作品一覧 2015/01/30更新 キヤノンとカネボウ 試し読み フォロー 経営学よりためになる 「会社学」のすすめ 試し読み フォロー 理系企業と文系企業 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> 横田好太郎の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 理系企業と文系企業 何がどう違うのか? 横田好太郎 3.5 理系と文系を比較した本。縦割りすぎる感もあるが結局は自分野以外にも理解があり目標設定できるのが大事。研究畑は、細部だけになりがちだが全体を見る癖が必要。 理念や社歴から文系と理系企業に分けた論点が面白く、会社の生き残り条件、文系と理系社長の資質、ソニー研究五箇条「新ビジネス開拓になるか、社内...続きを読むのどの技術に役立つか、どこにオリジナリティがあるか、世界トップレベルか、事業部が取りに来る程魅力的か」やトヨタの7つのムダ「造りすぎ、手持ち、運搬、加工そのもの、在庫、動作、不良を造る」の話はなるほどと感じた。 Posted by ブクログ キヤノンとカネボウ 横田好太郎 これはすごく勉強になりました。カネボウに23年、キヤノンに10年間務めた現役の社員さんが書いたもの。その変の業界研究本とちがうのは、やはり社員が書いたということで現場の生の声が聞けるということですかね。2時間程度で読み終わります。 Posted by ブクログ 理系企業と文系企業 何がどう違うのか? 横田好太郎 期待外れでした。 もう少し掘り下げた考察を期待していたんですが、表面的な考察に終始している感があります。 結論も、要は「文理のバランスが大切」と言っているだけ。 そりゃあそうでしょ。 就活生を主な対象とした本のようなので、仕方ないのかな…。 まあ、切り口は面白かったので、辛うじて★★★☆...続きを読む☆かと。 Posted by ブクログ キヤノンとカネボウ 横田好太郎 有名な会社の名前が二つもタイトルとして使用されており、二者間の比較でもされているのかと、気になり読んだ本。 本書は元カネボウ、現キャノン(本当の会社名は「キヤノン」なのだが、いちいち打つのが面倒なので「キャノン」とする)の社員によって書かれた、二社間の環境・体質の違いを当事者から見た記録である。...続きを読む 他の方もレビューしているように、この本にはさっと目を通す程度の情報が含まれており、企業研究には一応使えるかという内容しかないように思われる。筆者が現役のキャノンの社員ということもあり、企業のイメージアップともとれるような文章があるのも事実である(個人的にあまり元経団連会長にいいイメージを持っていないというのもあるが)。もっとも、会社の歴史は知ろうとしなければ分からないものなので、日本を代表する企業に興味がある人には十分に価値があるのかもしれない。 第一章は筆者がカネボウに入社した当初に感じたことの記録である。 配属した工場の社員(600人)のうち70%が女子工員(多くが中卒)のうえ、魅力的な環境を提供するためにNHK高校と提携した学院で教師として教えるなど、働きやすい環境をつくるのに必死になったり、「金の卵」と言われた安い労働力の彼女達を充員するために行った家で、『山椒太夫』の世界のような、人買いとも呼べる行為が行われていたことにがっかりしたこと、その一方で所属した軟式野球部や、強豪と言われた硬式野球部、女子バレーボール部があったことを振り返り、全国に「鐘紡町」が三つもあった頃から随分変わってしまったことを残念に思っている。 第二章はカネボウの本社(繊維事業部)に移ってから化粧品部門に移るまでのエピソードである。10万坪という敷地を有し、本社ビルや工場、研究所の他に野球グラウンドと動物園までも置かれていたそうである。 仕事の面でも「カネボウ・消防・泥棒は遅くまで仕事だ」という専務の口癖から伺える熱心さ、近隣の店からも「いくらでも貸します」(質屋)、「十三になど行ってはいけません」(タクシードライバー)という言葉が出るように尊敬を集めていたようである(十三の飲み屋は場末で相応しくないとのこと)。 その一方で、社内では人事部へ行った、かつ慶應卒の人間が派閥を作って理事の選挙シーズンには票集め、式典で失態を犯した総務部のノンキャリアを左遷してしまうという嫌な空気を作っていたことや、商売のスタイルが「買ってくださいではなく、売ってやる」という態度であったことを自己分析している。 繊維業界の雄であったカネボウは当時「十大商社」と呼ばれていた会社とも強い繋がりがあり、決算期に困ったときは在庫の買取りを行ってもらい、その恩義に報いるために次も商売をまかせていたいう。 それだけならばどこの会社にもある話だが、繊維業界は生地を売って製品で買い戻すときに価格を勝手に設定する、商品に利益を乗せて売りを建て相手に利益を上乗せさせて買い戻す事も行う、筆者曰く「密林のジャングル」であり、結果としてこれが実際の在庫がどこにあるのか分からなくなる「宇宙遊泳」となり、斜陽となった業界でにっちもさっちも行かなくなり、今日に至ったのだという。 かつては朝鮮戦争の特需で35か月分のボーナスを出したり(ガチャ万景気)、繊維を取り扱っていたならではのコレクション(テキスタイルプリント・油絵・コプト綴れ織)、山水庵・去来庵を有していた「空前絶後のコンツェルン」がこのような事になってしまうなど、当時の人は想像出来ただろうか。 第三章は、筆者が化粧品部門に移った後の話である。セールスマンとしても働いていたようで、店頭での主力の美容部員達と共にノルマ達成に奮闘し、毎年秋の慰安旅行では疲れを癒したそうだ。同じ会社であるのも関わらず、部署の違いでこんなに差があることに驚き、繊維事業の関係者にこの仕事を経験させていれば、カネボウの未来は違っていたのではないかと推測している。 それ以外には化粧品のチェーン店制度を作ったのはカネボウであることや、化粧品の製造コストは水・脂・香料・化学成分のみでとても低く、美肌のために寒気・感想・紫外線に対策するストーリーを三つのキーワードを織りまぜながら売り込むという商法を明かしている。 第四章は、筆者が再び繊維部門に戻ったときの違和感の記述である。 化粧品部門と繊維部門が組んだ「パンティーストッキング」、「着る化粧品」をコンセプトにした「エステティック繊維シリーズ」が大ヒットするなど良いこともあったものの、繊維部門が赤字続きであるにも関わらず、本当にコストダウンされたのかと疑うような変化の無さ(中国の台頭も関係あり)や、数量単位の統一性の無さで部門ごとの交流が出来ない、しまいには自分の知識の深さに酔った上司と組まされ「技術者には責任は無い」と聞かされ続ける。 筆者はこれらの欠点を述べた後で、「一度会社に入ったら文系理系関係なく、ビジネスマンでなければならない」のに、カネボウの繊維部門には少なかったと思い返している。 それにしても、カネボウが今日のバラエティー番組で特集されるエステの草分け的存在であったこと、日本初のコマーシャルソングを作ったという事に驚いた。 第五章はカネボウの経営者であった伊藤淳二、帆足隆元に焦点をあてた話である。 「愛と正義の人道主義」「科学的合理主義」「社会国家への奉仕」という歴代の社長による崇高な経営理念があったにも関わらず、実際には不合理なリストラ・ボーナスゼロ回答を行なってしまった企業に成り果てた。 伊藤淳二による現実を見据えていない「ペンタゴン経営」(繊維:赤字部門、薬品事業:「葛根湯」などを生むも特殊な医科向け流通を克服できず、食品:「フリスク・甘栗むいちゃいました」を生むも小規模の利益どまり、住宅不動産:一過性に終わる、化粧品:成功するも他部門の赤字を補填できず)、経営難であるにも関わらず日航の経営のトップに立つ(中曽根政権による起用)、『論語』の豊富な知識を自負するも裏目に出ている(筆者に「彼らしい訓辞」と皮肉られている)。 その後にカネボウのトップになった帆足隆元は、ノンキャリア組でありながら、月10万円しか売上が出なかったチェーン店で100万円の売上を達成する、最年少の支店長に抜擢されるという素晴らしい成果をあげるも、経営危機に陥ってから会社を任され、負の遺産を背負わされてしまった悲しい人物である(週刊誌に悪行が取り沙汰されるも、筆者は彼が「親分肌」の持ち主で洞察力の優れた人物であった事を回顧し、彼の行状とは信じられないと弁護している)。 上に立つ人間次第で会社が大きく揺らいでしまうことを具体的に綴った章であった。 第六章は筆者がキャノンに入社した後の話である。 上述したように、キャノンの一員の目線で見たキャノンの姿をこの章から「終わりに」まで綴っているので、どこまで信用して良いのかよく分からないが、参考になりそうなところを取り入れれば良いと思う。 筆者は先輩であるソニーの元社長出井伸之を頼ってカネボウとソニーのトップ会談を設定するも、「仲介人(筆者)は外で待機しろ」と言われ、人格を無視した失礼な態度をとったカネボウに失望し、自らリストラを志願した後にキャノンに入社したそうだ。 入社後に肌で感じた、技術者の会社ならではの「合理的」な仕組み、他部門同士の「ベクトルを合わせる」やり取りに感心したそうである。また、新たに作った新本社棟に環境を配慮した「人口の森」の造営(HPやGEに対抗かという声も聞かれたそうである)など良い事には資金を惜しみなく使うと筆者は述べている。 七章はキャノンの歴史と技術の紹介である。国産初のカメラメーカーとして出発し、複写機市場、プリンタ市場へと部門を拡大してゆくも驕らず「ものづくり」にこだわる、同族経営でなく完全な実力主義の会社であると述べている(持株比率の半数を外国人が所有しているとおり、実績のない世襲は許されないとのこと)。 経営理念は「実力主義・新家族主義・健康第一主義」、社員の心構えは「自発・自治・自覚」、企業理念は「世界人類との「共生」」という姿勢であると説明し、社員一人ひとりを大切にする企業であると伝え(宣伝し)ている。 それにしても、キャノンの社名の由来が創業者、吉田五郎が観音様を信仰していたためというのは面白い話である。 八章はキャノンの社内における常識の紹介である。この章にも宣伝めいていると思える箇所があるのはともかく、役員同士のコミュニケーションを図る役員朝会、赤字事業から全て撤退をした(是非が分かれそうだが、少なくともカネボウのように足を引っ張るよりはましだろう)のは現時点では、いい方向に経営を進めるのに役立っていると思われる。 最後の章はカネボウとキャノンの比較である。 カネボウは理屈や法則に当てはまらない、美術に携わっていることから「感じる」ことに重きを置き、キャノンは科学や技術に立脚した価値観を置き、「知ること」に価値を求める企業である。 この両者に差は無いはずだが、経営幹部と社内官僚だけが得をするシステム、各部門ごとの関連性・連動性の無い事業を推し進めたカネボウは没落し、技術者と現場の人間を大切にして隣接市場(カメラの光学技術を生かしたプリンタ市場への進出など)へと多角化したキャノンが大きく成長した。この違いは経営者にあると考察している。 自分用キーワード 細井和喜蔵『女工哀史』 Posted by ブクログ 経営学よりためになる 「会社学」のすすめ 横田好太郎 様々な会社の成り立ちや面白いエピソードが集まっている、という意味ではネタ帳になる一冊なのだが、筆者が言いたい「会社学」ってのは若干無理があるしそこを押したいのであればもっと系統だってまとめるべきだったなぁと思う一冊でした。 Posted by ブクログ 横田好太郎のレビューをもっと見る