七彩社作品一覧
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5.0山犬妖怪ヨギリ✕高飛車な鶴の怪イチカ とあることがきっかけで、イチカの住まう山に大穴が空いた。 弌羅山會が大親分。虹蛇の愛息子でもあり、美しい鶴の妖でもあるイチカは、己の縄張りで今日も地獄から湧き出る餓鬼討伐。 しかし、そんないつも通りの日常が、虹蛇の番いであり、化け狐の母。篠海によって大きく崩れ去る。 家を追い出された怒りのまま余計な嘘をついたせいで父である虹蛇はイチカへと激しい怒りを向ける。 ならばややを作ってさっさと番えと無理難題をふっかけられる羽目となった。 しかも相手は、常に犬くさいとイチカが遠ざけていた従兄弟の山犬の怪。ヨギリである。 はたして無事にややを孕むことができるのか。隠していた腹の中ごと、ヨギリにすべてを暴かれ、イチカは────
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-月に一回、自分へのご褒美として高級サロンへ通うことを楽しみにしているあなた。 そこではいつも、爽やかで物腰の柔らかい、九重凛太朗という美容師を指名していた。 ある日いつものようにサロンを訪れたあなたは、初めてヘッドスパを経験する。 施術後、あまりの気持ちよさにうっとりするあなたに、突然凛太朗が告げた。 「次は……お得意様専用のサービスを提案してもよろしいですか?」 そんなサービスがあったとは知らず、あなたはすぐに答えることができない。 だが追加料金は一切かからないという凛太朗の言葉と、丁寧な態度に反して断る隙のない問いかけに、 思わずうなずいてしまう。 『お得意様専用サービス』がどれほど気持ちよく、刺激的なものなのかも知らずに―― 「……もちろん、たった一人のためのスペシャルサービスですよ。僕にとって、貴女は特別なお客様ですからね」 総ページ34P
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-折れない君は正しかった。 ――あるデジタルコンテンツ制作企業の崩壊と再生の記録 2017年、私は会社を作った。 成功する確信はなかった。 ただ、社会にうまく馴染めなかった自分が、壊れずに働ける居場所が欲しかった。 最初の売上は300円。 月商は3万円前後。 それでも会社を続け、気づけば社長である私は七年間、無給で働き続けていた。 従業員全員が一度に辞め、会社のコネクションを使って別の活動を始めていた。 過度なストレスから生活は崩れ、体重は増え、心も限界を迎えた。 それでも、私は会社を畳まなかった。 この本は、起業の成功談でも、ノウハウ本でもない。 一人のデジタルコンテンツ会社社長が、判断を誤り、壊れかけ、それでも折れずに「会社を残した」記録である。 侮られたまま終わりたくなかった。 それだけの理由で続けた日々の先に、2022年、積み重ねてきた音声作品がようやく数字として報われる瞬間が訪れる。 正しかったかどうかは、今でもわからない。 けれど、折れなかったことだけは、確かだった。 これは、 誰かに成功を約束する本ではない。 ただ、同じように迷い、踏みとどまり、今日も続けている誰かのための記録である。