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吉野葛・蘆刈
吉野の紀行文と思わせる出だしから、同級生の男の早くに失った母親の生家探しが語られ、母の面影を思うあまり、生家の姪を許婚(いいなずけ)にするという展開が一気に語られる「吉野葛」。『蘆刈』も、紀行文から夢ともうつつともつかない物語に変容し、出会った男から語られる父のせつない恋愛話がテーマである。未亡人に恋し、その妹をめとり、姉思いの妹との関係が語られてゆく。その息子であるこの男はいったいだれの子供なのか、未亡人はもうすでに高齢になっているのではないかという疑問をのこしながら、男は消えてゆく。大阪移住以来、谷崎潤一郎の作風がだんだん純日本的なものに移行していった時期の代表作。 -
乱菊物語
戦乱の室町時代、瀬戸内の美しい海と島々を背景に、羅綾の蚊帳の由縁とともに絢爛たる伝奇絵巻が開かれる。播州の太守赤松家と代官浦上家の確執に端を発し、両家の侍が京を駆け巡る狂騒の美女捜し。御家騒動には室の港に君臨する遊女かげろう御前、幻術を駆使して民を翻弄する幻阿彌法師、果ては一切を謎に包みし海龍王までが運命の糸を縺れさせる――史実や伝説をまじえ文豪が悠揚たる筆致で読者を誘う、永遠に終わることなき物語の愉楽。奔放な想像力が築く谷崎文学の隠れた山嶺が、ここに姿を現す。/解説=東雅夫 -
ルルとミミ(乙女の本棚)
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人気シリーズ「乙女の本棚」第32弾は、文豪・夢野久作×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション! 小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。 けれども、花の鎖は引いても引いても尽きないほど長う御座いました。 「水が濁るとよくないことがある」。そんな言い伝えのある湖のそばに住むルルとミミは、鐘造りの父が身を投げてから、二人きりで暮らしていた。 夢野久作の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き、本シリーズでは堀辰雄『鼠』太宰治『魚服記』中島敦『山月記』新美南吉『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって描かれる。 名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。 自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。