七彩社作品一覧
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-「この靴を履いて、僕を踏んでほしいんだ」と男が言った。 美と暴力が、俺のすべてを支配する。 紳士靴の高級ブランド店に勤める容姿端麗な23歳の神谷は、顧客の一人である会社経営者の川辺から声をかけられる。「この靴を履いて、僕を踏んでほしいんだ」とーー。カネがあり、洗練された着こなしで現れる47歳の川辺は、優雅で余裕のある大人だった。その審美眼に純粋に憧れていただけに、神谷はショックを受ける。川辺を拒絶し、抵抗し、反発する神谷だったが、次第に深みへとはまっていき……。 二人の男の愛憎が複雑に絡まり合う、濃密な物語。
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5.0龍人(アルファ)、耕人(ベータ)、そして龍人の番となるべく生まれた花人(オメガ)。三つの性が存在する世界で、美しい花人の両親のもとに生まれながら耕人の容姿を持つ市川喜一は、「外道」と蔑まれていた。 ある日、彼の両親は目の前で無慈悲な龍人に奪われ、その人生は一変する。 絶望の中、同じ境遇を持つ兄貴分・野崎聡美と出会った喜一は、花人たちの安住の地を取り戻すことを決意した。 失った仲間たちの姿を龍と花の刺青で全身に彫った二人が、滋賀の小河で夢を追い求める。 しかし、龍人による非情な「花人狩り」が、彼らの築き上げた絆とささやかな希望を打ち砕く。 抗えない運命に翻弄され、全てを失った喜一。中年になり愛人ヤクザと言われた彼が、最後にたどり着く場所とは。 関西弁で織りなす新感覚オリジナルオメガバース。おじ受け、青年受、リバ。
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-二十九歳を迎え、恋愛遍歴黒歴史だらけのひなたが出逢ったのは、イケメン年下御曹司の優也。常に穏やか笑顔で話を聞いてくれ、見守りやさしく手をさしのべてくれる。 そんな優也とつきあうことになり、心も体も全肯定される日々。 「きもちいいなら、もっとしてもいい?」 キスも触れる指先もなにもかもがきもちよくて、これって本当の恋愛をつかんだのかも!? 年下彼氏に人生リードされ、シンデレラの恋愛物語。
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-十八歳の誕生日の夜—— 専属執事リースは、純潔の令嬢セシリアに「初めての口づけ」と「読むべきではない本」と「離さないと誓う言葉」を同時に与えた。幼い頃からずっと傍にいた彼は、優しい護り手ではなく、彼女だけを見つめ続けてきた狂愛の執着者だったと判明する。逃げ場など知らず、疑うことも知らずに育てられた“籠の中の令嬢”は、抗えないほど計算された触れ方と甘い支配に心と身体を崩されていく。 「——望まなくても、私はあなたを離しません」 主従の線を踏み越えたその夜から、純潔は契約のように奪われ、世界は静かに書き換えられていく。 これは【守護の顔をした男】に一生飼われる物語。
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5.0元王立魔法アカデミーの優等生であったヒーロー・テオドールと婚約しているヒロイン・クリスタ(私)。しかし、テオドールは優秀で美しいにもかかわらず、クリスタに対して常に毒舌を吐くため、彼女は自信を失っていた。 クリスタは、「素直になる魔法薬」を自分が飲むために取り寄せるが、なぜかテオドールが飲むことに。一転して「溺愛する言葉」を吐くようになったテオドールに抱かれるようにもなり、やがて テオドールの言葉の裏に隠されていた真の溺愛に気づいたクリスタは、誤解を解き、テオドールと心から結ばれる。二人は深い愛情と独占欲で満たされた、甘く幸せな未来を迎える。
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-戦乱の世がはじまろうとする頃、山あいの小さな領地・道明沢。 道明沢を治める道明家に小姓として出仕した秋津伊縁は、かつて自分を励ましてくれた若君・道明秀将の変わり果てた姿に打ちのめされていた。 かつては穏やかで優しい方だったのに、今の秀将は冷たく、粗暴な物言いで人を遠ざける。 けれど伊縁は、彼の中にまだあの日の温もりが残っていると信じ、ひたむきにつとめに励む。 やがて秀将の胸に隠された悲しみを知った伊縁は、ますます彼を想わずにいられなくなる。 そして、互いに傷つきながらも少しずつ通じ合う心。 その温かな日々の中で、伊縁は気づく──自分が求めていた居場所とは、秀将の傍らそのものだったのだと。 しかし、伊縁を昔から目を掛けていた蓮司正興が、ふたりの関係に暗い影を落とす。嫉妬と野心が交錯する中、とうとう道明沢でも戦の火蓋が切って落とされた。 避けては通れない争いを前に、二人の間には強い絆が結ばれる。道明沢のために、互いのために、命を懸けて二人は戦う。 戦国の世に咲いた、誠と恋の物語。互いを信じる心が、夜明けの光となって二人を照らす。
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-その男、最愛にして、最凶。サイコキラーと警部の血濡れたラプソディー。 昔、何処かで聞いたサイレンの音。聞いたけれども、忘れてしまっていた── 都内のベッドタウン、賃貸住宅の空き家に、変死体が発見される。 その死体発見現場には、警察を挑発するような文書が置かれていた。 奔走する警部、小高圭吾(おだかけいご)が聞き込みを行っていくと、被害者の披露宴でカクテルショウを行う予定だったバーテン「ヒロ」と出会う。その情報を元に探りを入れていくと、また死体が上がる。次々に殺されていく男たち。彼らにはとある共通点があった。 捜査網から広がっていく、シリアルキラーの謎。 小高が再び夢の中で聞くサイレンの音。何年ぶりかに聞いたその音は日増しに大きくなっていき、日常の中でも聞こえるようになっていく。それは一体、何を表しているのか…? 挑発と快楽殺人を繰り返すシリアルキラー(攻)と、実直絆され警部(受)の哀しみのラプソディー。*書き下ろし短篇「ヒロイズム」収録
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-強制絶頂マシンで覚醒するマゾヒズム、女装シャーマン少年、ピアス貫通式通過儀礼 滅びゆく街のSFジュブナイル群像劇 “花郎”のメンバー・メヤが死んだ。そのころ街に蔓延していた、人々が突如眠りについて目醒めなくなる“仏陀”と呼ばれる現象が、彼の元にも忍び寄っていた矢先のことだった。“仏陀”に抵抗するため、少年たちはゼンという男に集められ、“花郎”として街を救う救世主・ミシランの下生条件を研究するが、ある日メンバーに第二の死者が出て……。暗礁に乗り上げていくサークル内で渦巻く憧れ、嫉妬、畏怖、欲情。閉塞的な城砦都市で繰り広げられるSFジュブナイルBL。
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-「俺は郁夫くんが好きだ。会わない間もずっと好きだった」。あらゆるシステムが機械化されたエリート男子校・花営学院に通う郁夫は、小学生時代の同級生・藤若へのコンプレックスを引きずっていた。中学で分かれ、再び同じ高校に通いながらも長らく定期試験の順位表でだけ存在を確認していた藤若は、ある日突然郁夫に接触を図り、愛を打ち明ける。郁夫は藤若への羨望と憎悪に揺れながらも彼に再び魅了されていく――そして時を同じくして現れた「鬼夜叉」と名乗る謎の少年の正体とは? 天才×秀才の劣等感拗らせ愛憎モノローグ。
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-「なぜ、皇帝陛下は私を選んだの?」 そんな疑問が、マリアンヌの口をついて出てくる。 マリアンヌ・トリコロールはトリコロール侯爵家のひとり娘。 そんな彼女は、亡き皇后の後釜として皇帝に嫁ぐことになっていた。 皇帝であるミシェル・ジーブルは氷帝と呼ばれ冷酷なことで知られる存在。 そんな彼とやっていけるのかマリアンヌは不安だった。だからこそ彼女は、得意の語りで彼の気を引こうとしたのだが―― 初夜の日にマリアンヌは彼の温かさにふれる。 そして、処女である彼女をミシェルは驚くほど優しく抱いてくれるのだった。 彼の愛情深い愛撫にマリアンヌは溺れる。 そして、行為が終わった後、ミシェルはマリアンヌにこう告げる。 「聞かせてくれないか。君の物語を」 彼の言葉を受けて、マリアンヌは語る。遠く異国の物語を、遠い昔の話を――― そしてマリアンヌは氷帝と呼ばれる彼に、少しずつ惹かれていくのだが……
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-三度目の婚約破棄。 それが、カレン・フォードリックの恋に対するすべての希望を終わらせる――はずだった。 名門公爵家の令嬢として育ちながらも、婚姻には縁がないまま十八歳を迎えたカレン。次こそはと願った婚約もあっけなく終わり、独りで生きる道を模索しはじめた矢先、差し伸べられたのは思いがけない縁談。お相手は、この国の第一王子にして“冷徹王子”と噂されるアルノフ・アードー。 政略結婚――愛のない、ただの義務。 そう思っていたのに、交わす視線、重なる指先、そのひとつひとつに秘められていたのは、誰よりも不器用な想いだった。 「優しさを信じたい。あなたの心が、冷たさの奥にあるのなら……」 そんなある日、謎の呪いにより、カレンは人の“心の声”が聞こえるようになってしまう。 その時、彼女が聞いてしまったのは―― 冷徹な王子の、誰よりも切なく甘い独白だった。 本音を隠した王子と、想いを知ってしまった妃の物語
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-「皇女であることを隠し、庶民の屋敷でメイド修業──しかしそこに待っていたのは、“ご褒美”と“快楽”に満ちた毎晩だった。」 宗教公国シラージの皇女アリアは、素行と礼儀を学ぶため、身分を隠して名門・フィル家の屋敷で「メイド」として働くことに。 しかし慣れない生活のなかで数々の失敗を重ね、ついには家宝の皿を割ってしまう。罰として“尻叩き”を受けることになったアリアは、偶然その様子を次期当主ディランに見られてしまう──。 ところがディランは、厳しくも優しく、アリアの羞恥と快楽を交錯させながら、夜ごと甘美な愛撫で支配していく。 気づけばアリアの身体はディランの愛撫に蕩けきり、皇女としての誇りより、彼への欲望に忠実になっていく……。 絶頂の快感、支配される悦び、蕩ける快楽──公女の純潔は、快楽と主従に染まりながら、蜜に濡れて開かれていく。
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-宝田鷹彦は、高校まで投手として野球に打ち込んでいたが、大学生となった現在では野球からは一切離れていた。そんな中、少年野球時代の監督・平原と偶然再会する。平原は鷹彦に、「会ってほしいピッチャーがいる」と、少年野球チーム「楠之台アイルズ」の投手コーチになるよう打診する。アイルズで出会ったのは、エースの市川青真。彼は、鷹彦の高校までのチームメイトにして同じく投手であった市川弾希の弟だった。 エースとして注目を集め続け、東京の一部リーグ所属の大学で今も活躍する兄と同様、小学生離れした能力を持つ青真。しかし鷹彦は、彼の投手としては致命的なある欠点を見抜いてしまう。そのことをきっかけに、二人の「コーチと選手」としての関係は変化し始め——。 青真に重ねてしまう、見たくもない面影。成長の途上にある、少年の心と身体。それに向けられる、抑えきれない欲望——。 その男の影に雁字搦めの、青年と少年が下した、追憶と倒錯の中の選択。
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5.0
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-月に一回、自分へのご褒美として高級サロンへ通うことを楽しみにしているあなた。 そこではいつも、爽やかで物腰の柔らかい、九重凛太朗という美容師を指名していた。 ある日いつものようにサロンを訪れたあなたは、初めてヘッドスパを経験する。 施術後、あまりの気持ちよさにうっとりするあなたに、突然凛太朗が告げた。 「次は……お得意様専用のサービスを提案してもよろしいですか?」 そんなサービスがあったとは知らず、あなたはすぐに答えることができない。 だが追加料金は一切かからないという凛太朗の言葉と、丁寧な態度に反して断る隙のない問いかけに、 思わずうなずいてしまう。 『お得意様専用サービス』がどれほど気持ちよく、刺激的なものなのかも知らずに―― 「……もちろん、たった一人のためのスペシャルサービスですよ。僕にとって、貴女は特別なお客様ですからね」 総ページ34P
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-折れない君は正しかった。 ――あるデジタルコンテンツ制作企業の崩壊と再生の記録 2017年、私は会社を作った。 成功する確信はなかった。 ただ、社会にうまく馴染めなかった自分が、壊れずに働ける居場所が欲しかった。 最初の売上は300円。 月商は3万円前後。 それでも会社を続け、気づけば社長である私は七年間、無給で働き続けていた。 従業員全員が一度に辞め、会社のコネクションを使って別の活動を始めていた。 過度なストレスから生活は崩れ、体重は増え、心も限界を迎えた。 それでも、私は会社を畳まなかった。 この本は、起業の成功談でも、ノウハウ本でもない。 一人のデジタルコンテンツ会社社長が、判断を誤り、壊れかけ、それでも折れずに「会社を残した」記録である。 侮られたまま終わりたくなかった。 それだけの理由で続けた日々の先に、2022年、積み重ねてきた音声作品がようやく数字として報われる瞬間が訪れる。 正しかったかどうかは、今でもわからない。 けれど、折れなかったことだけは、確かだった。 これは、 誰かに成功を約束する本ではない。 ただ、同じように迷い、踏みとどまり、今日も続けている誰かのための記録である。
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-ーこの恋は罪か。それとも祟りかー ――もしも死んだら、涙の一つくらいは浮かべてくれるだろうか? 奉公人の伊助は店の若旦那・雪隆への届かぬ恋にやつれ、病床に伏し死を待っていた。 寒々しい冬、泣き濡れて目を閉じた伊助の耳に懐かしくも愛おしい人の声が届く。 だがそれは幻ではなかった。 「すべてを捨ててきた。共に生きよう」 それは、あってはならない罪の始まりだった。 安住の地を求めるも、受け入れてくれる場所はなく彷徨う二人。 心身共にすり減らした二人が辿り着いた隠れ里で歓待を受けた翌日――雪隆は倒れた。 熱があるのに震え痺れ、腹痛と嘔吐を繰り返す人を支えた伊助は「この方を守れるのは僕だけだ」と奮い立つ。 雪隆の知恵もあり村人を欺きながら逃げる手段を探す二人は、因習村の闇を知る。 河原の祠――『トガミサマ』を奉るそこは季節外れの彼岸花が揺れ、青白い蛍が舞う。 そして、秘密を探る伊助にだけ聞こえる『――逃ゲロ』という声と、首切りの夢。 「六部殺しの村がある」 雪隆がかつて商人から聞いた噂は本当なのか。 ――彼岸より呻くのは誰?