【感想・ネタバレ】大学は何処へ 未来への設計のレビュー

あらすじ

パンデミックで窮状が白日の下に晒された日本の大学.襲いかかるオンライン化の奔流,不可避の人口減,疲弊する教員,逼迫する資金,低下する国際評価――.存続の危機の根本原因はどこにあるのか.本来の大学を追究し続けてきた著者が,「時間」をキー概念に提案する再生のための戦略とは.ロングセラー『大学とは何か』待望の姉妹編.

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2021/7/17 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2021/7/26〜8/4

これまでも大学の在り方について、著作を発表している吉見氏の本。コロナで遠隔授業が主体となった大学の、今後を、明治期以来の日本の大学の位置付けから読み解く。非常に 勉強になった。

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2021年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文理の格差は大学の法人化にある

P.59 東京帝大 第二工学部

P.62
…今日の私立工業大学の中核[例えば東京都市・工学院・芝浦工業]は、この戦後末期の工学系大拡張の副産物として生まれているのだ。

中でも東海大は大規模総合大学に発展した

P.63
…明治学院、青山学院、関東学院の三つの「学院」が一校への統合を迫られている。

…ミッション系ではない私学、たとえば明治大学や中央大学、立命館大学では、むしろこれをチャンスとばかりに工業専門学校を開設し、それが戦後、それぞれの大学において大規模な工学部に発展することになる。

P.68
…大綱化のなかで大学の「教養」と「専門」の敷居を取っ払ったことが教養教育の弱体化を招いた

P.70
もともと明治期に帝大に入学したのは社会のごく一部の知的上層であり、そうであるがゆえに「学術の蘊奥うんおう」を探究するという目的が一定のリアリティをもって受け止められていた。しかし、大正期以降の高等教育の大衆化のなかで、大学の役割は学問を究めることよりも、真に有用な職業人を育てることに変化したと同窓会は考えていた。

…旧帝大で、戦後になって総合大学化に向けた拡張が促されていった

東工大のリベラルアーツ教育の先駆け

P.150
九月入学
Spring once againは大阪市の公立高校に通う二人の学生が起こした。

高専の可能性 カレッジ型教育
金沢工業

グーテンベルクの銀河系

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2022年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コロナ禍で、これまで遅々として進まなかった大学のオンライン化は一気に進んだ。ポストコロナ時代の大学はどうあるべきなのか、ということから始まり、大学の歴史から昨今の大学改革の悪影響が語られ、最後は、国民国家の大学ではなく、新しい地球人を育成するような大学に、日本の大学の一握りでもなれるかと問いかけて終わる。

大学改革は研究者にとって一番大事な"時間"が蔑ろにされて、外からの論理、圧力で進められてきた結果、今のような研究力も低下し、多くの博士号取得者が非常勤職に甘んじているという指摘は、予算やポストの再配分だけでなく、「自由な時間」をどのように実現していくか、若手教員のキャリアパス、学生の学びについても、大学や国を越えた流動性を実現することが大事だというのはよくわかるが、まさに、言うは易し、行うは難し。

大学の成り立ちや、高専のポテンシャルなど、色々参考になることが多かった。

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2021年07月07日

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