あらすじ
深夜、夫が交通事故に遭った。病院に駆けつけた早苗と息子の力は、そこで彼が誰の運転する車に乗っていたかを知らされる……。夫は何も語らぬまま、知らぬ間に退院し失踪。残された早苗と力に悪意と追及が押し寄せ、追い詰められた二人は東京を飛び出した。高知、兵庫、大分、仙台――。壊れてしまった家族がたどりつく場所は。<解説>早見和真
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Posted by ブクログ
『傲慢と善良』で辻村さんの作品を読み漁りたいと思い、あとがきに倣って『島とぼくらと』、そしてこの『青空と逃げる』を手に取りました。
物語に対する感想ではありませんが、ひとつ驚いたことがありました。
「谷川ヨシノ」という名前を目にした時、案の定鳥肌が立ちましたが、驚いたのはその後です。「写真を撮るだけでなく、震災で汚れた写真の復元もしている」という樫崎写真館の話を聞いた時に、森の中の古びれたお寺のような景色が頭をよぎりました。
すぐにはなんの景色か思い出せず、だんだん読み進めるうちに、視点が女の子だったこと、なにか重大なものを見つけたこと、それが『傲慢と善良』の話だったことなどを思い出しました。(※後で確認したらお寺ではなく神社でした。)
つまり、「文字」ではなく「景色」で覚えていたんです。小説は、文字でしか構成されていないのに。
確かに、読みながら景色を想像していることはしっかりと認識してきました。しかしまさか、思い出す時に文字そのものではなく、景色が真っ先に出てくるとは思っても見ませんでした。
非常に貴重な体験をできて、とても嬉しいです。
Posted by ブクログ
よかった〜
読み終えてすぐの感想。
ほぼ一気読み。
多分、文章力なんだと思うけど、すっと話に入っていけた。
タイトルが、「青空から」とか「青空に」とかじゃなく「青空と」が1番納得できる。
親子3人、幸せに暮らして欲しいな〜
Posted by ブクログ
有名女優の車に同乗して事故を起こしその後、その女優が自殺をすることで生活が一変した相手男優の妻と息子の逃避行?四万十から始まり最後は北海道まで。そこで触れ合う人たちの温かさと、時折挟み込まれる筆者のスピンアウトしたストーリーが小気味よく進みあっという間に読んでしまった。
最後はいつもながらそういうオチ?と驚かされた。
個人的には主人公である早苗だけが苦労したような感じになるのは少しモヤモヤした。
Posted by ブクログ
久しぶりの辻村深月作品。
夫のとあるトラブルにより、母早苗と息子の力は追い詰められ、様々な場所へ逃げることになる。
やっぱり辻村深月さんの作品は良い。
人の心の機微を敏感に読み取り、描くことが本当に丁寧且つ上手い。
自分は何故か力くんに感情移入した。
同じ年の息子と重ねていたのかもしれない。
何かことが起こるたびに、力くんのことが心配で痛ましくて、でも微笑ましくて可愛らしくて…。
成長を何度も感じた力くん、お父さんお母さんと幸せになってほしいな。
Posted by ブクログ
辻村深月作品。
「傲慢と善良」が良かったので、リンクする所があると聞いて読みました。
全体的には、サスペンス要素とか、辻村作品に多いどんでん返し(?)的な展開も少ないし、平坦な物語に思えます。面白かった!とテンション上がる感じではないかもしれません。
また、早苗は弱かったり、いっぱいいっぱいだったりして、正直、あまり好きなタイプの主人公ではありませんでした。
ただ、何となく、読んで良かったなーと感じます。
それは、「逃げること」について、自分の視野が広がったように感じるからです。
ぼくは、それなりに安定した生活を送れているし、自分の環境には不満はありません。でも、だからこそ、今の居場所ではないどこかで、自分が生きていることは想像がつきません。
もし、何かが起こって、今の生活に乗り越えられない脅威を感じたら。僕は、追い詰められて、どこにも逃げられないと絶望するでしょう。
でも、それは僕の思い込みであって、本当は、この青空の下のどこにだって、逃げることができる。そこで生きていく事だって、きっとできる。
早苗と力がそうしたように。
僕は早苗のキャラはあまり好きではなかったけれど、弱い彼女が様々な土地で生き抜く姿を見せてくれるからこそ、感じるところがあるし、学ぶところがある。
きっと、自分も、追い詰められれば本当は弱いだろうけど。でも、それでも、生きていけるんですね。
各地での出来事は平坦で地味だけど、生きることは地味で地道な事です。だからこそ、良い物語になっているとも思います。
この物語はロードムービーでもあって、特に別府は顕著だけど、観光というか、その土地の魅力を感じる描写が多いですよね。
単純に知識として面白いけど、それだけじゃなくて。この世界の広さを本当に体感するには、そういう土地の空気感とか、文化とかを味わう体験が大事なのだろうと思います。
だから、辻村さんは、こうした描写を大切にされたのかなと感じました。
僕は、美術館が好きでよく旅行に行きますが、あんまり観光地は回らないし、その土地のものも食べず、コンビニで済ませたりしちゃいます。
それって、すごく勿体無いことをしているなと思いました。もっと旅をして、この世界の広さを感じて生きたいし、どこにでも行けるんだと、そう感じれる自分になっていきたいと思いました。
面白い、とは違うから、評価は少し厳しめにつけたけど、良い小説だったなと思います。