川柳句集シリーズ作品一覧
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-「川柳は人生を味付けする絶妙な胡椒のような調味料」と語る著者は福岡に生まれ、父の戦死、母親の再婚により日本各地を転々として育つ。 苦学の後、東京都職員として定年まで勤め、在職中に川柳を知る。現在とうきょうと川柳会副会長として活躍、また25歳から始めた裏千家茶道50年の茶人として指導者の育成に務める才人である。 「第一章 社会の中で」「第二章 人と生きる」「第三章 自然と共に」「第四章 自由吟」の4章構成。人と自然を愛し、社会の中で懸命に生きる著者の感謝の人生が投影された好著。 唇に近づいてみるやはり魔女 妻の手に触れて体操佳き日かな 喜寿ふたり朝も二人で物干し場 貧乏につらい夜です風もなし ゆっくりな自転の先に朝が来る 百年後蛍となって見たき世ぞ 居て普通たまに居ないと探してる 名月は誰にも均し銀散華 蟻んこにお前にも家あったんか ありがとうたった一言光る汗
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-昭和3年に樺太に生まれ、終戦後の昭和22年に北海道に引き揚げて激動の時代を生き抜いてきた著者。その作品は、鋭い観察眼によって生まれた発想で、飾らない易しい言葉を用いて、人間の深層心理まで暴いていく。 「青年時代」「壮年期」「老境」という3章構成。“生きる証”として編まれた本書には、社会の矛盾や著者の喜怒哀楽の人生が投影され、読む人を感動に導く。あとがきは「私は、いま生きている。そして、川柳を創っている」の一行で締め括られている。 焼酎よ語り明かそう妻は留守 猫を抱く妻は不満に耐えている 満点をひらひらさせて孫が来る こんがりと焼けば悋気も愛らしい ハンドルの遊び程度の浮気です 記念日を忘れたらしい千鳥足 時は金ならば私は大富豪 先着の十名様に妻がいる 憎まれた頃が私の絶頂期 裏付けが無いのに取った鬼の首
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-ハードボイルドを貫きながらも、要所要所に隠しきれない人間くささ。超高齢社会を生き抜く男の愛とロマン、そして哀愁。囲碁の世界から川柳の世界を知り、静岡県川柳協会副会長などで活躍する静岡の“奇才”ならぬ“棋才”の句集。 「第一章 ほっといてください」「第二章 なんでやねん、日本」「第三章 オレナイメゲナイ」の3章構成。確固たる歴史観に裏打ちされた熱い心、それでいて絶妙な抜け感のある作品に定評がある。著者が得意とする妻をテーマに詠んだ「カミさん川柳」も健在。 カミさんに布団の中で叱られる わたくしに近づいてくる紙おむつ ゲンコツを投票箱へ入れてきた 友だちのままでいましょう終電車 納豆をこんちきしょうと混ぜている 法廷に天下国家が立っている 粗品だといってハートをいただいた あんみつを食べに行こうと誘われる 二十四時蟹工船が浮上する お休みなさいと襖を閉められる
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-ザ・川柳・オブ・川柳と呼ばれるユーモア川柳に定評のある著者の、その飽くなき好奇心、鋭い洞察力から生み出されるユーモア溢れる川柳のみを集めた川柳名作集。 青春18切符をこよなく愛する自称「乗り鉄」の著者は、ワンカップ片手にのんびりと周りの景色を楽しむ各駅停車の旅を人生にも重ね、日常に転がっているユーモアの種を見逃さず、ひょうひょうと飾らない言葉と表現で読者を笑いにいざなう17音に仕立てる。 風の中抱き合う君と僕のシャツ 一歩前へ出ろと命令する便器 帰り道暗い方へと彼が行く 子の箸を一瞬止めるおやじギャグ 白衣着ていると信用してしまう 家系図のここから先は馬の骨 講義メモここで笑うと書いてある 入浴シーン必ず肩を出している 「何らかの事情を知る」が犯人だ お冷でございます 見たら分かるわい
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-柳歴40余年の香川川柳界の雄が奏でる、格調高い十七音の調べ。 川柳の発展を切実に願い長年指導者として、作家として己を磨きつつ、後継者の育成につとめてきた著者。高い評価を得た平成10年刊行の川柳句集「風花」の掲載作品1200句から、選りすぐりの作品300余句を序・破・急として3章に構成。 18年の時を経て、醸し出された川柳の味を新鮮な心持ちで噛みしめる。 《馬手にペン 弓手に辞書の ごくつぶし》 《雨に泣き 雨に躍りて 農奴かな》 《悲喜劇へ 呼吸も夫婦らしくなる》 《針孔写真機で 虹を撮る 男》 《逃げ水の 彼方に佇っている 女》 《壽と書き 無と書いて 春の酒》 《生涯をかけ ひょっとこの 面を打つ》 《目的がない旅人で 混む 駅舎》 《間違えているかもしれぬ道を急く》 《縺れては解けて どこまで蝶ふたつ》
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-歌うように、弾むように、会話するように心に滑りこんでくるキング・オブ・ポップ川柳! 20代で川柳をはじめ現在、静岡たかね川柳会代表、(一社)全日本川柳協会常任幹事、葵川柳倶楽部代表等で活躍する川柳界の若きプリンス、待望の句集。序文・高瀬霜石、熊谷岳朗。 《ディスイズアペンさあ夢を綴ろうよ》 《十八の僕がハチ公前にいる》 《君はもう寝たかな窓の外は雪》 《笑うがいい最後に笑うのは俺だ》 《地下駐車場でB子と待ち合わせ》 《匿名の手紙チワワのように吠え》 《タイムイズマネー寂しい響きだな》 《妻よ子よ俺は負け組だよゴメン》 《沢ガニも君もそーっと掴まえる》 《めぐり遇おう今度生まれて来る時も》
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-我が句は我が子。17音に人生を投影させて輝き出す、さまざまな想い。岸和田市在住。 地元の健老大学から始まった川柳は良き師や仲間に支えられ楽しいものとなった著者。これまでに詠んだ一句一句が我が子のようにいとおしく、作品を残したいという思いから編まれた作品集。 そのうちにきっといいことありますよ 狙ってた席にライバル座ってる 心配事ないのか君はよく笑う 飾らない人柄なのに華がある 子育てが終わり女を取り戻す 種牛のプライドもなく殺される お茶ですとペットボトルが並べられ 野良猫に餌をやる人にらむ人 まな板は家の盛衰知っている ひらがなのやさしさほしい私です
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-自由と平等、人間賛歌、言霊への畏れ―書家・四井汀花としても活躍する著者待望の第一句集。 ひら仮名を効果的に用いる「やまとことば」の遣い手としても評価が高い著者は、「書にも絵にもそして歌にも、優れた天分を持たれて生きる才媛であり、然してなお生き足りぬ思いの人生を流麗に生きる菅田が彷彿とする」と序文で赤井花城が記すように、静かな面(おもて)に秘める青春、沸々たる内面の激しさを句に託して、一人間としての懐の深さを表現する。 《こぼすまじこのぬくもりのひとしずく》 《一芸を持って人生生き足りぬ》 《限りない優しさ種の無いぶどう》 《ふり向けば支えてくれる手の数多》 《八月の夾竹桃は焔の匂い》 《問い詰めることはするまい男の背》 《恋衣脱ぐたび女深くなる》 《ほうほたる知らずや父と母の恋》 《たまゆらのはかなきことのうつくしき》 《雪月花帰らぬ刻を愛おしむ》
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-大空に解き放たれた、川柳という名の千羽の鶴たち。遠い恋の思い出、愛する家族のこと、妻として母としての自分、日々の暮らしで生まれる心の葛藤を詠んだ「第一章 約束はまだ」。70歳まで現役で看護師として務めていた著者が医療現場で経験したこと、感じたことを、川柳というフィルターに通して、時に臨場感あふれる十七音として綴られた「第二章 靴の音」。平成8年開催の国民文化祭とやまの文部大臣奨励賞受賞作《立ち直るチャンスを呉れた平手打ち》が収録された「第三章 夢の途中」。 妻だからいつも味方と限らない ひとつでは無力だと知る千羽鶴 立ち直るチャンスを呉れた平手打ち それなりの秘話もあります皺の数 羽根ひとつ眠らせてあるノラの家 胸中のほたる温存して暮れる 天の川君を探してくたびれる 雪の白宥めることも知っている 人間を少しぼかして撮るさくら 家計簿がピタリゆっくり眠れそう
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-企業のトップをリタイア後、「川柳専心」の暮らしを楽しむ著者待望の第5句集。 つくばね番傘川柳会会長、技術士(情報工学)、東京玉野会会長、玉野ふるさと大使、おかやまビーチスポーツ協会顧問、おかやま観光特使など幅広い分野で活躍する著者は、47都道府県川柳踏破を達成するなど旅好き、散歩好き、歴史好きとして知られる。 五十音を課題に詠んでいく実験的な「課題吟あかさたな」のほか「京都逍遥」「江戸東京散歩」、母への思いを綴った「母百句」など圧倒的なスケールで迫る1冊。 ああ君もリタイアですか御同輩 彼女にはいいが妻にはしたくない 今もなお予算未達の夢を見る 左手がだるいと嘆く招き猫 舞妓はん待って久しい巽橋 伝通印悲恋の姫に会いにゆく 日本橋起点に立って明日の夢 スカイツリーどこから見てもいい男 ふるさとは柿が熟して母ひとり お袋はやっと青春取り戻す
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-飾らない言葉で、女性としての凜とした美しさ、強さを十七音に乗せて、達吟家として輝かしいキャリアを積んでいる著者待望の第1句集。 川柳作家の母の影響で、子供の頃から川柳に親しんでいた著者。中学を最後に川柳から遠ざかっていたが、夫が定年日に著者の母の影響で川柳を始めたことを契機に再開。すぐに頭角を現した著者は、作家として指導者として活躍中。タイトルは国民文化祭とくしま2012年で徳島県議会議長賞受賞作やさしさを土偶の乳房からもらうから。 花筏まだプライドを持っている やさしさを土偶の乳房からもらう 電気消すふっと白状したくなる 千羽目の鶴がきれいに折り上がる 両輪のリズム揃えて金婚譜 振り向けばまあまあでした女坂 生きている証わたしに影がある 煩悩が消えて魔法がかからない 老いらくの恋はとっても肩が凝る ピーマンの真ん中無効だと思う
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-川上大輪・富湖夫妻による30年余りの川柳人生の記録を一冊にした川柳句集。夫・大輪は川柳塔社副主幹、川柳塔わかやま吟社主幹などの要職につき、第5回オール川柳賞大賞など全国の大舞台で数々のタイトルを手中にしてきた誰もが認める実力作家として活躍中。 一方、川柳作家・大矢十郎を父に持ち、彗星のごとく現われて川柳界期待の星、大型新人と呼ばれた富湖は、第3回オール川柳賞大賞を受賞し、まさにこれからという時に病に倒れ、その才能を惜しまれつつ他界。人気句集の電子書籍化。 【川上大輪作品】 いい日だな机の上に何もない 家中の明かりを点けて一人きり 生まれても死んでも時刻告げられる 鉛筆の長さよ人の一生よ 大声を出すなよ空が落ちてくる 【川上富湖作品】 甘えたら低温火傷してしまう 赤い糸結び直した跡がある 親という皿が浅くて子が荒れる 思いやりだろう鏡が曇るのも 手が届きそうで過去にはまだ出来ぬ
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-こよなく人間と酒、そして川柳を愛する著者の、平易な表現に染みこむ穿ちとユーモア。 磨き上げられた人間観察が十七音に活かされ、紡がれる。朝日新聞『朝日なにわ柳壇』への投句からスタートした著者は、現在、川柳塔社や川柳瓦版の会、川柳文学コロキュウムなど関西の錚々たる結社で活躍中。 川柳を楽しみ、時に苦しめられる著者の訪れを、ネオン街が今日も待っている。 《自動改札行きも帰りも裁かれる》 《下り坂登っていると思ってた》 《黄信号人生観を試される》 《飲みなはれあんたの金で好きなだけ》 《角砂糖三個コーヒーとは呼ばぬ》 《あしたにひびく酒ならきっとうまかろう》 《雲一筋空の高さを思い知る》 《かごめかごめ後ろは誰もいなかった》 《あとわずかいつも手を抜く僕がいる》 《ネオンきらきらちょっと漂うことにする》
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-己を信じて、孤高をつらぬく川柳の求道者である著者は、まるで空に向かって高く咲く凌霄花(のうぜんかずら)のように、強くたおやかである。 愛と女、喜怒哀楽、勇気と安心感、ときに諦念や妬心、殺意までのありとあらゆる心の動きや現象を、その研ぎ澄ました感性でするすると十七音に編み上げていく。 時実新子氏に師事し、大阪市生涯学習インストラクターとして活躍中。 《一茎に一花 やっぱり君が好き》 《愛された記憶を探す冬の指》 《返り血は覚悟ゆっくり紅を引く》 《少しずつ忘れきれいになってゆく》 《手を洗う神に許しを乞うように》 《清め塩誰も汚れてなどいない》 《子に頼る父の目尻が濡れている》 《あの世へと続く花火のあとの闇》 《盛大な拍手で送りひとり消す》 《ライオンでありたし今日も明後日も》
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-ユーモア川柳作家として高い評価を得ている著者待望の第三句集。自ら「詠んでも」、自分や他人の作品を「読んでも」川柳は楽しいとかたる著者は一日一句を目標に掲げ、十七音を紡ぎつづけている。 著者の手にかかれば、何気ない日常の「あるある」から、他者には真似の出来ないユニークな視点で句材を拾い上げられ、あっという間にスパイスの効いた川柳が出来上がってしまう。「テレパシー」「新書体」「花見酒」の三章。 《歳聞かれ干支で答えてイケズする》 《百点を取ったらパパの子にされる》 《秋だもの髪も紅葉させなくちゃ》 《手始めにあなたの事を忘れたい》 《叱ってもいいかと孫の親に聞く》 《夕べの蚊ここで会ったが百年目》 《もう朝だ地球の裏で眠りたい》 《早寝早起き良い子になった六十路過ぎ》 《美しい指に見とれている手品》 《東京の砂漠で砂になっている》
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-読む人の心に響く、原風景がここにある。古き良き風景と人情の中に育った、生粋の江戸っ子である著者の東京下町を舞台にした、人情味あふれる17音の物語。タイトルは小学生の時はじめて作った冬の夜豆電球も寂しそうより。 昭和の東京の風物詩や気丈な母親との思い出、蕎麦屋を営んでいた時代のこと、江戸っ子ならではのこだわりなどを平易な言葉で詠んだ句と文を13章に収録。 誰もが言葉にしたくてもなかなか出来ないもどかしい想いを、17音に凝縮して代弁する。 ト音記号のように食べてるスパゲティ 海に陽が沈むとジュッと音を立て 名を知ってそこここで目に止まる花 首を傾げてビクターの犬を見る 吸収合併されるすりへった石鹸 ラジオ体操のピアノの物憂げな スローモーションでどんぶり落ちてゆく 趣味ひとつわたしの隠し味にする いい休みだった一日雪が降り
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-赤裸々な「私」をさらけだす、十七音の魂の記録。 豊橋番傘川柳会会長として活躍する著者が、激動の人生を乗り越えて、たどり着いた境地を詠む。なにげない日常を一本のエッセイに変える川柳の力を実感できる、四千余句から厳選した待望の第二句集。 《家に居るはずの夫と駅で会う》 《ぺこぺこの鍋が未だに捨てられぬ》 《砂山のトンネルで手をつないだ日》 《次の世も女で君に貢がせる》 《夫とは違う願いを流れ星》 《恋人が出来たと母からのメール》 《ネクタイはどう結ぶのと聞く娘》 《財布よく忘れる友だなと気付く》 《拗ねてる間に苺大福消えていた》 《背中見たままじゃ追われぬサバイバル》
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