あらすじ
昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。 ※当電子版は新潮文庫版『孤高の人』上下巻をまとめた合本版です。
...続きを読む感情タグBEST3
苦しい、でも、美しい
人とうまく関われない、けれど、山登りや技術面で秀でた才能がある。人間関係の辛さのところは読んでいて共感できるところが多々あり、こちらも苦しくなりましたが、山登りのシーンはその凄さ、著者の描写の素晴らしさに感動しました。
最後の宮村との山行のところがあまりにもこれまでの流れと異なっている感じを受けたため、ネットで加藤文太郎を検索したところ、山友との山行は遭難時が初めてではなく、更に山友との友情について花子さんへ熱く語っていたという話もあるという記事を読んで、ほっとしました。現実はもっと加藤文太郎は納得の上での山行結構、その結果の遭難だったのだな、と。
山をやる身として、ためになる情報も得ました。甘納豆と干し小魚、十分な休養と満たされたお腹が遭難を避けるキー、参考にします。