【感想・ネタバレ】ビアス怪談集のレビュー

あらすじ

無気味な超自然の世界を描く世界代表怪談集。「ポーの再来」「短編の巧者」といわれるビアスの名作。人間の心に潜む超自然に対する恐怖心を鋭く捉え、簡潔直截な手法で描く! ――悪魔の辞典で知られるビアスは、短編小説を組み立てさせれば、彼ほど鋭い技巧家は少ない。評価がポーの再来というのは、確かにこの点でも当っている。そのうえ、彼が好んで描くのは、やはりポーと同じように、無気味な超自然の世界である……と芥川龍之介をして言わしめた。ビアスの短編中、怪奇と幻想に満ちた妖異談を選び、名だたる難文を見事な新訳にしておくる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

・右足の中指
結末と題名がリンクする。幽霊が復讐する。

・宿なしの幼子
疫病により家族をなくした子供が遠くの施設に引き取られる。しかし、何かに導かれるようにして放浪を続け、母親の墓の上で息絶えていた。

・月あかりの道
一連の出来事を三人の視点から順に語った小説。息子、父親、母親の順だが、最後の母親は死んだあとの幽霊として語り手となる。幽霊とはいえすべてを承知しているわけではなく、自分の見たものしか知り得ない。幽霊である母親の語りによって、息子と父親の謎は解けるが、結末まで言ってもひとつの謎が残る。父親の前に家に入ったのは何者だったのか?

・壁のかなた
O・ヘンリの最後の一葉の分岐を間違えたかのような話。

・死人谷の夜の怪異
この短編集のなかでもっともはっきり幽霊が出てくる。中国人の幽霊が切り取られた辮髪を取り戻しに来る話。

・ハルピン・フレイザーの死
ハルピン・フレイザーは夢のなかで母親に似た怪物に殺される。現実にも彼は殺され、その場所は母親の墓だった。母親はその父親に殺され、息子のハルピンを道連れにしたのか?

・シロップの壺
正直者の店主が死んで、正直者の幽霊が現れる。

・見知らぬ男
語り手が幽霊で残された聞き手が真相を悟る。

・適切な環境
作家ジェイムズ・アー・コールストンは親友チャールズ・ブリードと同日同時に自殺することを約束する。ウィラード・マーシュはコールストンからその日にブリードの邸で渡された短編を読むよう言い渡される。その短編は二人がその日自殺するという告白書であった。ブリードとマーシュは死に、コールストンは精神病院に収容された。

・あん畜生
透明な怪物が現れ人を殺す。目的・理由は不明。

・マカーガー峡谷の秘密
迷い込んだマカーガー峡谷の小屋で夢を見た。夫婦が小屋に住んでいる。そこで目が覚めるが音だけは続いていた。女が絞め殺されるような声が聞こえた。その後、マカーガー峡谷を知る人からそこにマクグレガーという夫婦が住んでおり、妻が死体で発見され夫は行方不明だと聞かされる。マカーガーはマクグレガーがなまったものだった。

・猛烈な格闘
南北戦争の北軍の士官が監視中に亡くなった。士官の死体は格闘の跡があり、そのそばには敵軍の死体があった。しかし、その死体は死後相当の時間が経っているものだった。

・カーコサの一住民
見慣れない場所で人に話しかけてもまったく相手にされない。ふと見ると自分の名前と生没年が書かれた墓石があった。と、霊が霊媒に語ったのだった。

・アウル・クリーク橋の一事件
南北戦争の北軍が支配していたアウル・クリーク橋を爆破しようとした南軍の協力者が捕らえられ、絞首刑に処されるところだった。足元の板が外され、首に縄が食い込むまでの僅かの間に、彼は逃げだし家族のもとに向かう夢を見る。妻に会う直前で死が訪れた。

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2015年07月05日

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