金剛出版の検索結果
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病いは物語である
なぜ臨床場面に民族誌(エスノグラフィー)が必要なのか? 著者は文化精神医学や医療人類学の方法論を精神科の日々の臨床にいかに蘇生させるかということを,ライフワークにしてきた。本論集はその集大成ともいうべき労作である。 かつてA・クラインマンは,台湾をフィールドとする著作のなかで,憑依状態で治療にあたる現地の童ケイ(タンキー)を,癒しにおいて間違いなく西洋医にまさるものと結論づけた。ここで作動しているローカルな知を現代医療において生かす方法は何かと著者は問う。現代精神医療の変容(「大きな物語の終焉」),物語論の始原へと遡るジャネの心的治療論,民俗学への架橋,そして医療自身のもつ文化をたどりながら,読者は対話場面で偶発的に溢れるように語りだされる患者や家族の「もう一つの物語」を聴くことになるだろう。 精神療法は文化とどこで出会うのか? 心的治療の多様性とは? 臨床民族誌という方法を理論にとどまらず身体技法として身につけるにはどうしたらよいか?……本書(本論集)はこれらを模索する試みである。 -
唯が行く!
双極性障害の家族を持ち自身も発症の疑いを持つ大学生、唯(ゆい)は大学のサークル活動を起点として自助グループの運営にかかわるようになり、当事者研究とオープンダイアローグ(OD)を学んでいく。発達障害、吃音、摂食障害、LGBT、鬱、ひきこもりの親など、自助グループに登場するさまざまな困りごとを抱えた当事者たちのケースを通して、この物語は、対人援助職、当事者向けの実践的ケーススタディとなる。 一方で、物語は成長して大学で教鞭をとる唯先生による講義編へと展開する。 講義編では、「ユーモア」「苦労の哲学」「ポリフォニー」「中動態」などのキーワードを並べつつ、当事者研究、ODを基礎から丁寧に解説。さらに、ハイデガー、アーレント、バフチンの思想が交差する深みへと進む。 本編のほか、ほがらかタッチのへたうまイラストや、付録には「唯のひらめきノート」、荒唐無稽なゲームブックなどが収録され、読者はユニークな世界観を味わいながら、当事者研究とODを楽しく学ぶことができる。 -
よくわかるSMARPP
わが国では,覚せい剤取締法違反によって刑務所に服役する人の数は年々増加しており,その再犯率の高さも指摘されている。薬物依存症の治療は「貯金することができない」性質のものであり,出所後そして保護観察終了後にも,地域で継続されなければほとんど意味がない。 米国マトリックス・モデルを基に〈SMARPP〉を開発した著者が,新しい薬物依存症治療プログラムとしてのスマープの実際をわかりやすく説いたのが本書である。 後半では,薬物依存症治療の最前線として,現状の理解から法的問題,当事者と家族への援助まで,物質使用障害理解のためのさまざまな課題を明らかにしている。 -
ラウンドテーブルトーク 児童精神科医という仕事
本書は,わが国の児童精神科医療に関わる関係者に向けて,臨床における現場感覚を生き生きと感じ取ってもらうことと,児童精神科臨床の現状と問題点や課題を提示することを,主な目的として企画した。 第1部では,齊藤万比古医師と岩垂喜貴医師による,『児童精神科入院治療の実際―子どもの心を守り,癒やし,育むために』(金剛出版)刊行記念として開催されたトークイベントが収載されている。児童精神科入院治療の草創期から始まり,入院治療の魅力,チームの連携,スタッフの燃え尽き防止策など,教科書的な知識ではなく,臨床実践に基づいた入院論・治療論が語られる。 第2部では,児童精神科という同じ臨床の場を持ちながらも,それぞれ異なるアプローチで臨床に携わってきた経験豊富な4人の医師が,児童精神科医療の実際や児童精神科における治療,東日本大震災・コロナ禍を経験し,ウクライナ戦争下における,これからの児童精神科臨床についてラウンドテーブルトーク形式で大いに語りあう。 児童精神科医として模索し,実践してきた臨床の道のりから生み出された,さまざまな知恵や示唆は,実際の臨床に携わる多くの関係者にとって指針となり,明日への臨床の活力を与えてくれるだろう。 -
臨床現場で活かす!よくわかるMMPIハンドブック(基礎編)
クライエントのパーソナリティを高解像度で解き明かすMMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory:ミネソタ多面人格目録)の基礎知識・施行法・臨床応用を,「MMPIを知るためのQ&A」「MMPIを理解しよう!」「MMPIをはじめよう!」「MMPIをケースでまなぼう!」の全4章でわかりやすく解説。MMPIの始め方から,基礎尺度・追加尺度の基礎知識,解釈法,ケーススタディ,さらにMMPI試行の全体像をマッピングした付録「樹形図」まで,臨床心理アセスメント初学者はもちろん,アセスメントスキルをブラッシュアップしたいベテラン心理職,チーム医療を志す医師・コメディカルスタッフにもよくわかる実践本位テクニカルガイド! -
臨床行動療法テキスト
子どもの不適応行動として不登校を例にとると,不登校児はいじめや成績不振などの先行刺激を回避し,居心地のいい家にいることによる不安の軽減や安全確保という利益(強化)を得て不登校が長期化する。その解決には,個々の不登校にはどのように「回避・強化機制」が働いているかを分析し,学校復帰に向けた行動変容を促すアプローチを適用しなければならない。 本書は,行動療法の歴史と理論背景を解説したうえで,心や行動の問題に適切に対処するための機能分析の方法とさまざまな行動療法の技法を紹介し,抜毛症や場面緘黙,強迫症といった子どもにみられる15の疾患や問題行動について豊富な事例とともにその見立てと臨床アプローチの実際を示す。 子どもの心の臨床を目指す学生や心理専門職,また学校や幼稚園・保育園の先生,さらには子どもの問題行動に悩む保護者の方などにも参考となるテキストブック。 -
臨床心理学
若者のメンタルヘルスと支援を多角的に考える特集。若者を取り巻く生きづらさや搾取、依存、孤独、友人関係、家族、LGBTQ、不登校・ひきこもり、就労などの問題を取り上げ、当事者の声やスクールカウンセラー、ユースセンター、医療・福祉など多様な立場から支援のあり方を探る。さらに、インターネット使用や逆境的小児期体験、孤独感に関するデータを通して、若者のメンタルヘルスをめぐる現状と課題を考察する。 1-総論|若者を救えるか? 2-試論|若者とは誰か? 3-各論|若者支援実践レポート 4-補論|データを読む 原著論文 連載 書評 -
臨床心理学スタンダードテキスト
臨床領域・学問領域ごとに第一人者が展開する集合知の結晶、公認心理師時代を迎えた臨床心理学の新基準スタンダード。 公認心理師の職責から、心理学概論、臨床心理学概論、研究法・統計法・心理学実験、多岐にわたる心理学理論、アセスメント、心理支援、主要5領域、精神疾患と治療、そして関係行政論へ。公認心理師/臨床心理士として研究・臨床において研鑽を積むうえで不可欠の知識と理解と経験を、多様な視点と論点から語り尽くす。 臨床心理学の初学者から、すでに臨床現場に勤務する現任者、そしてベテラン心理職まで、つねに座右に置いて日々の臨床を検証し、みずからの臨床知を深化させていくためのスタンダードテキスト。 -
臨床犯罪心理学
法を逸脱し、他者や社会とのつながりを強烈に求めながらも自らそれを断ち切っていく人たち、そんな人生を本当は嫌っているのに変える術を持たない人たち、自分を認めることに極めて臆病な人たち――彼/彼女たちと関わる経験とその共有は、心理支援をもっと良質なものにしていける。 矯正領域における臨床経験から析出された「臨床犯罪心理学」を巡る5つの考察は、自傷と他害の関係、犯罪・非行行為と並走する思春期・発達・ジェンダーの問い、交差・輻輳する加害と被害、刑罰と教育の境界線、専門家の面接とその技法と、いずれも犯罪・非行臨床に欠くべからざる要を指し示す。さらに本編を補完する4つの臨床的随想は、初回面接から、面接における「期待」、面接者の無力感、そして面接の終結へと歩む孤独な臨床家たちの足許を照らしてゆく。 加害と被害の交差域で、変わろうとする人たちの傍らで、「加害者臨床」をラディカルに思考する比類なき臨床フィールドノート。 -
リーディング・クライン
精神分析においてクラインの名前を聞いたことがない人はいないだろう。 本書は、クライン精神分析を歴史から今日的発展までを含め、豊饒な業績だけでなく、社会の動向や他学問領域との関連とも併せて紹介していく。 全体は2部構成となっており、Part 1では時系列に沿ってクラインの臨床的な発展を解説する。Part 2ではクラインの思想を倫理、社会・政治との関連で読み解き深い理解へと誘っていくが、それらはいままでのクライン関連書には見られなかった本書の特徴の一つとなっている。 クライン派精神分析を学び・読み解くための最適なテキスト。 -
若者のためのコミュニケーションスキル練習帳
「挨拶もできない」「人の話を聞いていない」「質問もできない」「何を言っているのかわからない」「ちょっと違う意見を言われるとすぐにつぶれる」「必要なときに相談してこない」「ミスしたときに立ち往生する」「根回しが全然わかっていない」「提案をまとめられない」「時間管理ができていない」……若者が社会に出たときに,こういった批判の声が上がることは少なくない。 本書では若者に社会人として身につけてもらいたいコミュニケーションスキルの基本を,豊富な場面設定を参照しながら1つずつわかりやすく解説している。 大学の就職支援スタッフ,学生相談をしているカウンセラー,ご家族を主な対象としながら,新入社員教育などコミュニケーションスキルを伝えるさまざまな場面でも繰り返し活用できるテキストブックである。 -
私の体験的グループワーク論
支援者のチームワークこそ,グループワーク成功の鍵だとする著者は,東京大学病院精神神経科デイホスピタルでSSTを日本の現場に導入し,以来,精神保健の分野ばかりでなく,刑務所や更生保護施設でもSSTの普及とリーダーの育成に努めてきた。 本書の中心テーマは,グループの持つ力を仕事に活かす,グループワークという支援の方法である。著者は,グループワークの原理・原則をわかりやすく解説し,認知行動療法理論に基づくSST(social skills training)やソシオドラマなど,グループで使える方法や技法を数多く紹介する。グループの力を駆使して,クライエントが現実の生活に役立つものの考え方と行動を身につける手助けをするための,優れた援助者になるための必読書。 -
わたしは盗らないクレプトマニア
クレプトマニア(窃盗症)は古くから知られる病だが,その実態はいまだ十分に語られているとはいえず,精神医学の中でも特に研究が遅れている分野である。診断基準にも混乱がみられ,適切に対応できる治療者の数もまだ少ない。 本書は,クレプトマニア当事者である著者が,専門医療機関への入院を経て「盗らない生活」を取り戻すまでの道のりを,自らの言葉で綴った体験記である。 著者がクレプトマニアを発症した背景には,摂食障害,Xジェンダー(F to X)としての自覚,機能不全家族で育った体験,さらには職場でのハラスメントによるうつ病の発症など,さまざまな「生きづらさ」があった。 四度の逮捕と入院,自助グループへの参加など経て,著者はいかに回復への糸口を見いだしたのか。罪と病のあいだで悩み,揺れ続けたひとりの当事者の回復の軌跡は,クレプトマニアへの理解を深めるとともに,いまなお暗闇の中にいる当事者に,確かな希望の光を投げかける。 -
ワークディスカッション入門
本書は,職場内のダイナミクスを精神分析的に探究するグループワーク「ワークディスカッション」に関する概論書である。近年,臨床現場の多様化に伴い,グループや組織を対象とした支援を行う機会が増えている。しかし,心理職はこれまで個人臨床に特化した理論や技法に依拠してきたため,こうした状況の変化に十分に対応できていない現状がある。 ワークディスカッションは,そうした心理職の専門性に新たな光をもたらす方法論として,注目されてきているが,日本における実践報告はまだ少なく,その本質的な意義については十分に理解されているとは言いがたい。本書では,対人援助職のための訓練プログラムとして考案されたワークディスカッションには,組織内に内省的文化をはぐくむ社会療法的アプローチとしての側面があることを,自験例を交えながら,わかりやすく解説する。 構成は三部からなり,第I部〈理論編〉ではワークディスカッションをはじめ,グループ理論と組織理論の基礎について整理し,第II部〈実践編〉では著者による医療現場での自験例をもとに,ワークディスカッションにおける実践的な課題について考察し,第III部〈番外編〉では本編から派生した応用的テーマとして,個人的要因とグループへの影響を考察し,精神分析的心理療法の固定観念を再考する。 本書は,ワークディスカッションをみずから実践してもらうことを願って執筆されたガイドブックである。