あらすじ
私は73歳の新人スパイ、コードネーム・ルーキー。初任務で市長を暗殺するはずが、友だちになってしまった……。福音を届けにきてペーパーナイフで殺されたイエス・キリスト。泥棒稼業の隣人マダム。うっかり摘発したワリダカ社長の密造酒工場。森で出会った巨大なリス・キョリス!? 一度ハマれば抜け出せない。連鎖する不条理が癖になる傑作ユーモア・スパイアクション。(対談・伊坂幸太郎)
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Posted by ブクログ
前回の長編「レプリカたちの夜」よりもかなり読みやすくなった気がする。前回は話が何処に向かっているのか分からない怖い程の闇を覗いた感じやったけど、今回はそういう恐怖は感じず、まだ安心して(?)最高にぶっ飛んだ感を楽しむことができた。
幼少の頃からスパイの英才教育を受けた73歳のスパイが初任務で市長を暗殺しようとして、友達になってしまうというふざけたストーリー。暴動のくだりなんかはホントにどうやってこの話終わるの大丈夫かなと不安になったけど、あんなにカオスだったのに結局殆ど誰も死なないハッピーエンドになのが良い。「ニホーン国」とか「ロッキン肺炎ブギウギ流感」とか「フリースタイルオクラホマミキサースペシャル」とか「キョリス」とか色々ふざけ倒してるのも好きだし、「用心するのを忘れないように用心しよう」のくだりは健気過ぎて73歳のおじいちゃん可愛すぎてやばかった。一方、「わたしたち」と「あいつら」の違いの区別がどこから来るのかという大きなテーマも出てきて、ふざけ倒してるるのにいきなり真面目になるからドキッとする。「手数料がかかるかどうかわからず試しに千円だけおろしてみる」っていうのが作者の実体験というのには笑った。色んな描写に作者の性格が濃く出ているのだろうな。最後の伊坂さんとの対談も面白かった。
1+1=2になるような文章しか受け付けない人は多分一條さんは読めないないと思う。この本は人を選ぶ作風ではあるけど、文章でどこまで面白いことが出来るかを試している様な作品なので(たぶん一條さん本人は直感で書いててそこまで深く考えてないと思うけど)。個人的には読書は1+1=無限であってほしいタイプなのでこういう本はたまに読むととても楽しい。ウェス・アンダーソンやフランツ・カフカ辺りが好きな人は好きになれると思う。不条理を楽しめる人は是非。
Posted by ブクログ
ミスタービーンぽくてお茶目なおじいちゃん。
『彼』を『かれ』と書いてみたり、漢字でもいいところが平仮名で書かれていて気になったけど意図は全然わからない笑。小説ならではの表現の仕方ってことなんだろうけど、一條先生がなんとなくそうしたのかなとか勝手に考えたりして個人的には面白い作品でした。ダンスシーンとかミスタービーンしか思い浮かばなかった笑