あらすじ
「トラウマ」のせい? 単なる「嘘つき」?
鶴屋南北戯曲賞、最年少受賞! 放課後の職員室。乗り込んできたのは自殺未遂の生徒の母親。「諸悪の根源」は誰なのか? 本谷有希子の話題の戯曲を完全収録。
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Posted by ブクログ
公演を観なかったのが残念に思うほど、自分を愛することしかできない里見という女教師とそれを取り巻く人間の日和見さ、教育現場の暗部をあっけらかんと描いているのが好感。
里見を演じたのが松永玲子だということで、松永なら、さぞかし、はまり役だったろうなあ、とニンマリした。
本谷の描く作品には、(見てくれはよさそうなのだけど)性格が悪い女が出てくることが多いようです。
Posted by ブクログ
「生きてるだけで、愛。」で大好きになった本谷さん。
今回は、戯曲出版という形のようで
登場人物の名前とセリフ、
展開した場面や情景の簡単な様子しか描かれていません。
そして、ところどころに実際の舞台のお写真が。
舞台は学校。
一人の生徒の自殺未遂をきっかけに、
だれが引き金となったのか、
自殺という行動を起こさせた原因は誰に何にあるのか、
とにかく責任のなすりつけ合いです。
ひび割れた教室で
狂ったおとなたちが暴れまわります。
そりゃあ、恐ろしい。
本谷さんは性格の悪い女を描きたいとおっしゃってましたが、
いっぽ間違えば、
ほんと犯罪になるんぢゃ、って方が。
やー怖い。
そしてからっぽ。
でも石原先生がブレなくてよかったよ、ほんとに。
Posted by ブクログ
もっちんの「じぶんだいすき」自己愛文芸(裏返せば自分に対する自分の好意が痛い!)が、ブラックコメディを経て通り過ぎてシリアスに行き着けば、こうなる。
もちろん、この舞台を操る、生徒(息子)の自殺未遂から半身不随、という裏面の題材がシリアスさを導いている面もあるのだろうけれども。
ひどいことしたけどトラウマがあるからしょうがないでしょ、許してよ!
さてそのトラウマの原因を除去されたら?
原因を取らないでよ、お願い、このままじゃ遭難するしかない……。
「私以外に対する悪意」が、責任のなすりつけ合いという行動で描かれる。
ひとつひとつの行為が積み重ねられた挙げ句、滑稽なシチュエーションに行き着くのは、もっちんの作風。