●「習慣道」成就のための日記の使い方
誰もが続けたいと思う成功や夢への努力。でも大抵の場合は3日坊主だったり、1ヶ月続いたのに仕事が忙しくてやめてしまったりとうまくいかないことが多い。そんな「続けられない人」のために提案された方法がこの3分間日記だ。
●意識付けの強化と振り返りのショートスパン化が生み出す効果
2章以降に具体的な手法やその目的/効果書かれているので割愛するが、著者が提案する3分間日記のフォーマットを簡単に説明するとこうだ。
?目標(長期目標+短期目標)
?やりたいこと
?今日の出来事
?今日の感謝
?成功法則/学びの言葉
最初に夢や目標のリストアップ(棚卸し/サルベージ)という作業をおこなうのが前提だが、??を朝に書き、???を夜に書く。しかもデジタルではなく手書きで書くことに意味がある。
??はまったく同じ内容だとしても毎日手で書く。これは引き寄せ効果にも繋がるが、自分の中のアンテナを夢や目標に向けて固定化させる効果がある。忙しくて夢や目標にむけた時間をとれなくても、これを行っておくことで自分の中の情報フィルターが必要な情報だけを勝手に抜き取ってきてくれるのだ。
入ってる情報が変われば、それによって自分の感じる印象や行動が必ず変わってくる。ここを取りこぼさず掴み取るために行うのが???だ。こちらも当然手で書く。?はどんなささいなことでもいいからその日に起きた事とそれをどう感じたかを書く。良い出来事はそのまま書けばいいが、悪い出来事は事実を書き、肯定する言葉を使ってマイナスイメージにならないようにする。?は少し宗教的だが、周りに感謝する気持ちを忘れないために無理矢理にでも感謝する。これをしておくと少しのことでも感謝できる心に近づくことが出来、つねにハッピーになることを探せるようになる。?は普遍的な法則ではなく、自分や個人にだけしか通用しない成功法則でも一向に構わないので、人生の攻略本を書くつもりで書く。どうしても見つからなかったら、誰かの言葉や読んだ本、吊り広告や看板などに書かれた言葉で、これはいいというものを書き残しておく。自分なりの金言集をつくるつもりで書く。
これを朝に1分、夜に2分で合計3分。これが本書のタイトルの由来だ。
●日記は成功への宝の地図たりえるか
「夢をかなえる宝の地図」に代表されるいわゆる「成功本」に良く書かれている内容が先の??あたりになる。そこで言われているのは成功イメージを明確に表現した写真や絵と、夢を実現しますという断定表現と感謝の言葉、ならびにその期限を一枚の大きな紙にまとめたものを作っておき、それを目に見えるところに置いておくという手法であるが、毎日見ているだけではこの宝の地図もそのうちただの壁紙に成り下がる可能性がある。そうならないために毎日この宝の地図とやらを見て、夢や目標を声を出して読み上げるのがセオリーのようだが、それを毎朝欠かさず出来るような人はそもそも習慣づけることが比較的やりやすい人ではなかろうか。私自身もそうだったが、宝の地図方式がうまくいかなかった人の多くはこの毎朝のシークエンスを繰り返せなかった割合が高いはずだ。声を出して読むことの意味は、脳に強い意識付けを行う事に他ならないが、それを「書く」ことで行おうというのが筆者の主張だ。もちろん日記に書いたものを音読すれば効果は倍増するに違いないだろう。
またこの手の成功本には「夢や目標の棚卸が必要」とも書かれているが、それを行うためには日々のデータの積み上げが必要だし、意識付けをした結果得られたものを正しく長期記憶することで、自分自身の心の質を絶えず磨いておくことも必要だ。GTDやライフハック本には、一定期間おき、たとえば一週間や1ヶ月、3ヶ月おきに振り返りや棚卸をして夢や目標を更新するとしているが、筆者はそれをショートスパン化し、日記で実現しようと提案している。まとめてやろうとすると今回は忙しいから延期などと逃げを作ってしてしまい、その結局積み上がったものが多すぎてモチベーションを失い習慣化しないという結果に繋がりかねないが、日記、それも毎日1分+2分であれば歯磨きレベルの時間で済み、毎日続けることで習慣化もしやすいはずだ。
先ずは夢や目標の棚卸が大切のようだが、導入は比較的簡単だし、プログラムでいうところのリファクタリングをかなり短期でかけていくことも始めから想定されているので、回し始めればうまく続けていけそうな気がする。
GoogleカレンダーやEvernote、そしてスマートフォンの登場によって、それまで使っていたシステム手帳へのアナログな記録を完全にやめてから随分と経つが、最近極端に記憶力が落ちた原因はここにあるのでは?と疑い始めていた最中でのこの本との出会いは偶然ではないはずだ。これも間違いなく自分の心のアンテナが自ずと引き寄せたこと。脳が「文字を書け!」と訴えているのだ。さっそく書店に行って、久しぶりにシステム手帳のリフィルを買ってこよう。