【感想・ネタバレ】人工知能が俳句を詠む ―AI一茶くんの挑戦―のレビュー

あらすじ

人工知能が俳句を詠む日はいつ訪れるのか。現在の人工知能はどこまでできて、できないのかを、俳句を詠むAIの開発を通して迫る!
突然ですが、
見送りのうしろや寂し秋の風
病む人のうしろ姿や秋の風
このふたつの俳句が松尾芭蕉と人工知能のどちらの作品かわかるでしょうか。
本書は、現在も精力的に研究の進む人工知能について、俳句の生成という視点から現在の研究・開発動向を解説するものです。コンピュータを用いた俳句の自動生成は1968年のCybernetic Serendipityというコンピュータアートの展覧会に端を発し、近年では小説を生成する「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」などとともに、人工知能による文学生成研究のひとつとして進められています。俳句という身近でわかりやすいテーマであるため、TVや新聞などのメディアでも取り上げられるなど、人工知能による俳句生成は現在注目が集まっています。
本書では、実際に俳句を生成する人工知能である「AI一茶くん」を研究・開発している著者らが、現在の人工知能技術の動向から創作分野における人工知能の展開、俳句をどのように人工知能に解釈させ、生成するのかを具体的に解説します。そして「AI一茶くん」の活動の紹介を通して、現在の人工知能がどこまで達成し、なにができていないのかまで見ていきます。
人工知能がどんなことをできるのか気になる方、とくに人工知能の創造性について興味のある方にピッタリの1冊となっています。もちろん人工知能がどんな俳句を生成するのかが気になる俳句好きの方にもわかりやすく、ていねいに解説しています。

第1章 人工知能が俳句を詠む日
第2章 人工知能の歴史と未来
第3章 人工知能を実現する技術
第4章 人工知能と創作
第5章 俳句の人工知能的解釈
第6章 俳句を生成する人工知能、AI一茶くんの仕組み
第7章 AI一茶くんの活動
第8章 人工知能と俳句の未来
付録 AI俳句百句選

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

NHK対決凄ワザ
で拝見したAI俳句の舞台裏が見られた
データ分析をしている私としては自然言語処理のもっと技術よりの話を期待したけど縦書きの本だからこんなものだろう
でも文学生成系の研究でない本は貴重
短歌自動生成を目指しているけど能力がない私の発奮ネタとはなった
がんばろー

0
2021年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『おバカな答えもAIしてる』でも書いてあったけれど、AIに人間のかかわりは必要なんだなぁ。
日常でも、芸術分野でも。

「どちらの作品が人間で、どちらがAIでしょう?」みたいなクイズで、外すと悔しい気持ちになるけれど、これからはちょっと違うかもしれない。
AIだって、人間が丹精込めて作ったには変わりないんだから。

一茶くんにどれだけ人がかかわっているかを知って、そう思った。

1
2021年10月26日

Posted by ブクログ

人工知能という自然科学を利用して、俳句という人文科学的なものごとに挑戦することは一見無謀で無駄に見えるが、他の人がやらないアプローチをするからこそ見えてくるものがあるというのはやっぱり興味深い。
俳句という事象に向き合うことで「強いAI」を生み出すためのヒントを得ることができると言うだけでなく、「俳句」の本質に迫ることにも繋がる。

人文学的観点と自然科学的観点は明らかに違う価値を提供するものであるのと同時に、この世には「この分野は文系、これは理系」というようにハッキリと分類できる学問はなく、文系、理系の区分は研究する上でのアプローチの違いだと感じる。
自分が文学部出身で「役に立たない」「数学ができなかった人が行くところ」と言われた経験があるからこそ、こういう研究には成果を出して欲しいと応援している。

0
2024年12月26日

Posted by ブクログ

AIには、強い人工知能(人と同じように状況を認識し、人と同じような思考過程を経て、すべきことを判断することができる人工知能)と弱い人工知能(表面状は人の知能が行うことと同等のことを表現しているように見えるものの、実際は計算処理に則って情報を処理しているもの)がある。
強い人工知能が実現されれば、そこからは人工知能が自己をアップデートするので、人の開発は不要となるそうです。
現段階では、活用される人工知能の多くが弱い人工知能。AI一茶くんも、こちらに属します。
とはいえ、素人から見れば、生み出される俳句は、多種多様で、機械的に組み合わせるからこそ、意外な語と語の組み合わせがあったりして面白いと思いました。鑑賞する側の想像力を掻き立てるものがあります。

0
2022年03月20日

Posted by ブクログ

AIは俳句を詠むことはできないが、無限に「サイコロを振って」人の鑑賞に耐えうる作品を生成することは十分に可能であることを証明した。AI研究書であると同時に、「俳句」そのものの存在理由を問いかける有意義な一冊。

0
2021年11月05日

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