【感想・ネタバレ】ハックルベリー・フィンの冒険(上)のレビュー

あらすじ

19世紀のアメリカ南部。何ものにもとらわれない自然児のハックルベリー・フィンは、ダグラスさんの未亡人の家での生活にも、学校の勉強にもうんざり。乱暴者の父親からも逃げ出して、黒人奴隷のジムとともにミシシッピー川を下る旅に出る--。アメリカ文学史上に燦然と輝く名作が、読みやすい新訳でよみがえる!

<世界の名作 小学上級・中学から すべての漢字にふりがなつき>

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Posted by ブクログ

トム・ソーヤーの友人にしてトラッシュ(白人貧困層)で浮浪児のハックは父親からの暴力から逃れ、逃亡奴隷のジムと自由州に逃れるためにミシシッピ川を下る冒険に出る。
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トム・ソーヤーの冒険のスピンオフ的作品にして原作を超えると評価の高い本作です。冒頭に、この本に何らかの教訓や批評を求めるなかれ、と書いてありますが、まあ無理な話でしょう。ストーリーを通じて権威主義・資本主義をあて擦ったり奴隷制を批判したりという記述が出てくるし、最後のトムの怒りのセリフはどう読んでも奴隷制批判です。トム・ソーヤーの冒険に出てくるインジャンジョーにせよ本作のジムにせよ、アメリカ社会が何を踏み躙って増長してきたのかを問わずにはいられないマーク・トゥエンの心情が読み取れますが、同時に冒頭の記述のように予防線を引いておかないといけない事情もあったのかもしれません。
そんなこんなですが、アメリカ中西部〜南部まで、ミシシッピ川を中心に広範囲に旅をしてアメリカという社会を俯瞰するように展開する本作はさすがの読み応えでした。しかし終盤にトムが阿呆を開陳しなければハックやジムがあんな危機に陥ることがなかったと思えば、男子の阿呆は度し難いという普遍的な教訓を伝えるためのお話とも言えるかもしれません。

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2025年03月30日

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