読む前から想像はついていたけど、溢れる涙は抑えられなかった。
拘置所で「所持金が底をついて、世話になった知人に出す葉書も買えない」とため息をつく万引きの常習犯の言葉を聞いた帰り際、財布にあったなけなしの2千円を係官に託す著者。
被告人が派遣切りを恨んで無言電話を続けた相手の男性社員に代わりに謝罪
...続きを読むに赴き、「本当に申し訳ないと思っているなら、土下座でもしてみろ!」と言われて土下座する著者。
「この訴状の書き方は何だ! お前それでも弁護士か!」と、健常者と差別なく厳しく指導するボス弁。
何かお願いすると「はいっ。分かりました。先生、これでいいでしょうか!」と、依頼者の前ではさも著者が大先生であるかのように立てる秘書。
著書が光を失い始めた頃、西洋医学で駄目なら鍼灸、そして東洋医学と、愛する我が子のために治療を求め続ける親。
「ある学生から、君が点字でノートをとる際の音がうるさくて迷惑していると苦情が出ている。だからそこではなくて、ほかの学生がいない隅の方に座りなさい」と100人近くの学生の前に立たされて教授に面と向かって言われたとき、「席を移る必要はない」と教室のあちこちから声を上げた学生たち。
(2012.9.17)