あらすじ
世界的なパンデミックに見舞われた春。響の切り盛りする小さな飲食店に、常連客の尚人がひとりでやって来るようになる。コミュ障気味の響とは対照的に、尚人は明るくよく喋る。少しずつ尚人と親しくなっていく一方、歳上の愛人・征司との関係は、次の約束もできないもので…。大人気!一穂ミチ、初の漫画原作描きおろし!何気ない日常を愛おしく切なく描き出す名手・ymzが作画。極上コラボによる、非日常と地続きの日常の物語。
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ゆっくり楽しみます
ハッピーバースデーが好きで、思い出したようにまた読みたくなって最新作のこの作品を購入。
原作者は別の作家さんだけど、違和感なく馴染んでいて楽しめました。
話のなかでもパンデミックにより外ではマスクをして自粛して生活するのが日常になっているという設定で、思えば2年近くになるのにこういった話読んだの初めてだなぁと新鮮、だけど、現実でも日常化してしまってる意識が不思議と違和感なくただ神妙な気分にさせる部分もあって、ちょっと複雑な気持ちで読みました。
世界中の誰もが同じだけ自由を奪われてる普通じゃない状況のなかで、でも相変わらずそこには人の気持ちはちゃんと存在していて、それをどう扱うのか、忘れられてしまいがちな何かに気付くのか、それとものみこんでやり過ごすのか、人それぞれの在り方のちょっとしたズレが浮き彫りにされてる気がします。お話は主人公を巡るいわゆる三角関係のなかで普通に平和だったら気付くことはなかったかもしれないズレによって揺れながら進んでいきます。
ゆっくりした話のテンポで、でも気持ちの変化をしっかり予感させながらみせてくれる、やっぱり面白い、好きだなぁ。先生の作品は読んでいるとき柔らかいものに当たるというか、すごく丁寧に気持ちを味わって読んでる感覚になります。でも軽やかな読み心地と、どのキャラクターも愛しくなる読後感がとっても好きです。
これから三角関係なかで距離が縮まったり一方で離れたらしていく感じなのかな、いったいどんな流れになっていくのかわくわくしてます。隔月配信みたいですが、続きも急がず楽しみに待ってようと思います。