【感想・ネタバレ】全盲の僕が弁護士になった理由のレビュー

あらすじ

なぜ彼は、光を失っても絶望せず、軽やかに笑って生きているのか…
全盲弁護士の生き様には、全ての困難を突破するヒントが隠れている!

●困難な目標を達成する突破力とは?
●顔を見ずに人の心を読むテクニックとは?
●苦難をエネルギーに変える思考法とは?

震災、不況、高齢化…。逆風だらけで「できない理由」が身の回りに溢れているいまだから読みたい1冊

全盲弁護士・大胡田誠の半生を描く本書の企画はそこから始まった。12歳で視力を失いながらも弁護士を志し、8年の苦学を経て司法試験に合格。町弁(町医者的弁護士)として深刻な悩みを抱える依頼者を支える一方で、全盲のパートナーと結婚し、子育てにも奮闘する。 どんな逆境にあっても、人生を「楽しむ」ことを諦めない。そんな著者の生き方に迫る。困難と闘うすべての人に贈る、汗と涙の奮闘記。身近で素朴な疑問から弁護士の仕事の裏側まで、ハンディに負けずに明るく生きる秘訣を紹介する。

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Posted by ブクログ

テレビ番組で大胡田誠さんの特集をみて本書を拝読。

「健常者と同じにように障害者と接して」と度々言われるが、それは無理なことだと私は思う。批判や誤解はあるかもしれないが。健常者と同じように接するということは我々が健常者にするのと同じように性格を批判したり欠点を揶揄したりしないといけない。「弱者を労われ」と教育されてきた我々にとって逆差別が足枷となりそれは心理的ハードルが物凄く高い。本当に自然にそういうことができる人々は極一部だと思う。それを認めたうえで我々に何が出来て何が出来ないか、一つの答えが本書のなかにある。

先天緑内障で視力を失う恐怖を味わい、無謀とも思える司法試験に挑戦し、絶望のなか5度目の挑戦で合格し、幼馴染の亜矢子さんと出来ちゃった婚(!)。全盲のふたりと周囲の協力を得ながら二人の子供を育てている。思春期に視力を喪失し今に至るまで凄まじい葛藤があったであろうが、いまの大胡田さんは全盲だからこそできること(共感力や集中力、聴覚)、全盲だからできないこと(彼をみるとそれは全盲だけに思える)をうまく使い分け折り合いをつけて生活しているように感じる。ゆえに人間や人生の真理を捉えた心に響く言葉がふんだんに散りばめられている。

なぜ大胡田さんはそうまでして頑張ってこられたのか、その理由が先に挙げたテレビ番組にあった。大胡田さんと亜矢子さんが「音楽家」として特別支援学校へ慰問に行った際、ある女学生から「私は幼いころから片耳難聴で右耳が聞こえません。障害に立ち向かうのは相当な苦労があったと思いますが、大胡田さんは障害をどう乗り越えましたか?」と質問を受ける。そのときの大胡田さんの言葉、「自分のためだけに生きているとつらくなっちゃって限界を感じることがあるんだけども、自分を必要としてくれる誰かのために生きる。そうすると自分の障害なんて関係なくなっちゃうんですよね。その人のために自分がどうできるか、何ができるかを考えることによって障害を乗り越えられているような気がしています」。答えを聞いた女学生同様、私も心を打たれてついつい泣いてしまった。土曜の早朝だったけれども。

心は「体のどこか」ではなく「人と人との間にある」にある。人は何のためになぜ生きているのか、ひとつの示唆を与えてくる一冊であった。

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2018年06月18日

Posted by ブクログ

本の中ではさらりと書いてますが、いろいろ大変だったんだろうなと想像できました。人生何事も負けてはいけないということが伝わってきます。

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2015年12月30日

Posted by ブクログ

「あきらめない心の鍛え方」という副題は内容と照らし合わせて適当なのかどうか若干疑問だが、書籍の内容自体は素直に書かれている文章で好感が持て、と同時に色々と考えさせられるところも多い良書だと思う。

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2015年04月20日

Posted by ブクログ

会社の上長に薦められて読んだ一冊。

全盲というハンデを持ちながら、弁護士という最難関の資格・職業を目指した方の、想像もつかない努力や背景に興味を惹かれて読みました。



努力の仕方やノウハウを記したものではなく、
著者やその周りの方々との今までの経緯を綴った一冊でした。



【内容の抜粋】
全盲の子を授かった両親の覚悟と愛情

・人は無意識のうちに「自分にできるのはここまで」と限界を線引きしている

・障がい者が社会に出て自立するチャンス、努力の機会すら与えてもらえない人間が、現実として存在する

・人間はいろいろな人との関わりを通じて自分の立ち位置を確認する生き物。だから、閉じられた世界にいると、寄る辺ない孤独に襲われて、自分を見失いそうになる

・勝負に勝つために何より大切なのは、自分の弱さを見せつけられた時
逃げずにそれときちんと向き合う心の強さを持つこと

・きちんと準備をしてきた人にとっては、「もうだめだ」と思った時が、限界の先にある自分に最も近づいた瞬間

・人は相手が身近で大切である程、色々なことが当たり前になってしまって、相手の存在の大きさを忘れてしまう

・人と人とはいつも鏡映しの関係にある

・「悪意のない差別」が障がい者の社会進出を難しくしてしまう

・「心」は、人と人との間にある。誰かのことを思った時に、その人との間に生じる感覚




久しく本を読んで泣きました。

「弁護士の仕事は、法律に人格を載せて売る商売なんだ」という言葉と、
「人生で迷った時は、自分の心が『温かい』と思う方を選びなさい」という言葉が個人的には印象的です。

心が暖まり、自らの無意識の差別に気付き、懸命に生きることの姿勢を感じ取ることのできる一冊でした

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2012年11月10日

Posted by ブクログ

読む前から想像はついていたけど、溢れる涙は抑えられなかった。

拘置所で「所持金が底をついて、世話になった知人に出す葉書も買えない」とため息をつく万引きの常習犯の言葉を聞いた帰り際、財布にあったなけなしの2千円を係官に託す著者。

被告人が派遣切りを恨んで無言電話を続けた相手の男性社員に代わりに謝罪に赴き、「本当に申し訳ないと思っているなら、土下座でもしてみろ!」と言われて土下座する著者。

「この訴状の書き方は何だ! お前それでも弁護士か!」と、健常者と差別なく厳しく指導するボス弁。

何かお願いすると「はいっ。分かりました。先生、これでいいでしょうか!」と、依頼者の前ではさも著者が大先生であるかのように立てる秘書。

著書が光を失い始めた頃、西洋医学で駄目なら鍼灸、そして東洋医学と、愛する我が子のために治療を求め続ける親。

「ある学生から、君が点字でノートをとる際の音がうるさくて迷惑していると苦情が出ている。だからそこではなくて、ほかの学生がいない隅の方に座りなさい」と100人近くの学生の前に立たされて教授に面と向かって言われたとき、「席を移る必要はない」と教室のあちこちから声を上げた学生たち。
(2012.9.17)

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2012年09月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 日本で三人目の全盲の弁護士の著者。
弁護士の仕事、小さい頃の話、司法試験合格までの道のり、そして最後の章では全盲のパートナーと子供さんの話が書かれていました。
著者は夫の高校時代のクラスメイトなので、私はお会いしたことないけど、すごく親近感を持って読みました。

作中に、ものすごく大変なことを自分で必死でやるよりも、ちょっと手を貸してあげよう、そう思ってもらえる自分になりたい、と言った記述があります。
これ、まさに私が本を読んでいて感じたことでした。
見えないハンディを必死に努力でカバーしてる様子が描かれていて、こんな素敵な人ならきっと周りに協力してくれる仲間がたくさんいるんだろうなと思った。

そしてびっくりしたのは、子育てについて書かれた部分。
うちの夫と言ってることが全く同じだったんです。

他の家庭より子供に色んな思いをさせることがあるかもしれない。
でも自分たちだからこそ子供に伝えられることはきっとある。
色んな人と関わって、素敵な心の持ち主になってほしいとの記述にうんうんとうなづきながら読みました。
こうやってがんばってる全盲の職業人、応援したいです!

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2012年08月24日

Posted by ブクログ

全盲の弁護士 大胡田誠さんのドキュメント

「見える」人でも難しい資格に挑戦し、結果を出したこと。
そしてその後も弁護士として健常者と同様に
「普通に」勤務されていること、どちらにも驚きがあった。

見えない人を考えて試験問題を作るわけでは無い事
多くのボランティアが翻訳すること、
誰かに協力してもらわなければ難しいこともあるようだが
大胡田さんの前向きな姿勢に皆彼を助けたくなるんだろう。

「一人で何でもできる力を身に付けるよりも、
 周りの人に「力を貸そう」と思ってもらえるような自分になろう」
「同じ努力ならそちらの方が大きなことができる」

人に頼むより自分でやることの方が、「らく」なことが多いのは
経験からも明らか。そんななか新しい挑戦を続ける大胡田さんは
そこにある変なプライドを脱ぎ、素直に楽しく暮らしているんだろう。

自分でできるように「硬く」なる必要はなく、大胡田さんのように
「しなやか」で強く、しぶとく、がんばろうと思える、元気になれる1冊


僕らはみんな自分の弱さを抱えて生きている。弱さが自分の中にあることを進んで認め、正面から向き合い、それをうまく自分の側に引き入れる。 「もうだめだ」と思ったときが、限界の先にある自分にもっとも近づいた瞬間。 逃げずに弱さを一度は受け止めて、そして自分を信じる。信じる力はそれまで積み上げてきた努力の量に比例する。最後の最後で自分に負けないための努力を日々しなければ。

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2012年06月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「初めから「できない」と決めつけない。
まずは何でもやってみる。
知恵と工夫を惜しまない。そうすれば「限界だ」と思ったことの何割か多くのことができる」

これは視覚障害者の著者だけではなく、すべての人に当てはまる言葉なのではないかと思いました。

涙が流れることもあるという繊細さも持ち合わせている著者ですが、どんな困難に遭っても目標に向かってしっかり結果を出している姿は大変参考になりました。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

命がこれほどまでに儚いものであるならば、この幽玄な宇宙の中で、同じ場所で同じ時を共有できる事自体が、おそらく奇跡なのだ。一期一会。

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2015年04月24日

Posted by ブクログ

最初は読むのを断念しそうになったが、
だんだん読んでいるうちに、なんて前向きな人なんだ。と感動した。

自分だったら目が見えなくなったら引きこもってしまいそうだけど、
目が見えないことに甘えることなく前へ前へ進む姿、
見習わないといけない。

自分の子育てにも役立ててみようかと思う

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2013年08月29日

Posted by ブクログ

目が見えないからこそ、人の心が分かる。

目は口ほどにものを言うとは言うけど、口も心を語る、と。

何だかよく分かる。

そして「心と心は鏡」もよく分かる。

自分が苦手だな、と思う相手は、相手も何かこちらを苦手と思っているはず。

自分がもし全盲になってしまう子供を産んだとして、こんな風に育てられるかな。

それにしても日本では17人に一人が何らかの障害(精神含む)らしい。
自分の身の回りだけが、全ての世界ではない。

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2012年05月16日

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