白蔵盈太作品一覧

  • みぎての左甚五郎
    5.0
    幽霊を捜して歩く右手が義手の男は、「絶対に中を覗くなよ」と言い残し、依頼主に惚れ込んだ時だけ仕事をする。「天下一の彫り物職人、左甚五郎たぁ、俺のことだっ!」理不尽な事態に巻き込まれて困っている人を放っておけない、謎多き男・甚五郎。今は亡き妻への想いを胸に、江戸へと向かう道中で降りかかる厄介事をおのれの「みぎて」で解決する、人情時代小説ついに開幕!
  • 一遍踊って死んでみな
    -
    娯楽がない鎌倉時代、人々に刺激を与えたのは踊り念仏だった。家族も財産もすべてを捨てて阿弥陀仏の導きに従う一遍は、念仏を唱えて日本全国を行脚する。一遍とともに僧達が床板を叩く足音のリズム、次第に加速する念仏、上昇する心拍数を表すかのような鉦の音。時衆が繰り広げる激しいパフォーマンスは、見る者の心を鷲掴みにする。念仏はロックだ! 破天荒かつ繊細な捨聖、一遍の物語。
  • 実は、拙者は。
    4.0
    深川佐賀町の裏店に住まう棒手振りの八五郎は、平凡かつ地味な男。人並み外れた影の薄さが悩みの種だが、独り身ゆえの気楽な貧乏暮らしを謳歌している。そんな八五郎は、ある夜、巷で噂の幽霊剣士「鳴かせの一柳斎」が旗本を襲う場に出くわす。物陰から固唾を呑んで闘いを見守る八五郎だが、一柳斎の正体が、隣の部屋に住まう浪人の雲井源次郎だと気づき――。影と秘密は江戸の華!? 期待の新鋭が贈る、書き下ろし傑作時代小説。
  • 関ケ原よりも熱く 天下分け目の小牧・長久手
    4.5
    本能寺の変で急死した信長が残したものは、「天下統一」という概念だった。それに気がついた時、秀吉と家康はどんな行動に出るのか。ともに40代、武将として脂の乗り切った二人が、腹心の部下──家康には石川数正、秀吉には黒田官兵衛──に支えられ、知略を尽くし、命を賭けて睨み合う。真の天下人となるために。秀吉、家康それぞれの視点で描かれる、天下分け目の熱き戦い。
  • 桶狭間で死ぬ義元
    -
    強い今川家を目指し、検地や寄親・寄子制を導入するなど制度改革を行い、風通しが悪くなった古臭い家風を変えようと、当主として懸命に歩む義元。今川の東に北条、北に武田、西に織田という群雄割拠の乱世において、義元はいつしか「海道一の弓取り」と称されるようになる。甲相駿三国同盟を成立させ、今川家最大の繁栄をもたらした名武将は、篠突く雨の桶狭間で最後に何を想うのか。

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  • 義経じゃないほうの源平合戦
    5.0
    鎌倉なんか、来るんじゃなかった。蒲御厨で静かに暮らしていた範頼は、命の危機を感じて頼朝のもとへ来るも、会って早々、兄の怒りに触れ言葉も出ない。ちくしょう、怖すぎるだろ、この兄さま。打倒平家に燃え勇猛果敢に切り込んでいく弟の義経を横目に、兄への報告を怠らず、兵糧を気にする自分の、なんと情けないことか。頼朝と義経、二人の天才に挟まれた平凡な男、源範頼の生きる道。
  • 画狂老人卍  葛飾北斎の数奇なる日乗
    5.0
    江戸の大絵師、葛飾北斎は絵への探求心が人一倍。偏屈で一般常識なんぞ持ち合わせてはいない天才は、弟子の常次郎をいつも困らせている。猫を探せ、鼠を捕まえろなど、無理難題の毎日だ。しかし「絵が好き」という共通点があるからこそ、師匠はぶっきらぼうでも弟子の成長を見守り、弟子も怒りながらも尊敬の眼差しを送る。そんな愛あるおかしな日常を、軽妙な筆致で生き生きと描く。
  • 討ち入りたくない内蔵助
    5.0
    松の廊下での刃傷事件の情報がもたらされると、籠城だ仇討ちだといきり立つ藩士たち。内蔵助は彼らをのらりくらりとかわしながら、「藩士どもを殺してたまるか!」とお家再興に向け画策する。しかし、精一杯やっているのに四面楚歌。やってられるか、こんなこと! 筆頭家老の責任なんて投げ出せたら楽になれるのに……。既存のイメージを覆す、人間・内蔵助を等身大で描く新たな忠臣蔵。
  • あの日、松の廊下で
    5.0
    旗本・梶川与惣兵衛は、「あの日」もいつもどおり仕事をしていた。赤穂浪士が討ち入りを果たした、世にいう「忠臣蔵」の発端となった松の廊下刃傷事件が起きた日である。目撃者、そして浅野内匠頭と吉良上野介の間に割って入った人物として、彼はどんな想いを抱えていたのか。江戸城という大組織に勤める一人の侍の悲哀を、軽妙な筆致で描いた物語。第3回歴史文芸賞最優秀賞受賞作品。

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