち(従業員)の日常の中に散らばっています。また、人事評価を実行する側がその「支え」を見出すためのサポートを日常的に行うことで、「支え」ははじめて「支え」となります。これは納得の源泉を、評価そのものから日常の経験に見出すことに「逃げる」ということではありません。生活の安定を支える報酬、居心地のいい職場、仕事のなかで充実感や挑戦機会などを確保する。そして、その確保に貢献してくれた人々が人事評価にも関わっている。この二つがあってはじめて、曖昧な評価に対する否定的な印象が中和するのです』
人事評価制度や、評価をすることに、曖昧さはつきまとうものなのであるが、従来の「人事評価の教科書」的な書籍は、より厳密に、より論理的に評価結果を導き出すには、どのような制度設計とし、どのような運用をするべきかを強調する。それには、多くの人事屋は違和感しか感じないはずだ。
本書にように、評価される側と評価する側の間に、ある種の信頼感があって初めて評価制度というのは成立するものなのだという説明には、納得感がある。もちろん、では、その「信頼感」はどうやって醸成できるのかということは宿題として残ってはいるのだが。
筆者は学者である。
上記のような、「評価にはあいまいさがついてまわる」ということを、学者らしく厳密に追及しているところに、本書の面白さはある。
Posted by ブクログ
評価者と批評価者の歩み寄りを促す内容、綺麗事の理想論ではないので勇気が湧く感じがする。
仕組みも大切ではあるけど結局は実践であり運用であり道徳。