高橋篤史作品一覧

  • 凋落 木村剛と大島健伸
    4.6
    「振興銀・SFCG事件」は何を物語るのか 破綻した日本振興銀行の木村剛と、SFCG(旧商工ファンド)の大島健伸の人生を辿り、「振興銀・SFCG事件」が意味するものをえぐりだすノンフィクション。金融史上かつてない特異な事件の全容を描く。 日本振興銀行は木村の超個人主義的な独自の思考によって破綻し、わずか6年ちょっとというその浅い業歴に比べればあまりに巨額の損失をあとに残した。日本振興銀行の経営破綻から3カ月後、無惨な廃墟の後片付けに入った預金保険機構が取りまとめた数字によれば、同行の債務超過は6700億円という途方もない金額であった。  大島が一代で築き上げたSFCG(旧商工ファンド)が経営破綻したのは2009年2月のことである。当時の公表額だけでも負債は3380億円に上った。SFCGの資金繰りが綱渡りの状態に陥っていた最中、大島は自らの報酬を月額2000万円から9700万円へと大幅に引き上げている。混乱するばかりだった現場で呻吟する従業員を尻目に、倒産間際の会社からひと月に1億円近い報酬を受け取ることができる神経は並大抵の図太さではない。 2010年に逮捕・起訴されたこの二人の成功と転落を通じて、日本の戦後経済社会史を透視する。東大卒・日銀出身でバブル崩壊後の不良債権処理に強い影響力を持っていた金融エリートの木村と、在日・帰化人で商工ローンという金融の辺境から世界的な富豪にのし上がった大島という二人の人間の異なった人生が一瞬だが交錯し、ともに奈落の底に落ちていく様を描写する。

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  • 粉飾の論理
    4.1
    粉飾には数多くの関与者がいる。なぜ粉飾は後を絶たないのか。その末路とは。カネボウ、メディア・リンクス、ライブドアなどを事例に、粉飾にいたる系譜と構図を明らかにする。 【主な内容】 序 章 虚業ライブドア/第I部 カネボウの罪/第II部 メディア・リンクスの罰/第III部 監査法人の死/終 章 香港、スイス、カリブ海
  • 創価学会秘録 池田大作と謀略と裏切りの半世紀
    4.0
    創価学会の薄暗い秘密が記録された第一級の極秘資料を大量に入手! ひとつは創価学会自らがまとめた「総合経過年表」と題する内部資料であり、もうひとつは宗門(日蓮正宗)の高僧が書き残した通称「河辺メモ」と呼ばれる備忘録だ。 前者は、かつての中枢幹部にして弁護士、そして創価学会史上最悪の反逆者となった山崎正友への対策資料として作られたもので、1980年にあった山崎による学会への恐喝事件をヤマ場に概ね1951年から1983年までの期間における学会内部や宗門・日蓮正宗(1991年に創価学会を破門)などの動きを年表形式で、関係者の発言をも含め極めて詳細にまとめている。合計190枚あまりにも上る超一級資料だ。 他方、後者は日蓮正宗の総本山・大石寺(静岡県富士宮市)の第67世法主である阿部日顕の懐刀とされた有力僧侶、河辺慈篤が毎日のように綴っていた手書きの日記風備忘録で、1984年から1990年にかけての通年分と1991年の一部を入手した。こちらも合計180枚あまりに上る。 当時、河辺は日蓮正宗側で創価学会に関する情報収集にあたり、学会側も日顕との非公式ルートとしてその存在を頼っていた面があった。ゆえにメモには反池田職員グループはじめ学会関係者との接触の状況が克明に記され、当然、学会破門へと突き進んでいく宗門内部の動きにも詳しい。 これらを軸に公刊資料から裁判記録まで幅広く渉猟し、結果、にわかに眼前へと浮かび上がって来たのは、「謀略」と「裏切り」に彩られた知られざる池田大作の半世紀である。 池田大作とは一体何者であったのか――。戦時中の創価教育学会や戦後に再建された創価学会の真の姿を追った前著『創価学会秘史』(2018年、講談社刊)に続き、本書はその問いに迫ろうとする試みである。 戦中、初代会長・牧口常三郎を獄死によって失った創価学会は、戦後、第2代会長・戸田城聖の下、折伏一辺倒で世間の評判など露ほども顧みず、ひたすら組織の拡大に向かった。戸田の急死を受けて第3代会長に若干32歳の若さで就任した池田は、1970年の出版妨害問題で社会的な批判を激しく浴びると、以降、対外イメージの修正を図っていく。同時に創価学会は水面下で、他宗派や政党、メディア、言論人など対立勢力に対して謀略工作を行うという二重人格性を深め、池田の言動も裏(組織内での放言など)と表(編集の手が入った聖教新聞記事など)の乖離が激しくなり、学会にとって最も触れられたくないものとなっていった――。 晩年の池田は「第一次宗門戦争」の末に自らが会長を辞任せざるを得なくなった1979年4月に起こった一連の出来事に異常な執着を見せた。最も信頼し重用していた側近にじつはかなり早い段階から裏切られていたことが日ごとに明らかとなり、それこそが「会長勇退」の真因であったことを悟ったからだ。ぐつぐつと煮えたぎるどす黒い復讐心は歳月とともに熱量を上げ、最後、それは制御不能なものとなった……。 第一級の極秘資料に記録された、池田大作の「裏」の言動が明かす、巨大宗教団体の衝撃的裏面史! 圧倒的調査力で綴られたおよそ37万字にのぼる超大型ノンフィクション!!
  • 創価学会秘史
    4.0
    創価学会が完全に封印し、幻の文書となった会報、機関誌を独自に入手。浮かび上がってきた牧口常三郎、戸田城聖、そして池田大作の肉声。初期の創価学会は、左翼運動で検挙された元教員たちを取り込み、特高警察や思想検事と手を結んで「転向」を促すことで組織を強化した。戸田城聖は戦後、出版業や教育産業、金融業に乗り出すが、失敗。学会は、巨大な「集金マシーン」へと姿を変えていく――。
  • 亀裂 創業家の悲劇
    3.7
    時代を読み、需要を先取りする動物的な勘。 多くの人を惹きつけ、統率する牽引力。 そして、強烈な自負心と強運。 日本を代表する有名企業をつくった「創業社長」には、どこか共通するカリスマ性がある。 しかし、創業社長のカリスマ性が大きければ大きいほど、その去り際、そして去ったあとには、巨大な陥穽が残されることになる。 セイコーの服部家、国際興業・小佐野賢治、ロッテ・重光武雄といった昭和を象徴する創業者の後継者たちは、いずれも大きな混沌を経験した。 ソニーを創業した盛田昭夫氏の長男・盛田英夫氏は、ソニー株をはじめ多額の資産を父から相続したが、それをスキー場開発やF1レースへの参戦などに膨大な資金をつぎ込み、ついにそのすべてを費消しつくした。盛田家の祖業である醸造業に取り組んだがそれもうまくいかず、それでも都心の高級ホテル住まいをつづけ、最後はその滞在費を払うこともできないところまで追い込まれた。 英夫氏は、「盛田昭夫」という巨大な存在から逃れ、克服するために自分だけの成功を追い求めたのかもしれないが、結局それは果たせなかった。 ユニバーサル・エンターテインメントの岡田家、大塚家具の大塚家、大戸屋の三森家、ゲオの遠藤家も、会社の経営権をめぐって、激しい内紛を展開している。 さらに、創業家の持つ巨額の資産には、「資本のハイエナ」と呼ばれるような地下金融の住人たちや、M資金という古典的な詐欺師たちが群がり、甘言を尽くしてカネを吸い取ろうとする。 目を覆うような悲喜劇は、そこに巨額の資産があるからこそ起こる。 リア王やマクベスを地で行く、裏切りと転落のドラマ。 経済事件取材のトップランナーである筆者が、その圧倒的な取材力と筆力によって構成する最上級の経済ノンフィクション。
  • 兜町コンフィデンシャル 株式市場の裏側で何が起きているのか
    3.0
    経営が不振になった企業や苦境にある新興企業に食い込んで、さまざまなエクイティファイナンスを仕掛け、必要資金は海外口座から回し、獲得資金は海外に逃避させる。そこにM&Aを絡ませ、株価引き上げの材料にしたりする――こうしてあらゆる収益機会を捉えて資金を短期回転させるのが、「現代の仕手筋」だ。正史では語られることのない、彼ら株式市場で暗躍する勢力と、それに対する警察や取引所の奮闘を詳細に描く。2000年以降の株式市場の裏側で何が起きていたのかを浮き彫りにするノンフィクション。

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