あらすじ
虐待を疑われ最愛の娘と離れて暮らす柳宝子。私は母親失格――。悩み続けたある日、二十年前に死んだはずの父親の遺体が発見される。遺品には娘への手紙と猟奇事件の切抜き記事。父の過去を探り事件を追う宝子だったがそれが愛する家族の決死の噓を暴くことに。父の手紙の意味は? 母が犯した罪とは? 愛に惑う〝元子供たち〟を描く感動ミステリ。
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Posted by ブクログ
自分で産んだ子どもに対する愛情ってなんだろう。責任感や義務感だけで育てている、そんな時もあるかもしれない。かわいいだけでは済まされない、人間を育てることも良くわかってない年齢で私も産み育ててきた。だからどの気持ちもわかるような、認めたくないような。
主人公は子育てと仕事を天秤にかけ、その重さを考えるのではなく、娘に嫌われているからという言い訳で離婚、子を手放す。
その一方、自分自身は亡くなった父母の血縁ではなかった。母親は、夫の浮気相手の女が産んだ赤子を誘拐し愛おしさで返せなくなった。そして愛情いっぱいに実子として育てた。
子を愛せない、金銭目的で産む、子を捨てる、親の愛情を求める子、など読みながら辛くなる。
そして自分が子育て終了の時期にもかかわらず、気持ちが揺れることにも驚く。一生誰かの子であり、私も子の母親であることに終わりはない。
Posted by ブクログ
2024.06.01
母親になってから、考えさせられるテーマが世の中に溢れかえっているなと感じるこの頃だったので、とても刺さった。
母性って、何だろう。
私は無条件に子どもたちが大切で、宝もので、自分を犠牲にしてでも守りたいと思っているけど、それが全ての母親に当てはまるわけではないし、当てはめてもいけない。
宝子は自分の母親が鬼塚明美と知って安堵したのだろうか。子どもを優先できなかったのはこの母親にしてこの子ありなのだから、私はおかしくなかったと腑に落ちたんだろうか。
母親をテーマに扱う作品は多いが、こう言う切り口は初めてだったのでとても考えさせられた。
Posted by ブクログ
おおー、なるほど〜!!
…いつも読んでるうちに、プロローグを忘れちゃう私w
それにしても…
なんで、お母さんは、自分の秘密を、お父さんに打ち明けちゃったんですかね?
秘密が重過ぎて、罪悪感に耐え切れなくて、かなぁ?
いつかはバレるにしても、こんな重い秘密は、絶対に自分だけで抱えて墓場まで持って行かなきゃならないと思うんだけどな。
最愛の妻の秘密を知ってしまった優し過ぎる性格のお父さんの葛藤が偲ばれる。
そして、犯人が…完全に想定外の身近な人物で、ちょっとサイコっぽくて、ゾッとした。
まぁ、言ってみれば、登場人物みんなどこか少しずつ狂っちゃってる気もするけど、人って誰しもそんな危険を孕みながら、運良く生きてるだけなのかもしれないけど。
あーだこーだ言いつつ、一気読みだったし、気になる作家さんとして急浮上してきたので、既刊本をガツガツ読み進めていきまーす!w