あらすじ
チェーン店やアウトレットに負けずに、個人で商売を続ける店を訪ね歩く。食料品、衣類、銭湯……。老舗、家族経営、たった一人での開業など、人と店に歴史あり。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
井上さんが、居酒屋さんを巡るシリーズを楽しく読んでいたので、これも楽しめた。
ただ、個人的には、谷口質店の「売り店」の店主が、オレンジカウンティブラザースのスティールギターの方だったというのが、一番驚いた。谷口邦夫さん。
これも日本のロック史。
井上さんは、音楽ライターではないけれど、ここは掘り下げて欲しかった。
Posted by ブクログ
1955年生まれ、フリーライター、井上理津子さんの様々な業種の個人商店ルポです。目先の利益より、お客のため、モノのため、という心意気。個人商店は町の宝。「絶滅危惧個人商店」、2020.12発行。
Posted by ブクログ
絶滅危惧個人商店
著者:井上理津子
発行:2020年12月15日
(「ちくま」2018年12月号~2020年5月号連載)
筑摩書房
著者は「さいごの色街 飛田」の著者としても知られる。長い間、大阪でライター生活をしていたが、2010年から東京へ。今回も、東京の個人商店18箇所を取材し、紹介している。このタイトルから、もはや商売として成り立たず、後継者もいない、消えていくことが必定というような商店にノスタルジックにスポットを当てているように思ってしまいそうだが、中身はだいぶ違う。多くの店が昔よりは儲かっていないものの(構造不況的)、ちゃんと現役の商売として成り立っているし、後継問題を抱えている商店は少しだけだった。中には同業種地域ナンバー1として大変儲かっている店もある。
反対に感じられるのは、それぞれの経営者や店員たちが最先端の動向を掴んで商売をしているという点。売上は量販店やネット通販にはかなわないが、それらは多くの人々を対象に最大公約数で商売をしているにすぎない。儲かるが、取りこぼしている部分も相当多い。一方、個人商店は、顧客個人個人のニーズを深く把握して確実にすくい上げているため、顧客満足度は量販店や通販とは比較にならないほど高いものと想像できる。
個人商店は昔ながらのこだわりと頑固さが、現代のニーズにあっていないと思われがちだが、そうではないようだ。商店主はそれぞれニーズの変化を察知しつつ、昔も今も底流に流れるものを知っているため、そこにこだわりを持っているといったほうがよさそうだ。とても勉強になった。人気本となった理由が理解できた。
効率ばかり追求する世の中、商売の本質を知っている個人商店が残り少なくなっている・・・著者はそこに「絶滅危惧」との叫びをあげているかのようだった。
******
シャッター商店街の奥、グリーンストアーという店。まだ営業しているのは精肉店と鮮魚店のみ。八百屋、果物屋、惣菜屋も昔はあったが、今は寂しく「テナント募集中」の張り紙。←実にありがちな風景
カレーの肉を買おうとしたら、煮込み時間を聞き、それにあわせた肉を用意する店。
あおさ豆腐の店頭キャッチコピー
「なんとなく 身体に良さそう みどり色」
神田の約23坪の店。バブル期に地上げ攻撃された。値段は5億円からは始まって、20億円近くまでいった。心が揺さぶられた。
デニムの語源は、フランス後の「セルジュ・ドゥ・ニーム」=ニーム産のサージ(あや織り)
ジーンズはイタリアの「ジェノヴァ」。フランス語で「ジェーヌ」となり、英語でジーンズに。
ジーンズは裾を折り返したとき、裏側の縫い目のところで良いものが一目で分かる。良いものは、反物のミミの部分を使ったことを示す赤などのステッチが入っている。絶対にほつれないし、おしゃれ。
昔ながらの自転車店には、新車か中古か言えないものが売られている。中国製の安い部品が使われている自転車を(客から買い戻して)改良し、いい部品と交換したものなど。
腕時計は電池交換しただけだとまた止まる可能性が大。錆を落として掃除して、他の不具合も調整する。それでも値段は同じ800円。
1人で完結する遊びを推奨しない。プレステになったころからゲーム機を売らなくなった玩具店。
霊園近くの花屋さん。昔は二階の座敷を貸していて、そこで仕出しを取って会食をする家族が多かった。また、いまでも契約して墓区画の掃除や植木の手入れを定期的に行う。法要の連絡が入ると、その家族の好みの花を用意して墓前に運ぶ。
精肉店、佃煮店、豆腐店、青果店、鮮魚店、山谷の洋品店、老舗ジーンズショップ、自転車店、時計眼鏡店、書店、古書店、文具店、玩具店、質屋、銭湯・・・