古澤明の作品一覧
「古澤明」の「「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた! 生きていて死んでいる状態をつくる」「光の量子コンピューター(インターナショナル新書)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
ようやく巡り会えた、何かちょとはわかった気にさせてくれる本。
同一著者でブルーバックスから3冊出ている。 最新刊の「シュレーディンガーの猫のパラドックスが解けた!」は、前2冊の読者を前提としており、途中で挫折。だったら最初からと挑んだ「量子テレポーテーション」は、話が飛んでいて置いて行かれて挫折。
この「量子もつれとは何か」は、そもそもの前提となる量子エンタングルメント(もつれ)について、何とか理解してもらいたいという著者の切なる願いが込められている。そもそも難解な量子物理の世界。たとえ話に逃げて解かった気にさせる、という形式に堕することなく、順を追って丹念に説明しようとしている。あちこち参照してくる図や式を面倒がらずに追っていけば、何だかそういうものかもという気がしてくる。
素人の自分には結局何だかよくわからない、それは仕方がないこと。でも、最前線の研究者が頑張って書いていることに星5つ。
Posted by ブクログ
量子テレポーテーションの章以降が難解。が、不思議と面白い。
【感想】
知人が量子コンピューター関連の企業で働いているため、「量子コンピューター」自体に興味があった。産業・メディアも盛り上がりを見せているため、手に取った。結果、読んでよかった。量子コンピューターの何がすごいのか、どう便利なのか、なぜ開発が難しいのかが分かった。加えて、巷でよく効く「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」の違いもざっくりと分かった。本曰く、量子アニーリング方式は、組み合わせ最適化問題を解くことが中心であり、いわゆる汎用コンピューターのような役割は果たすことができないのである。つまり、量子アニーリング方式のマシンは、そもそも量子コンピューターと呼ぶかどうかも議論が分かれるポイントらしい。
加えて、「量子アルゴリズム」という概念を知ったのも面白かった。この本の著者は「量子コンピューターの開発」の研究をしている。ただ、私の知人は、よく考えると、量子コンピューターの開発はしていない。では何をしているかというと、「量子アルゴリズム」を汎用サービスとして提供している。本を読む前は、量子コンピューターを作ることと、量子コンピューターを動かして問題を解くための量子アルゴリズムの概念も区別できていなかった。最近よくみる量子コンピューター系のベンチャーは、量子アルゴリズムを使う機会提供をビジネスとしているのだろう。
この本の4章以降は量子テレポーテーションと、筆者の研究人生のハイライトが記述されている。何を言っているかほとんど分からないのだが、ほとんど分からない状態が面白かった。すごいことをやっているんだなぁと。
【本書を読みながら気になったコト】
量子コンピューターを語る上で必須の概念について、この本で初めて読み、理解を深めた。結果的に、この本を読んで思考をする、というよりは、理解のためのメモが多くなってしまった。
・DWAVEが2011年に世界で初めて量子コンピューターの開発に思考したと発表したことで、量子コンピューターについての注目が高まった
・>>「しかし、この量子コンピューターは、実は『量子アニーリングマシン』と呼ばれるもので、従来から研究開発が進められてきた汎用型の量子コンピューターとは全く異なる動作原理で動いている。(中略)量子アニーリングマシンとは、ある特定の問題、いわゆる『組み合わせ最適化問題』の計算処理に特化した専用マシンなのだ。そのため、これを量子コンピューターと読んでよいか否かについては、今なお五輪の余地がある」
・物理学者の神と称えられるファインマンが量子コンピューターの理論を作った。量子コンピューターの意義は従来の古典コンピューターとは異なり、計算処理に伴って排出される大量の熱エネルギーを理論上、ゼロにできること
・古典コンピューターは電子回路を使って計算処理を行い、メモリーに記録する。そのたびに、使用された電気エネルギーが熱エネルギーとなって排出されている。したがって、計算処理が高速になればなるほど大量の熱が発生する。
→スーパーコンピューターは、冷却に多くの部品、電力を利用している
・>>量子とは、簡単に言えば、原子や分子、電子、光子といった非常に小さな物資やエネルギーの単位のこと
→>>この極小の世界では、エネルギーは連続的な値手はなく、離散的な不連続な値を取るようになる。これを「量子化」という。そして、こうした量子特有の物理現象を記述するのが、量子力学という
■量子コンピューターの仕組み
*重ね合わせ
>>一個の量子において、複数の状態が同時に存在している、つまり重ね合わさっている現象のことをいう
・通常のデジタル処理では、0か1かの値で表されて、計算処理される
・量子コンピューターで量子ビットとして用いる量子は、観測するまで「0」と「1」どちらの状態にもある。これを「重ね合わせ」という
・観測することによって、「波測の収縮」が起こり、状態が確定する
*量子もつれ
>>重ね合わせ状態にある量子が2個以上ある特殊な状態で、そのうちの1個の量子を観測すると、他の量子にも瞬時に影響がおよぶ不思議な状態のこと
>>超電導のもとで流れているクーパーペアという電子対を分けた2つの電子や、非線形光学結晶に強いレーザー光を照射したときに放出される2つの光子など、特殊な重ね合わせ状態にあり、空間的に離れていても相関をもつ。こうした状態を「量子もつれ」という。
たとえば、量子Aを測定すると波束の収縮が起こり、重ね合わせ状態が壊されて「0」か「1」かのどちらかに確定してしまう。このとき、量子Aの状態が「0」に確定すると、その影響は空間的な距離に関係なく、瞬時に量子Bに伝わり、量子Bの状態は「1」に確定してしまう。
■なぜ光が量子コンピューターの量子としてよいのか
・常温で安定している。別の量子を用いる場合、極端に温度を落さないといけないケースがある
■なぜ量子コンピューターの実現が難しいか
・量子は不安定。ノイズを受けても誤りを訂正できる仕組みが必要。しかし、その誤り訂正の仕組みを作るのが困難
・光量子コンピューター開発の最終ゴールは光チップ化。それにより、モバイル機器に搭載が可能になるかも。2039年ごろの実現を目指している