大田洋子の作品一覧
「大田洋子」の「屍の街・夕凪の街と人と」「屍の街・半人間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「大田洋子」の「屍の街・夕凪の街と人と」「屍の街・半人間」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
原爆投下から3か月後に書かれた「屍の街」と1953年の「夕凪の街と人と」が1冊にまとめられている。後者は、こうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』の参考文献の一つ。ちなみに「桜の国」も、本書の作者・大田洋子が戦時中に書いた作品のタイトルに由来する。
「屍の街」は大田自身の被爆とその後の疎開先での経験を、「夕凪の街と人と」は原爆スラムや被爆者治療の実態を描く。原爆スラムのなかでの分断を具体的に描いている点も、読み応えがあった。戦争が決して、45年8月の敗戦で終わったわけではないことを、ルポルタージュ的な筆致で、静かな怒りを込めて伝えてくれる。もっとも、解説によると、出版当時はあまり評価されなかった
Posted by ブクログ
作者が強調する原爆の恐ろしさは、その破壊力や被爆だけはない。それは今までにない爆弾だった。人々の想像力を超えていた。そして突然の未知の力による破壊は、肉体のみならず人々の精神内部にまで及ぶ-
まさに体験した者だけが言えることだが、原爆の最大の恐怖は、人々の気力を奪い去り、表情を消し、魂を蒼ざめさせることだという。「じっさいは人も草木も一度に皆死んだのかと思うほど、気味悪い静寂さがおそったのだった」「裂傷や火傷もなく、けろりとしていた人が、ぞくぞくと死にはじめたのは、八月二十四日すぎからであった」
見渡す限りの焼け野原を見た喪失感、そして生存者が日をおいて発症して死んでいく、という不可解な死
Posted by ブクログ
広島で被爆した作家の私小説。
原爆小説としては井伏鱒二の『黒い雨』などが有名だが、この作品は描写が淡々としていて悲惨さを感じない。
苦しいとか悲しいとか、そんな人間的な感情さえ、原爆という悪魔の兵器は破壊してしまったということがわかる。
現代人の目から見れば作家が見ている情景はまさに悲惨そのものだ。しかしそれを悲惨なものととらえることすらできず、まるで電車の窓から外の風景を眺めているかのような描写はどこまでも冷めている。
人間が痛みを感じることができなくなることほど深い病があるだろうか。
屍の街に書き記されている世界は、まさに痛みを痛いとも感じることのできない地獄で