【感想・ネタバレ】マリアージュ・マリアージュ(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

キスをして抱きしめられ、初めて普通の状態になれたあの頃。今の私は年下の彼に、昔の自分を重ねてしまう(「試着室」)。私の性を抑圧し続けてきた、私に対して1ミリも動かなくなった彼の性器に、今、私は復讐をした(「ポラロイド」)。他の男と寝て、気づく。私はただ唯一夫と愛し合いたかった(「献身」)。幸福も不幸も与え、男と女を変え得る愛と結婚の、後先を巡る六つの短篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

今作も完璧にキレキレでした。
すべて結婚に絡んだ男女関係の事情で、
お得意の金原ワールド全開。どの物語も読み進めるうちに人間の二面性が露呈する展開になっていて、とてもスリリング。ひとみ嬢の小説を読み続けていて自覚している事だけど、ひとみ嬢の小説に出て来る登場人物の視点は、私が他人を見る視点とリンクする事が多く、無意識の感覚を言語化され追体験するような快感がある。

「口ごもりもせずはっきりとした口調でそういった瞬間、何がかは分からないけれど、彼はおかしい人なんだと私は思った。私の思い込みかもしれない。彼が魅力的に見えて、だから彼が神秘的に見えただけかもしれない。でも彼の事を初めて激しく、疑った瞬間だった」(ポラロイド)

人間の二面性を信じているからこそ、些細な表情の変化や口調や目線からその人がまったく別の何者かに見えてしまう事がよくある。そして、そういう二面性は多かれ少なかれ誰しも持ち合わせている。
これまで割と、個人の中で追及していく世界観が多かったような気がするけど、マリアージュマリアージュでは完全に二者間に発展している。
追及の手を緩めることは一切なく、個人から他者へ見事に移行されていく世界観。
小説も作者と共に変化成長していて、同じ年代を生きる私にとってはなんともいえない感慨深く、幸せな体験をさせてくれる作家なのだった。

ところで「仮装」。
これだけは唯一異質な作品だと思った。
かなりパンチの効いた作品であることは間違いないし
登場人物への突き放し感も凄いものがあって。
ただ、まれにワンオペで子育てしている身としては、
凄まじい復讐の物語に思えました。笑
ワンオペで苦しんでいる人はこの短編を読むと
夫に優しくなれるような気がする。笑
少なくとも、私はそうだ。。。笑

新作も出たことだし、心おきなく次は「持たざる者」を読もうと思う。

0
2020年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結婚のしんどい部分を取り上げてる短編集って感じ。
全くの他人同士が家族になることの難しさを思わせる。
これを見ちゃうと尚更結婚なんていいと思えないなぁ。

0
2018年04月29日

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