≪2021年11月号≫月刊 書店員すず木

≪2021年11月号≫月刊 書店員すず木
この道10年のプロ書店員・すず木です!
前月に配信された新作マンガで実際に読んで面白かったものの中から<少年・青年マンガ><少女・女性マンガ>それぞれ1作品を勝手に「今月の書店員すず木賞」としてご紹介!

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今月の書店員すず木賞

少年・青年マンガ

      • ダーウィンクラブ(1)

        ダーウィンクラブ(1)

        完結

        CEOと従業員の経済格差が千倍以上の巨大企業への犯行予告があった。それから3年、犯行予告された企業の一つ・ワイルドスペース社がロケットの発表中に襲われた。さらに日本のロケット発表会の現場も襲われる。その放送を見ていた石井大良は、幼少時父親を殺したと思われる男の顔をそこで発見。現場に向かうが…。...

        格差が生まれ続ける社会を横断するクライムサスペンス!!

        格差が広がる一方の社会で、“CEOと一般従業員の年収格差が千倍以上の世界的企業に対し、3年間の内に差を200倍未満にせよ”と声を挙げる謎のテロ集団が現れます。
        3年後、彼らは世界トップ企業のCEOを次々と襲っていきます。
        彼らは一体何者なのか…?
        テロ集団が掲げるスローガンに思わず、格差が少しでもなくなるなら…と共感しそうになる冒頭でがっちり心を掴まれました。

        主人公の石井大良(いしい たいら)は、幼少の頃何者かによって父親を目の前で殺されるという過去を持つ刑事です。
        彼は一度見ただけで人の顔と名前を覚えられるという特技がありました。
        そんな彼がたまたま見ていた東京のロケット発表会で発生した爆発事件中継に、父親を殺害した犯人の姿が映っていたのです。

        男の正体を探るべく調査に乗り出す大良ですが、その男がイベント会社に勤める佐藤と名乗る人物であるとわかったものの、名前も住所も全てが嘘であったことを知ります。
        更に証拠として押収していた動画の一部が消されていたことが発覚し…。
        なんとか跡を掴んだと思った途端するりと真実が指の間をすり抜けていく。そんな感覚になります。
        誰が敵で誰を信用してよいのか…読む側も大良同様に先が読めないまま振り回されてゆきます。
        大良はわずかな手掛かりをかき集め、少しずつ繋がっている部分を辿り男の正体を見つけ出すことができるのでしょうか。

        今作は『リウーを待ちながら』や『インハンド』で医療サスペンスを描いた朱戸アオ先生の新作です。
        朱戸先生は、「現実に起こり得そう、でも実際に起きたらとても絶望的…!!」というクライムサスペンスマンガの第一人者です。

        今回も“何かが起きている!でも何が起きているのかは解らない。”そんな漠然とした状況に、空恐ろしくなります。

        今はまだ気付いていないかもしれませんが、同じような危険がすぐ傍で蠢いているかも…。
        実際に起こり得るかもしれないという恐怖心がべっとりと張り付いて離れません。

少女・女性マンガ

      • 吉祥寺少年歌劇

        吉祥寺少年歌劇

        元宝塚歌劇団・雪組トップ娘役真彩希帆様 推薦!! 「この作品は何てリアルなのでしょう!!主人公・瑞穂、彼の言葉一つ一つに大きく頷く自分がいました。」 僕が娘役として舞台に立つ理由、それは君だったのです。 吉祥寺少年歌劇は「男子のみ」で構成される伝統の歌劇団。入団へは、付属の音楽学校への入学...

        舞台に立つ少年達のひた向きさと、儚くも美しい姿にハマること間違いなし。

        「男子のみ」で構成される伝統の歌劇団、吉祥寺少年歌劇。
        そこへ入団するために付属の音楽学校へ入学した進藤瑞穂(しんどう みずほ)は男役になることを目指していたのですが、娘役と判定されショックを受けます。
        ですがライバルであり仲間でもある同期や先輩達の言葉によって、自分の道を見つけ夢の舞台を目指すのです!!
        主人公の瑞穂は男役に憧れ入学したにも関わらず適正面談で娘役と判定されます。
        逆に同期のサワは娘役に憧れていましたが、その体格から娘役を諦め男役を目指します。
        ふたりはそれぞれ理想と現実の狭間で揺れ動き、どう心に折り合いをつければよいのだろうと苦しむのです。
        そんなふたりに対し先生は
        「骨や筋肉や肌質や…身長は理想通りには備わらないことの方が多いものです」
        と話し、だからこそ自分の素質を美しく磨いていくことが大切であると伝えます。

        歌舞伎の家に生まれながら音楽学校へ入学してきた白井寿(しらい ことぶき)。
        娘役を嫌がる瑞穂に「そんなことならやめてしまえ」と言ったり、実力も才能もあり何もかもが完璧と思われていましたが、そんな彼もまた立ちはだかる壁の大きさに打ちのめされるのです。

        どのキャラクターもそれぞれの物語が丁寧に描かれており、様々な想いを抱きながら舞台に上がることを目指し壁にぶつかり苦しむ姿はとてもリアルで心が震えました。
        本当に吉祥寺少年歌劇が存在しているのでは!?とすら思えてきます。

        こちら1巻完結となっておりますが、もっと読みたい!!と思わずにはいられません。
        (是非、長編シリーズ化していただきたいです…!!)

こちらもオススメ!!

惜しくも今月の書店員すず木賞からは漏れたものの、オススメの作品をご紹介!!

書店員すず木

2005年より電子書籍サイトの仕事に携わる、この道10年以上のプロ書店員。
年間に読むマンガの冊数は2000冊以上。
「面白いマンガを多くの人に読んで欲しい」をモットーに、オススメのマンガをご紹介します。

最近の書店員すず木:新潟銘菓の柿の種 大辛口にハマっています。1日一袋食べる勢いですが、翌日地味に腸をやられます。でも美味しいから食べてしまう…魔の食べ物です…。

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