【感想・ネタバレ】仮想儀礼(上)(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ゲーム作家に憧れて職を失なった正彦は、桐生慧海と名乗って、同じく失業者の矢口と共に金儲け目当ての教団「聖泉真法会」を創設する。悩める女たちの避難場所に過ぎなかった集まりは、インターネットを背景に勢力を拡大するが、営利や売名目的の人間たちの介入によって、巨額の金銭授受、仏像や不動産をめぐる詐欺、信者の暴力事件、そして殺人など続発するトラブルに翻弄される。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

p.27
世界の終末のような光景に、救いめいたものを見いだしていた。

これからどうなっていくのか!?
続きが気になってしょうがないです。

0
2021年06月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかく長い。上下巻をあわせると1200ページを超える長編である。
長いの飽きさせない。ページ数の多さに負けない中身の濃い物語だった。
失業しこれといった夢もなくなった二人の男が軽い気持ちで立ち上げた「宗教」。
教義のもとになったのは、正彦が書いていたゲームブック。
その場しのぎの対応を続けた結果、いくつものトラブルに巻き込まれることになる。
宗教にハマったことがないので、雅子たちが暴走していく心情がよくわからなかった。
それなりの理由はもちろん理解できるのだけれど。
何でも一番いいのは「ほどほど」なのかもしれない。
絶対的な存在としての「教義」。
雅子たちの狂気は、やがて偽宗教家の正彦をも喰らいつくしていく。
もしも彼女たちのお祈りの場に居合わせたとしたら、何かわからないけれど不健康で不穏で歪な空気を感じて逃げ出してしまいそうだ。
宗教によって心の平穏を得る者。
宗教によって心を狂わせていく者。
正反対に見える両者の違いはそれほど大きなものなのだろうか。
自分と向き合い自分と対話する。
簡単なようで難しいはずだ。
繰り返される祈りの言葉、単調なリズムが生み出すトランス状態。
徐々に変貌していく内側にある信仰心。
教団に対するマスコミのスキャンダラスな扱い。
編集され、真意のカケラも伝わりようのない映像。
たび重なる嫌がらせ、直接的な暴行、拉致。
弾圧を受けていると感じたときから、正彦たちは自ら被害者となる。
自分たちこそが被害者なんだと。
自分たちは何も悪いことはしていないと。
孤立していくことを怖れなくなる一方で、正義は自分にあると思い込む。
宗教が絡む事件がたびたび起きる。
そのたびに不思議な・・・不気味な思いを感じていた。
「洗脳」という都合のいい言葉が登場したときには、すべてこの言葉で辻褄があうとでもいうようにあちこちで「洗脳」という言葉が飛び交っていた。
なぜ宗教を求めるのか。
教えの中に何を見出すのか。
宗教が何を与え何を奪っていくのか、関心すらもなかった自分にはわからない。
教祖面しているというくだらない理由で教祖になった正彦。
怒鳴りたくなる場面でも教祖として我慢をし、面倒臭い放り出したいと思いながらも、結局ずるずると引きずられていく。
なぜ宗教を求めるのか。
ひとつの答えがこの物語の中にあったように感じた。

0
2017年03月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上下まとめて感想

サービス業として「宗教」という商売を始める...という発想に深く興味をそそられてワクワクしなたら読み進めた。「心身のケアをサービスとして売る」ある意味正当な職業だ。それが宗教という枠に入った場合、世間との兼ね合いはどうなるのか。まともな職業でいられるわけがない。そういう事を念頭に置いて、どの様に、この物語は進んでいくか、ワクワクしながら読めた。

上巻を読んだとき、そのうちに来るであろう崩壊が読めた。よくあるマスコミの餌食にされてボロボロになるというパターンを想定した。けれども、この小説はそこから先があった。それが異常に面白かった。

エセ宗教から本物の信仰を見出した信者達。深い信仰を持った信者とエセ教祖様の立場の逆転。どんどん落ちていきつつも、エセ教祖が最後の最後で信者たちを守る姿に、教祖なのか、父性愛なのか分からないが、導こうとする人の信念を感じることができた。

かなり面白い小説でした。

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2013年12月08日

Posted by ブクログ

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あまり女性作家の作品は読まないがこの作品は表題に惹かれて以前購入し本棚に放置してあった。彼女の別作品を先日読み在庫にあったなと。
内容は
ひょんな理由から都庁を退職。家庭も崩壊してお金儲けを目当てに
宗教を主宰した男たちの顛末記。

なるほど女性の視点で描くとこうなるのかという感じ。
男性の私から見れば主人公はまっとうすぎた。
教祖はもう少し泥臭くなければ務まるまい。
おそらくこんな男性はあまりというか、かなりレアだろう。

新堂冬樹の「カリスマ」のほうがより実際的な気がする。

私がその立場だったらと随分考えさせられた。
泥臭さには自信があるが、こんな女性信者からは
即刻逃げ出しそうだw

最終的に狂信的な女性信者に引きずられるまま、逃避行をする教団。
結末をほぼ予測しつつ流され。結局予想通り自ら進んで無実の罪に服す主人公。
途中で満足げに死を迎えるパートナー。

結局女性をミスリードすると怖いわよ。ということかw

ちなみに2009年に柴田錬三郎賞受賞作品。

一応4★興味があれば是非ご一読を。
彼女の作品は今後レパートリーに追加。

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2011年09月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

失業者の正彦と矢口は金儲けのために教団「聖泉真法会」を立ち上げる。似非教祖側を描く小説はお初かも…面白いです。
ビジネスとして宗教をやる彼らの教団には悩める女性たちや生きづらい系の若者が集まってたけど、元役人の性なのか一歩引いてて教祖っぽい事を言いつつ内心ツッコんでる正彦とお人好しの矢口には「似非宗教」という自覚があるからか、「〇〇しないと地獄に堕ちる」等の脅しをしない。寧ろ信者がこの方向のこと言ってて、正彦と矢口は行政に繋いだりと冷静な対応しています。
そのうちに食品会社社長というビッグな信者が出来てトントン拍子か…と思ったら、宗教ビジネスにたかってくる面々できな臭くなってきてラスト遂に…!でした。
ハイエナな面々、正彦と矢口の詐欺師はまだ可愛いほうなのか?と錯覚してしまうくらいに悪いです。
下巻では正彦と矢口が振り回されてどんどん堕ちていくのだとしたらちょっと不憫。読みます。

「宗教」自体がモンスターみたいなものだとも思うけど、拠り所というよりもたれ掛かるつもりで多大な期待でやってきては失望して去っていく信者たちも随分と勝手だなと思いました。だからこそ宗教にはまれるのかもしれないけど。
冷静なままだと到底無理で、宗教世界にはまる形に自らを狂わせるのが信徒なのかも。洗脳はそうか。。。
お手軽に救われる、幸せになれるなんてそんな甘い話は無いです。お手軽に儲かる話も無い。気をつけましょう……あなたの心のスキマにドーン!!


約10年前に文庫化された作品で、宗教からお金が流れ込んでいる政党だと公明党と自民党の名前出すのか。流石です。

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2023年12月19日

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失業した男2人が、ビジネスとしての新興宗教を立ち上げる。それは2人の予想に反してどんどん規模が大きくなっていく。

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2012年10月06日

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やけっぱちの中年男ふたりが始めた”まっとうな”宗教ビジネスが思いのほかトントン拍子に進むにつれて起きる事件、変化。
いかにもありそうな展開に却ってハラハラする。下巻でどこに決着するのか楽しみ。

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2011年11月22日

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