あらすじ
「サッカーをやめて、塾に通いたい」小6になる俊介は、突然、両親にそう打ち明ける。日本最難関と言われる中学を受験したいのだ、と。難聴の妹・美音の小学校入学を控え、家計も厳しい中、息子の夢を応援することを両親は決意。俊介の塾通いが始まる。だが、彼には誰にも言えない“秘密”があって……。人は挑むことで自分を変えることができる。未来を切り開こうと奮闘する人々を描く、感動の長編小説。
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Posted by ブクログ
受験という題材で縁がないし、あまり興味はなかったけれど、おススメしてくれた方がいたので、読んでみたら、手が止まらずに一気に読んでしまった。目頭を熱くしながら。
あらすじにある通り”人は挑むことで自分を変えることができる”ということを、中学受験を通して描いていて、子どもの頑張る姿で、まわりの大人たちにも変化していく様もとても良かった。
私は勉強ができなくても、好きなことに没頭できれば良いという環境だったけれど、好きなことをするにも、知恵や知識は必要だし、諦めないこと、やれば伸びること、自分の能力を知っていくことの体験は武器になる。
目標を達成するには、勉強が必要ないなんてことはないのだ。当たり前だけど。
頑張っている人を頑張っている子を無意識に邪魔しないで、応援できる大人でありたい。そして、人の本気は美しい。
Posted by ブクログ
サッカー一筋だった俊介がとあるきっかけから中学受験を目指す小説。
俊介の母、俊介、俊介が通う塾講師の加地
それぞれの視点から構成されている1年間
家庭の事情から自分が夢を抱くことを諦めていた俊介の母が、俊介の夢を応援しようと父や義母に真っ向から立ち向かうところ、そして自分の夢を見つけ俊介と共に夢に向かって進み始めるところがよかった。
俊介が受験をしたいと思ったきっかけ、妹に対して長年抱えてきた思い…そしてそれを解放してくれる加地先生の言葉もよかった。
そして、第3章は涙なくして読めなかった
加地先生の過去、そして生徒たちに対する思い…
受験直前に俊介を送り出す際にかける言葉もよかった。
自分が受験した時の気持ち、夢に向かって頑張りたい気持ちを思い出し、苦しかったり嬉しかったりした感覚が甦った。
Posted by ブクログ
人は挑むことで自分を変えることができる。
じわっと目が熱くなった。突然サッカーを辞めて中学受験をしたいと言い出した俊介に父も母も戸惑う。最難関を目指すと言い出した俊介の夢とは——。
きょうだい児は我慢したり聞き分けがよかったりするとはいうが、俊介の背負うものは大きかった。でも頑張れるならいいのかもしれない。俊介によかったのは、母も一緒に挑んでくれたこと。夫を説得し、義母に逆らい、新たな夢を見つけた。そして塾の加地先生がよかった。信念を持って挑み続けている人。勉強しなくていい人なんていないのだ。後悔をそのままにしない加地先生。
中学受験の経験者としては、加地先生が美乃里にした頼みごとが心に迫った。中学受験ができるのは、恵まれていることだ。だからそれを忘れたくない。同じ境遇の人となら上手くやれる、だけでなく、もっと広く世界を広げなくては。