あらすじ
【イラスト付き】 母を亡くし、居場所を失った17歳の創。新しい家族を築いて創を過去にしてしまった父にも、母の恋人だったひとにも頼れない。だから、ひとりで生きていくために自分が売れるものは何でも売ると決めた。いくつも掛け持ちしているアルバイトでは不器用でも丁寧な労働を、ときには、大して価値があるとも思えない自分の体を。そうして眠るときには薄っぺらな寝袋の小舟に乗って、夜ごと星空の航海に出かけるのだ。明日はもっといいところまでたどり着けますように――。
あるきっかけから、母が入院していた病院に麻酔科医として勤める高野と、その後輩にあたる外科医の瀬越の世話になることに。けれど、絶対に知られたくない秘密と想いを抱えている創は、二人に嘘を重ね続け……? 電子限定書き下ろしSSを収録!!
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名作です
これはなんというか...現代社会の残酷さを描いたような深い作品だと思います。
自身の境遇を誰かのせいにして恨むことなく、懸命に生きる創ちゃんが愛おしいです。
高野先生が創ちゃんを『座敷童子かコロポックル』と表現するシーンがあり、その時は『どこが?』と思ったのですが、読み進めるにつれて心の底から納得しました。
一見、不器用であまり賢くもない創ちゃんですが、その精神の尊さは確かに妖精レベルです。
名作だと思います。