あらすじ
俺の幼馴染・徹子は変わり者だ。道ばたで突然見知らぬ人に抱きついたり、俺が交通事故で入院した時、事故とは全く関係ないのに、なぜか枕元で泣いて謝ったり。合格間違いなしの志望校に落ちても、ケロッとしている。徹子は何かを隠してる。俺は彼女の秘密を探ろうとするが……。互いを思いやる二人の物語が重なった時、温かな真実が明らかになる。
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Posted by ブクログ
題名に隠された伏線回収に胸が打たれた!
まさかまさかこんな展開あるの??
おかしな女の子と優しすぎる男の子の、くっつきそうでくっつかない恋愛物語かと思いきや…見事にいい意味で裏切られた!!これはぜひ読んでほしい
前半フラットは、護目線の徹子の話。
護は恋愛感情がないといいながら、いつも徹子を見守る優しすぎる男子。徹子は護が怪我をして入院したとき、なぜか「自分のせいだ」と言って泣く。さらに高校受験の日、自分の試験そっちのけで困っている護を助ける。そんなおかしで変わっている徹子を不思議に思いながらも、護のなかで彼女に対する恋愛感情が芽生えてくる…しかし護がやんわり伝えた告白も虚しく、その1年後徹子は結婚してしまうのだった…
後半レリーフはまさかまさかの
徹子目線の彼女のとてつもない秘密の話。
徹子には実は未来が見える。でもその秘密を衒らかすこともなく、彼女は不幸な未来を変えようと周りに関わっていくことで、周りからは変な子扱いされてしまう。彼女は自分が助かるべく行動したことで、護に怪我を負わせ彼の夢を奪ってしまい病院で泣いたこともあり、それも変な子のエピソードとして護に覚えられてしまった…
そしてここからが徹子の人生の使命というべく、「メグミの救済」の話。メグミは徹子にできた高校時代の親友で、実は徹子はメグミとの出会いを未来をみる力で予め知っていた。そしてメグミが若くして自死を選んでしまうことも知っていた。そんなメグミの死を断ち切るべく奔走する徹子だが、そこに大きな壁が立ちはだかる…
果たして徹子はメグミを救えるのかー。
そしてレリーフで明かされる護の強い思いとはー。
やっぱり印象的にシーンはラストシーンかな。
最後まで読むのがとてもしんどかっただけに、優しい涙がこぼれてしまった。本作では圧倒的に優しい人が多く登場するが、少数の悪がその人たちを蝕んでいくシーンが多い…それでもやっぱり最後は報われて、本当に本当に良かった。
温かい人の優しさに触れられて幸せだったなぁ。
「カーテンコール」のあの優しさを再び思い出した!
加納先生の温かさは唯一無二だな〜
p.127 もし、大事なやつが…(フラット)
「もし、大事なやつが抱えきれないような重荷に苦しんでいて、なのに申し訳ないとか言って誰にも助けを求めずにいたら、容赦なく怒鳴りつけてやるぞ」
「この馬鹿野郎ってね。そんで、そいつの荷物を半分、無理矢理奪う。強奪してやる」
Posted by ブクログ
最初はあまり軌道に乗らず、ゆっくり読み進めていたが、後半になるにつれ、ぼんやりとしていた設定が明確に見え始め、読み進める手が止まらなくなった。徹子の優しさゆえに抱える苦しみや葛藤どんどん大きくなり、読んでいて自分事のようにかなり辛かったが、今まで徹子が周りの人達を思いやり、大切にしていたことが蓄積されていき、最後に回り回って自分に返って来たのだとわかった時には心がとても温かくなった。すごく心温まるストーリーだった。
Posted by ブクログ
前半の護のパートは、普通の青春小説という感じで、少し退屈でなかなか読み進めることが出来なかった。
所が!
後半の徹子のパートでは、恐るべき事実が明らかになり、俄然読書スピードに拍車がかかる。
主人公徹子の苦悩もこれでもかという程に表現されていて、徹子と一緒に悩み心を痛める。
徹子はもちろん素敵な女性だけど、護も素晴らしい男性。
自分にとって素晴らしい伴侶って神様になり得るんだな、と思ってしまった。
ラストはしみじみと感涙。
初めて手に読ませていただいた作家さんでしたがもっと色々読んでみたいな、と素直に感じました。
Posted by ブクログ
なおなおさんからのご紹介本。
正直裏表紙の作品紹介を読んだ限りではあまりピンとこなかった。爽やかYA系作品のようで悪い話ではなさそうだが。。
ちらりと北上二郎さんのあとがきを先読み。
「驚くぞ、これは驚くぞ」の書き出しを読み、ぱたと閉じる。
ほほぅ、そういう感じかと俄然興味が湧き購入。
幼なじみの徹子と護の成長譚。
前後半の2部構成からなり、前半は「フラット」、後半は「レリーフ」。
「フラット」は護視点の物語。
地味で目立たない存在でありながらも、誰に対してもフラットに接する幼なじみの徹子。
ときに奇妙な立ち振る舞いをするところや、その人間性から他人からいいように使われてしまう徹子に、幼なじみとしての情を注ぎ気に掛けながら、つかず離れずの関係で共に青春時代を歩み成長していく。
後半の「レリーフ」はいよいよ物語のサイドB、一旦巻き戻り徹子側からの視点で再開。
前半の何てことのない話の中に時折挟まれる違和感。
ふむふむ、北上さん言ってたもんね、これが伏線なんだよな。
でも敢えて詮索はしませんよ、仮に流れを読み切れたところで後半の興を削がれるだけですから。
後半、徹子凄いなぁ、尊い生き様だなぁと思いつつもこの手の尊さってときどき抑制要素になるなとも思う。
我慢すること、制御すること、誘惑に負けないこと、信条から外れないことが尊いと思ってしまうと羽ばたくことに躊躇う。
この後娘にパスする予定だが、最近色々我慢しているような様子も見受けられるので、そこは終盤のわちゃわちゃ感に見るハッピーエンドの方に目を向けてバランスを取って欲しい。
序盤では何のことかよく分からないタイトルも、読み終わってみると凄く象徴的なタイトルだと感じ、すっきり。
Posted by ブクログ
加納氏の本を読んだのは2作目です。「カーテンコール」がおもしろかったので、読むことにしました。評価の高かった本作を読みましたが、前半は、護と徹子という幼なじみの話が続きます。徹子が恋の対象になるわけでもなく、これといって大きな事件が起こるのでもないので、なぜ、この本が高評価なのか、疑問を持つと同時に、退屈な気持ちで読み進めました。
しかし、後半の2章に入ると、気持ちは一変し、徹子の「持って生まれた特性」故に、思い、悩み、苦しむ彼女に対し、幸せを願わずにいられなくなりました。
冷酷で、悪魔の中の悪魔のような堅利の登場。心をかき乱され、あっと驚く展開が待っていました。
それにしても、堅利のインパクトが、私には強烈に残りました。ギリシャ神話になぞらえられている場面もあり、加納氏の教養の高さがうかがえました。私は、作家を心の底から尊敬します。
Posted by ブクログ
森野護
一番面白いのは人間だと考える。平石徹子のことがワケわからなくて面白いと思ってる。徹子とは家が近所で幼稚園から中学まで一緒だった。春喜高校に進学。柔道部に入る。遠方の大学に進学。就職し、実家の近くに転勤。
平石徹子
何を考えているかわからない行動をする。歴史研究会の部長。春霞高校に進学。小児科の看護師になった。
山岸絵梨奈
小学五年の時に転校してきた護の初恋相手。
三郷香菜
中学で護が気になっていた女子。
徹
徹子の弟。
田代清文
徹子に好意を寄せている後輩男子。デクノボウ。
倉木智
徹子の崇拝者。陰気でチビ。
ハヤシメグミ
林恵美。徹子の高校の同級生。タチの悪い痴漢にロックオンされていたのを護が助けた。
根津
護のクラスメイトで同じ柔道部仲間。メグミと同じ中学。興信所の調査員になった。
高倉正義
ヤンキーパパ。成人式で子供を連れてきた。
弥子
ヤンキーママ。
大城健治
金髪。成人式で正義と揉め事を起こす。
コテツ
リュウジ
正義、弥子の子供。
樺島
護の会社の三年先輩。親の介護で退職する。
おじいさん
徹子が幼い頃に駅で出会った。
徹子の母
徹子のはぎくしゃくした関係。
カタリ
影山堅利。メグミと付き合っている。成人式のすぐあとに徹子と初めて会う。周囲の人々を精神的に追い詰める。医師(研修医)として徹子の職場にいく。
久我山セツ
カタリとぶつかった老夫人。
柏木くるみ
看護師仲間の後輩。
桜井
カタリとは正反対の医師。患者と真摯に向き合い、苦しみに寄り添い、共感する。
ミルカ
美瑠香。メグミとカタリの娘。
氷川光子
カタリの実母。