あらすじ
直木賞、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞受賞の西洋歴史小説第一人者による世界史講義。イスラエルとパレスチナの衝突。世界各地で勃発するテロ。その背景の根深い宗教問題――。同じエルサレムを聖地とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教をめぐる約三千年を追いながら、日本人がわかりにくいと思われるポイントを整理し質問形式で世界史を読み解く。
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Posted by ブクログ
タイトル通り、世界史上あるいは現代社会においても重要度の高い一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教の歴史をまとめた本。
あるいは、それらの宗教から眺めた世界史とも読める箇所がある。
そして、基本的には成立・伝播の過程や、これらの宗教を背景にした世界史上の動きを解説した本であって、各宗教の教義については必要な範囲でしか触れられていないということは留意が必要。
高校世界史でも、これらの宗教は折に触れて登場する。
成立・伝播の過程も、これらの宗教のお陰で生じた様々な戦争や事件もそれなりに習う。
でも、あくまでメインストリームの政治史の中に、ところどころ織り込まれてくるかたちで扱われることが多いため、その行間をしっかり埋め、流れや背景をすっきりさせてくれるという意味では貴重な書。
著者自身、不勉強だったところを色々調べてみて、その成果が本書であるという学習者の立場で書いているので、今まさに世界史を学習中の高校生にも丁度良い一冊なのではないだろうか。
ただ、そのせいか明らかな誤りが含まれていたりもするので注意が必要。
十字軍はインノケンティウス三世より後の時代に起こった。とか書いてある。教皇の権威が下り坂だったので盛り上げるために行われたと。んなバカな。
西洋史を主題にした小説を多数ものしてきた佐藤賢一氏がこの程度の誤りをすること自体にやや落胆するのだが、さすがに本書全体の記述の信憑性すら損なうレベルなので、せめて編集者が気づいてあげて欲しかった。
Posted by ブクログ
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の起源だけではなく、中世や近現代まで世界の紛争がなぜ続いているかがよく理解できる。
旧約聖書に利子は同胞から取らない様戒律があるのに、ユダヤ人はキリスト教の人から取るので迫害されてきたこと、ローマ教皇が国王よりも権力を持っていたのはカソリック教会が実質地方行政のネットワークをもっていたこと、日常の規範をコーランで持っているイスラム教徒に西欧流の民主化はマッチしないことなど、よく腑に落ちた。
Posted by ブクログ
一人称視点ではなく、ですます調文章の佐藤賢一先生は新鮮。小説ではないので物語としての読みどころは少ないかもしれないが各宗教が並行して記述されていることでわかり易かった。
Posted by ブクログ
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の歴史を古代から現代まで追い、世界史全体について俯瞰することを試みている。出典や参考文献のないのが少々残念ではあるが、全体的に講義風にまとめられており読みやすい。クルド問題、ウクライナ問題など現代直面している問題についても分かりやすく紐解いてくれている。
Posted by ブクログ
一神教について、その歴史を古代から現代まで物語のように書いている本。
キリスト教は人間中心主義の宗教。
ユダヤ教とイスラム教は神中心主義の宗教で日常生活の中にも、神が密接に絡んでくる。
キリスト教世界が中心となった近代化以降は、政教分離の困難さゆえにイスラム教はきびしい状況におかれている。
宗教入門の本を何冊か読んできて断片的だった知識がこの本で1つに繋がった。