≪2023年6月号≫月刊 書店員すず木

≪2023年6月号≫月刊 書店員すず木
この道10年以上のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • かさねと昴(1)

        かさねと昴(1)

        完結

        おもちゃの企画開発会社でグラフィックデザイナーをしている柴田かさね(しばたかさね)は、あることで悩んでいた。悩みの発端は、思いがけない事故で同僚の榎田昴(えのきだすばる)のお尻を触ってしまったこと…! 榎田のお尻の感触が、かさねの大好きなキャラクターの着ぐるみの感触と似ていて興味を持った。けれ...

        多様なアイデンティティが当たり前として描かれるところにハッとします。真っすぐな二人に幸せになって欲しい…フェティッシュラブストーリー!!

        子供向けおもちゃの企画開発会社でグラフィックデザイナーとして働く柴田かさね(しばたかさね)。
        偶然同僚の榎田昴(えのきだすばる)のお尻を触ってしまってから彼のことが気になって仕方ありません。
        榎田にお尻を触ってしまったことを謝るかさねですが、榎田の様子はどこか変で…。
        実は彼には人に秘密にしていたことが…!!
        真摯に謝ってくるかさねの姿に覚悟を決め、実は自分が趣味で女装をしている“女装男子”であり、あの日は布面積が少ない下着をつけていたためそれがバレたのでは…と焦ったためと告白するのです。
        前作『あせとせっけん』で匂いフェチ男子と臭いがコンプレックスな女子のフェティッシュラブストーリーを描いた山田金鉄先生。
        今作はお尻フェチ女子の物語か!?と思って読み始めてしまいました。
        実際は女装男子とのラブストーリーだったのですが、「女性になりたい女装男子」ではなく「“可愛いものが好き”の延長に女装があった男子」として描いているところに山田先生らしさを感じます。

        身長180cm以上ある女装姿の榎田を見ても一切引くことがないかさね。
        首筋が綺麗と褒めたり、彼のありのままをそのまま受け止める彼女の姿は、“多様性”迷子に陥りかけている現代の理想像かもしれません。
        恐らくかさねの中には榎田の女装を馬鹿にする人がいるなんて考えは存在しなかったのでしょう。
        だからこそ女装姿の榎田と二人で街を歩いた時に知らない人から浴びせられる興味本位の視線や隠し撮りしようとする人を見た時のショックは計り知れなかったと思います。
        ですがかさねがそうだったからこそ、榎田は救われたのだと思います。
        自分のことを大切にし尊重してくれる存在ほど救いはないのではないでしょうか。

        ありのままの自分を受け入れる。
        ありのままの自分を貫く。
        ありのままの相手を受け入れる。
        それって簡単そうに見えて、とても難しいことだと思います。
        この物語の主人公ふたりは一見どこにでもいそうなキャラクターです。
        だからこそ、かさねと榎田のお互いがお互いを大切にしようとしている姿は読んでいるこちらも応援したくなりますし、お互いが理解しようと少しずつ歩み寄る姿は理想のカップルのようにも思えます。
        二人に幸せになって欲しいと願いながら読み進めたくなる作品です。

少女・女性マンガ

      • 今日、駅で見た可愛い女の子。(1)

        今日、駅で見た可愛い女の子。(1)

        可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランド...

        可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ!

        出版社勤務のアラフォー編集者である亀山は、駅で見かける可愛い子が気になって仕方がありません。
        というのも彼女が身に着けているものがどれも亀山世代のkawaiiポイントをついてくるからです。
        髪の毛からは全人類が好きな香りと言っても過言ではないミルボンの香りがし、全身ウエスタンボーイのコーデで固め、セボンスターを集めている…。
        ストレス社会と戦いながら生きている亀山にとって、彼女は癒しの存在となっています。
        ですが、彼女は実は…!?
        おじさんが女子高生を愛でる(観察する)と聞くと危ない印象を受けてしまいますが、そういった危なさは微塵も感じません。
        亀山はジロジロと見るのではなく、あくまで“視線の中に彼女がいるだけ”な状態で詳細な分析を行っているので、むしろその姿勢に紳士感を感じてしまいます。
        逆に、その紳士感を出しながら真顔で詳細な分析をしていくアンバランスさが笑いを誘うのです。

        何故そんなにkawaiiアイテムに詳しいのだ亀山!!
        ウェスタンボーイなんて忘れていたよ亀山!!
        ミルボンは良い香りだよね、亀山!!
        読むうちに駅で見かける女子高生に夢中な亀山に夢中になっている自分がいます。

        しかもこの物語の面白さは亀山だけではなく、亀山を夢中にさせる女子高生もひと癖(?)あるのです。
        1エピソードごと、ラストの女子高生側の会話で思わず笑ってしまうので、是非ご自身の目で確認してください!

        アラフォー世代には懐かしさを感じて楽しめますし、若い世代はkawaiiもの好きなおじさんと可愛い女子高生エピソードのエモさを楽しめるので、全年齢が楽しめる作品となっています。
        何も難しいことは考えず、kawaiiコメディを楽しんでください!!

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:
映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を見てきました!丁寧な物語はこびでじっくり楽しめました~!!

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