作品一覧

  • おっかなの晩
    -
    1巻770円 (税込)
    江戸は中期。浅草川に浮かぶ島、日本橋の箱崎。ここは海水と川の水が入りまじり、先にある中洲で水の流れが三つに分かれるので、別名『別れの淵』ともいう。川辺の小さな船宿若狭屋を切り盛りするお涼は、情に厚く面倒見の良い女将だ。彼女の人柄からか、はたまた色々なモノが流れ集まる土地柄なのか、若狭屋にはちょっとさみしい魂がふらりとやって来る。人間もあやかしも隔てなく――。狐憑きと噂される花魁や川に消えた子供、息子を捜す山姥……。あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿で女将が出会う、愛おしくてあたたかい、八つのあやかし話。
  • 踊る猫
    4.1
    1巻660円 (税込)
    お滝は、女衒にたぶらかされ、京の島原で遊女となった。童女だったころのお滝に憧れていたと、訪ねて来た男。その本性は!?(「かわたろ」) 河童、雪女、ウブメ。画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした妖たちの、こころに響く物語九編。幽霊となった武家のご新造と出逢った植木職人の宗七。宗七がたぐり寄せた、切ない結末とは……。(第三回小説宝石新人賞受賞作「梅と鶯」を収録)
  • 月虹の夜市
    3.6
    江戸は浅草川に浮かぶ島、箱崎の小さな船宿「若狭屋」を切り盛りする女将のお涼。彼女は父親譲りの見えてしまう体質で、その面倒見の良い人柄からか、あやかしたちの世話をつい焼いてしまうのだった。探し物をしている片目片足の小僧、小さな蹴鞠の神様たち……。人間以外のお客が今日もまたお涼の元をふらりと訪れる。あの世とこの世をつなぐ不思議な船宿を舞台に贈る、愛おしくてあたたかい、あやかし奇譚。好評シリーズ第2弾。
  • 恋する狐
    4.5
    1巻605円 (税込)
    皆が浮かれ、賑やかに踊るやすらい祭り。商家で歓待を受けた蕪村が、鮒の塩漬けを土産にもらい機嫌よく帰途につくと……。薄暗い草むらから若い公達が現れた。「我はこの世の者ではない」と言う。見目麗しい公達が、叶わなかった恋を語りだす。その公達の正体とは!?(表題作) 画家で俳人の与謝蕪村が見聞きした妖たちの、もの悲しくもこころに響く物語九編。

ユーザーレビュー

  • 踊る猫

    Posted by ブクログ

    与謝蕪村を狂言回しに据えた9つの短編とデビュー作が収録されており、そのうち3回ほど泣かされました。たまにはスマホ弄りの手をちょいと休めて、江戸時代の幻想奇譚に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

    0
    2020年04月05日
  • 恋する狐

    Posted by ブクログ

    前作「踊る猫」で与謝蕪村の人柄の良さにほれ込み、単行本化されるのをずっと心待ちにしていました。前作ほど前面に出てくることはないものの、より一層魅かれました。悲劇的な終わりが想起されるエピソードが意外な形に収まるのがとりわけ印象的でした。

    0
    2020年04月05日
  • 月虹の夜市

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    匂いとか音色とか気配とか、不確かで目には見えないものなのに、忘れ去られた遠い記憶を蘇らせるものに人は弱い。
    何故かは分からないけれど、心の奥を揺さぶり自然と涙してしまう。

    見えないモノが見えてしまう、不思議な力を持つお涼の周りで起こる摩訶不思議な連作短編の続編。
    この世とあの世を行き来する妖しいモノ達がお涼の元に引き寄せられるようにやって来る。
    第2弾も前回に負けず劣らず、ほのぼのとしたり切なくなったり。
    チャキチャキの江戸っ子のお涼の気っ風の良さがとても心地好い。
    お涼の父親・甚八の話にも泣ける。

    折口さんの描く「あやかし奇譚」はいつも優しい気持ちにさせてくれて外れなし。
    第3弾もぜひ書

    0
    2019年03月24日
  • 恋する狐

    Posted by ブクログ

    シリーズ2作目。9編の短編集。
    今回も蕪村が関わるちょっと不思議なお話がずらり。
    前作同様とっても面白かった。全てを受け入れる蕪村の懐の深さと朗らかさが際立つ。9作目の表題作は、してやられたり感が何とも小気味好い。
    それが解説によると夢幻能に長けているともっと楽しめるのだとか。
    調べてみたいものである。

    0
    2018年03月05日
  • 踊る猫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    江戸時代の俳人にして絵師の与謝蕪村。
    蕪村の見聞きした摩訶不思議の出来事を綴った幻想奇譚。

    蕪村の怪異に対する目線がとても柔らかいから、どれも優しく温かな気持ちになれる。
    切なく泣けるものも多かったけど、読後は爽やかで清々しい。
    不思議を不思議と真っ正面から受け入れて愛おしむ。
    蕪村の案内で素敵な時間を過ごせた。
    続編の『恋する狐』も是非読みたい。

    0
    2017年08月17日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!