石川文康の作品一覧

「石川文康」の「カント入門」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • カント入門
    4.2
    真理の最高決定機関であるはずの理性が人間を欺く二枚舌をもつとしたら、一大事ではないだろうか。この理性の欺瞞性というショッキングな事実の発見こそが、カント哲学の出発点であった。彼の生涯を貫いた「内面のドラマ」に光をあて、哲学史上不朽の遺産である『純粋理性批判』を中心に、その哲学の核心を明快に読み解く。

ユーザーレビュー

  • カント入門

    Posted by ブクログ

    哲学史の本を一通り読み終え、考え方が比較的単純な経験論と合理論はすぐに学ぶ必要はないと思い、歴史的にはこれらの直後に位置するカント哲学を始めるべくこの本に手を出した。

    本書はカントの三批判書である『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』について短くまとめたものであり、カント以外の哲学用語や知識も適宜与えてくれる良書である。

    例えば
    ・理性批判の先駆としてのベーコンの「イードラ」(先入観)
    ・アンチノミー、テーゼ、アンチテーゼといった用語
    ・分析的と総合的の意味の違い
    ・アプリオリとアポステリオリの違い
    の説明など。

    アンチノミーにおける理性を「二枚舌の人」を例にして説明していたり、

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    2025年08月21日
  • カント入門

    Posted by ブクログ

    「アンチノミー論」を軸とした解説。

    「太陽は東から上り、西に沈む」というテーゼと、「太陽は東以外の方位から昇り、その反対の方位に沈む」というアンチテーゼは、どちらも「太陽は地球の周りを回る」という誤った認識を前提としているゆえに、どちらも「偽」である。

    これとパラレルな理屈で、第一アンチノミーの

    「世界は空間・時間的に始まりを有する(有限である)」というテーゼと、「世界は空間・時間的に無限である」というアンチテーゼは、「空間・時間は世界自体に固有の量である」という誤った認識を前提としているゆえに、どちらも「偽」である。

    と証明される。すなわち、空間・時間は主観の性質であって、世界自体に

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    2023年10月12日
  • カント入門

    Posted by ブクログ

    哲学初心者の立場から書評を書きます。そもそもカントの存在を知ったのは、本書では取り上げられていないコスモポリタン、あるいは永遠平和という概念におけるカントの貢献でした。そこからカントに対する関心が高まり、じゃあ勉強してみようと思って本書を手に取りました。全体的な印象ですが、「ギリギリ」入門書と呼べるレベルで、そこに著者の並々ならぬ苦労を感じました。内容は非常に興味深く読みました。「血の通ったカント」というキーワードがありますが、まさにカントの人間像までが浮かび上がってきて面白かったです。また本書を通じてカントの哲学についてほんの少しだけ理解が出来た気がしますが、なにか人間礼賛的なポジティブな雰

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    2023年04月30日
  • カント入門

    Posted by ブクログ

     すでに鬼籍に入っているカント研究者による、ちくま新書初期のベストセラー。カント代表作『純粋理性批判』は既読だが、僕のような素人が一度や二度読んだところで理解できるはずもなく、またすぐに内容を忘れてしまう。本書のような哲学者の解説書は原著にあたる前に読むのが普通だと思うが、原著通読後に復習することによって、理解と記憶の定着が図られるのではと思う。
     
     本書の白眉は、「カントの仕事の本質は弁証的理性がもたらす欺瞞、すなわち『仮象』を批判することにある」という主張を一貫して保っていることだと思う。この「仮象」という言葉は本書のキーワードであり至る所で出てくるのだが、これにより論理に一本の軸が通さ

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    2023年03月14日
  • カント入門

    Posted by ブクログ

    カントの哲学を学ぶことができるだけでなく、カントが理性批判やその倫理学にどのようにして至ったかを学ぶことができる。アンチノミー論を軸として読み解いていくことからカントの理性批判への動向を理解できる。ただし入門と書かれているが、本当に初めて触れるのなら、純粋理性批判の概要や認識論の簡単な知識を頭に入れてからの方が理解が深まるだろう。

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    2021年06月23日

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