あらすじ
2000年12月,一家4人が殺害された「世田谷事件」.突然,妹一家を失った著者は,絶望のどん底に突き落とされる.周囲の偏見,心ない報道,愛する家族を助けられなかった自責の思い…….深い悲しみに向き合うなかで,どのように生きる意味をつかんだのか.つらく,悲しい思いを抱えるあなたへ送る希望のメッセージ.
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Posted by ブクログ
世田谷一家殺人事件で妹さんを亡くされたお姉さんの本。印象に残ったのは「弱者はこうあるべきという思い込み」という言葉。被害者や遺族が立ち直ろうと努めても、周囲のこういった思い込みで傷つけられることがあるという。
どちらの立場にも誰でも成りうるわけだから、著者のような立場におかれた方のお話にもっと耳を傾けるべきだと思った。
Posted by ブクログ
【目次】
はじめに――悲しみに向き合うこと
1.奪われた命
2.事件のあとに――遺族の悲しみと苦しみ
3.悲しみからの回復――「私の物語」を求めて
4.悲しみの共感へ――夫,息子,母それぞれの思い
5.再びの悲しみ――事件から10年目に
6.喪失が与えてくれるもの
7.答えのない問いに向き合う
おわりに――ジョバンニの切符
Posted by ブクログ
「世田谷事件」の被害者遺族として、そして病で夫を失った妻としての喪失体験と、回復の過程を跡付けた書。
傷ついた人にどう寄り添っていけばいいか、そしていずれ自分にもいずれ訪れる喪失にどう向き合うかを示唆してくれる。
本書の最初に、曖昧な喪失が人をひどく苦しめる、という話が出ていた。
そのこと自体は、とても納得できる。
筆者のように未解決事件で大切な人を失った場合はもちろんだが...曖昧でない喪失というものがあるのだろうか。
病気や老衰であっても、なぜその人が、なぜそのような不自由さや苦しみを味わわなければいけないか、と身近にいる者なら思うだろう。
その意味で、ここに書かれている喪失の悲しみは、決して特殊な人のものでない。わがこととして受け止められる。
悲しみを表現する難しさもこの本は伝えている。
自分の悲しみをうまく伝えられないつらさは、想像できる。
著者入江さんは、その点でたぐいまれな力を持っている人だと思う。