あらすじ
たまは猫又。尻尾の先が二つに分かれたネコの妖怪である。岡っ引きの平次のところに押しかけ、妖怪に取りつかれて廃屋となった両国橋近くの長屋にいっしょに住んでいる。だから近所づきあいは、雪女のお雪などの妖怪とばかり。平次は人間にはモテないが妖怪ウケはいいので、それで満足している。そんな折、町奉行の榊原が平次のもとを訪ねてくる。最近江戸で、人間の盗賊と妖怪が手を組んでいるので、平次も妖怪といっしょに賊を取り締まってほしいという要請だった。見返りは長屋を正式に貸し与えることと、役所として二人を夫婦と認めることだった。破格の条件にたまは飛びつき、平次は押し倒される形で賊退治へ……。
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Posted by ブクログ
言ってしまえば猫またが人間に惚れてー緒になり、事件を解決していく話なのですが、主人公は猫またという妖怪。
この妖怪の心理描写が面白いです。ここまで妖怪の心に踏み込んだ小説見たことない。いゃあ、興味深い。もしかして作者も妖怪?
作者「俺に何かようかい?」
Posted by ブクログ
Tさんのお勧め。
とても上手くできている。
今どきの江戸ものには、
あやかしとか捕物とか長屋はよく出てくるが、
それをどう組み合わせるのか。
また、
あやかしと人間をどういう関係にするのか、
江戸の人々とはどういう関係にするのか。
どんなあやかしがいるのか、
それはどう言う存在なのか、
力は強いのか、弱いのか。
そこら辺の設定がとてもうまい。
猫又はいい大きさの箱を用意されると入って寝てしまうとか、
小豆洗いは羊羹に弱いとか、
妖怪は約束を破らないとか、
ろくろ首には、首が抜けるのと抜けないのがいるとか。
さえない岡っ引きの平次は、
猫又のおたまと住んでいる。
そこへ町奉行がやってきて、
江戸でおきるあやかしがらみの事件を解決するよう、
頼まれる。
その代わり、平次と夫婦として認め、
長屋に住めるようにすると。
たまと妖怪たちの捕物がはじまる。
せっかく平次にもらった簪を壊されたおたまが
榎の妖怪のもとにかけつけると、
その怒りを共感してくれる場面が良かった。