【感想・ネタバレ】銀婚式(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

証券会社のNY本部で多忙をきわめていた高澤は、妻との関係が壊れ離婚。会社も破綻する。再就職先で直面した、華やかなキャリアなど通用しない中堅損保の厳しい現実。再び転職した地方の無名大学で、都落ちの寂寥感に沈む高澤の前に現れたのは、学部長秘書の清楚な女性だった……。低迷する日本経済を背景に、もがきながら生きるビジネスマンの仕事と家族を鮮烈に描き、万感胸に迫る傑作。(解説・藤田香織)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終えたとき、高澤と共に長い人生を歩んだ気がした。
…いやいや、それでは私が主人公と銀婚式(笑)

確かに、NY赴任時に仕事を理由に妻の不調に寄り添わず、離婚に至ってしまったところまでは、彼を「仕事は有能だが、家庭人としては失格」というような眼で見ていた。

しかし、会社が倒産し、次々に同僚が新しい職場探しに奔走して退職していく中、最後まで敗戦処理として会社に残る姿は、退却するしんがり武将のようであった。
その後も、何故かめぐり会う仕事はことごとく「尻拭い」「敗戦処理」
あ~、なんて運の悪い人なんだろうと思うと同時に、何があっても投げ出さない姿勢に感心する。
そして水面下で…ちゃんと見ている人たちの信頼を勝ち得ているではないか。

普通に生きていて、仕事は別としても、子供の問題、老親の問題、心配事はあとを絶たない。
特に介護の問題の深刻さはリアルに描かれていて、自分の身にも重ねてしまう。

一つ一つクリアした後…何が残るか、だ。
とても良い終わり方だと思う。

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2017年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

華々しい学歴は、社会に出た後にその一生を保証するものではなかった。それでも身に付けた自助努力の精神は、人生のどん底を経験したとき、破滅の淵に転がり落ちる寸前で、何とかもちこたえ、はい上がるチャンスを与えてくれるものになるだそうと高澤は信じている。

最敬礼されて事務所を出てふと振り返ると、まだ見送っている錦城の姿がある。
濃霧が晴れて視界が開けたような気がした。
「人生、うまくいかないからおもしろい」
父の残した言葉が、よみがえる。
何もかも筋書き通りにいくはずもない。定められたレールを踏み外すのが、必ずしも悪いこととは限らない、と息子のことを思った。

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2021年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めての作家さん

盛りだくさんな内容、奥さんが鬱に、離婚、自分はリストラ、息子は浪人、友達の紹介で教えている大学では学生が変な道に行きそうになったり、離婚した元妻の介護問題、離れていた老親、失恋、息子が今度は学生なのに子供ができる…

高澤はそこここでちゃんと考え正しい対処をしている ただ、それが一緒に住む家族や付き合う彼女さんにとっては心地よいのかどうかは別部だと考えされられた

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2025年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一見普通の人の普通のおじさんの地味なストーリー

…なんだけど、結構恵まれている。

きっとそんなに都合良く仕事決まらないし
ましてや教授なんてなかなかなれないし
別れた妻とまた…なんて展開は
現実の女なら別れた旦那となんて嫌だと思うし。

けど、なかなかジンワリくるものがあって
楽しかった。

来自分も孤独を味わう事は確実なので
こういう話を読むと少し胸が苦しくなる



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2022年03月31日

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