川島真の作品一覧
「川島真」の「ウクライナ戦争と世界のゆくえ」「軋む中国 実力と虚像」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
本書は、古代から現代まで五千年にわたる中国史を、簡潔かつ鮮やかに描き出す一冊である。神話的王朝・夏から始まり、殷・周を経て、春秋戦国時代には諸子百家が思想を競い合う。儒家や法家の思想は後の国家体制に深く影響を与えた。
紀元前221年、秦の始皇帝が中国を初めて統一し、中央集権国家の原型を築く。続く漢王朝は官僚制度を整え、儒教を国家理念とし、シルクロードを通じて西方と交流した。その後も三国、隋、唐、宋、元、明、清と王朝が興亡を繰り返すが、中国史の特徴は「分裂と統一の循環」にある。異民族王朝(元・清)も中国文明を継承し、独自の発展を遂げた。
19世紀になると西欧列強の侵略と内乱が清朝を揺るがし、辛亥革命によって帝政は終焉。20世紀は軍閥混戦、日中戦争、国共内戦を経て、1949年に中華人民共和国が成立する。毛沢東時代には大躍進や文化大革命などの激動があり、多くの犠牲を生んだ。鄧小平による改革開放政策以降、中国は市場経済を導入し急速な経済発展を遂げ、世界的な大国へと変貌した。
著者は、中国を単なる専制国家の歴史としてではなく、多様な民族、思想、文化が交錯するダイナミックな文明として描く。そして、国家と個人、統制と自由、伝統と革新という緊張関係が常に中国の歩みを形作ってきたと示す。中国史は固定的なものではなく、絶えず変化し再編される物語であると結論づけている。
この本の魅力は、「巨大で難解」と思われがちな中国史を、人間ドラマとして描いている点にある。王朝の交代や思想の対立が、単なる年号の羅列ではなく、価値観のせめぎ合いとして立体的に伝わる。
特に印象的なのは、中国史を「統一への志向」と「多様性の包摂」という二つの力で説明している点だ。強大な中央集権を築きながらも、外来文化や異民族を取り込み続けてきた柔軟性が、中国という文明の強さなのだと気づかされる。
現代中国を理解するには、近代以降だけでなく、この長い歴史的記憶を踏まえる必要がある。本書はその入口として最適であり、世界情勢を考える上でも示唆に富む一冊である。
Posted by ブクログ
おそらく21世紀では最高の外交・安全保障に関する政治力が高かった政治家・高村正彦による回想録。正直な話「外交の安倍」という評価の8割はこの人が後ろで支えていたお陰だと思っている。
冷戦が終結し、世界の枠組みが変わっていく中で旧来の「9条平和論」に拘泥していた政・官を根気強く変えていった著者の苦労が読み取れる。
当時はあまりそんな感じはしなかったけど小泉さんとはかなり険悪で安倍さんとはずっと仲良かったんだね。小泉時代に総裁選出てたとはいえそこは意外。
終盤は憲法9条論における芦田修正の根拠のなさと砂川事件の唯一の判例性に触れていたのが面白かった。判例を絶対視しすぎるのもどうかと思うけど、現状それ以上のエビデンスが無いのは確か。
あとはまぁ、やっぱり総理大臣やるなら財務大臣か外務大臣は経験してないと厳しいよなぁとつくづく思った。岸田さんについては(悪い話も含めて)全く触れてないけどどう思っていたんだろうか。