作品一覧
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-戦争が人々の心に刻んだ傷跡を描く名短編集。 2万人以上の日本兵が亡くなった硫黄島で辛くも生き残り、終戦後も3年以上穴居生活を続けた片桐正俊。「投降時に岩穴に隠した日記を取りに行けることになったので、そのことを記事にしてほしい」と新聞記者である〈私〉に依頼する。 だが、片桐はせっかく再上陸できた硫黄島で、自死してしまう。その原因を探るべく奔走する〈私〉は、やがて戦争が片桐の心に刻みつけた傷の深さを知ることになる――。 第37回芥川賞を受賞した「硫黄島」のほか、海軍兵学校に通う若者の葛藤を描き、映画化もされた青春群像「あゝ江田島」など、戦争文学の名作短編6篇を収録。
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-1巻660円 (税込)新聞社の社会部は、複雑で捉えがたい現代社会を写す鏡である。東京駅の実在しないホームをさがす若い女、変質者の親を持つ悲しみから殺人を犯す少年、秘密を持つ家出娘、などが、ふしぎな成り行きで、社会部記者を、事件の渦中に巻き込んでしまう。警察官と立場の違う彼らは、仕事として事件の核心に迫りながら、いつのまにか、人間ドラマの登場人物にさせられる。……これは、一流新聞の社会部記者として、豊富な体験を持つ著者が、フレッシュな手法で、現代という怪物を描破した、異色ドキュメント・シリーズである。「恐怖デパート」「野獣の記憶」等など、44篇を収録。
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ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
「硫黄島」
戦争の大義を固く信じていたのに、彼は負け戦を生き延びてしまった
そのことに耐えられなかった
戦地での体験はそれほど強烈なフラッシュバックとして甦るのだろうか
…といったアプレゲールものである
虚言を強引にセンチメンタリズムへ落とし込んだ印象も強いのだが
昭和32年の芥川賞を受賞している
「しかばね衛兵」
戦友なんて言ってみても結局
誰だって一番かわいいのは我が身に決まっている
それを思いつつ戦友の死体を前にしたとき、心が傷つく兵たちの話
「奴隷たち」
戦争が終わって、ソ連の捕虜になった日本兵たちの話
その連帯意識は、鉄壁の収容体制が仕掛ける罠に打ち砕かれ
やがて真っ赤に塗り替え -
Posted by ブクログ
解説で三好徹さん(読売新聞社での後輩)がディスってる、「生きるか死ぬともつかぬ海戦にでたこともない某作家は、海軍を讃美する文章を書きつらねる」センセイって誰? 文中引き合いに出している個人的に知遇を得ていた大岡昇平、古山高麗雄、城山三郎は除外。まさか、佐和子さんの父君じゃないだろうな…と思ってウィキを見たら違うっぽくて安心した。(断言は出来ないが、海軍に在籍して従軍経験はあるが阿川弘之さんの故郷広島市は原爆を落とされているので海軍讃美はせんだろう)。
菊村到さんというと二時間ドラマ向けな色っぽいサスペンスの印象が強かったのだが、最初期には戦争体験を扱った重い作品が多いのですね。この文庫は芥川 -
Posted by ブクログ
37回(1957年上半期)芥川賞受賞作。この時点では、すでに第2次世界大戦の終了後12年を経ているのだが、未だに戦争の後遺症が色濃く残っていたことにまず驚く。戦争を清算してしまうことができない人たちがいたのだ。本編の主人公、片桐はそうした1人で、今で言えば典型的なPTSDを抱えた人物だ。彼の一生は、戦争、なかんずく硫黄島での強烈な体験によって決せられてしまったのだから。一方、小説の作法は、新聞記者として物書きとしてのキャリアをスタートさせた菊村らしく、取材記を語るスタイル。それがかえって斬新さとなった。
なお、解説によれば、1998年時点での「文芸春秋」のアンケートでは、過去60数年間の芥川