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天根清子は、空気が読めない変人心理学者。人生で一度も嘘をついたことがなく、お世辞も言えず、世渡りスキルは皆無。無用な人づきあいを避け、孤独で静かな生活を愛していた。
ある日、唯一の友達から手紙が届く。それは自殺した彼女の遺書だった。そこには、自分の大切な子供を引き取ってほしいと書いてあり…。
不安定な心を抱える14歳の悠斗(はると)。ワガママ盛りの4歳児、凛音(りおん)。
繊細で予測不能な子供たちの保護者になった清子は、心理学を武器に子育てに挑むもうまくはいかず…!?
一つ屋根の下、「普通の幸せ」から外れた3人が紡ぐ哀しくも可笑しなサイコロジカル・ファミリーストーリー。
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心の奥底の感情を、しっかりと見つめなおしてくれるストーリー。
自殺してしまった友人の子ども達の面倒を見ることになった、心理学者の清子。しかし人の心が分からず、いつも歯に衣着せぬ物言いで人を怒らせてしまう清子は、友人の子ども達への扱いに戸惑うばかり。
清子が、心に傷を負った2人の子ども達にとって母親という役目は果たせずとも、
唯一の頼れる大人として真摯にまっすぐ子ども達と向き合う姿は、読者であり大人の私にとっても、じんわりと心に響きました。
本作は心理学がキーポイントとなって展開していく物語です。
人間の行動にはそんな深層心理があったのかという発見はもちろんですが、
そこから読み解くことのできる人の弱さを、私たちが思っているよりもずっと豊かに捉えることができるのだと教えてくれます。
そして、「母・友人の自殺」という受け止めきれない事実を背負うとはどういうことか。そんな死の淵に近い立場にいて「生き続ける」とはどんな苦しみがあるのか。
決して穏やかではないテーマですが、家族ではなく他人だからこそ補い合うことができる関係もあるのかもしれないと考えさせられました。
「ファミリー・ストーリー」の指す"ファミリー"とは何か、ぜひ本作を読んで感じてほしいです。
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